僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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すいません、凄く短いです
ですが





これを見ろ


軍師の休息

「流石は、かの霧島財閥……凄いなぁ」

 

「本当に」

 

明久が呟くように言った言葉に、謙信が同意した。

埋め立て地丸々一つを使い建築されたテーマパーク。

それが、ファンタジアだ。

どうやら中世ヨーロッパをモデルにしているらしく、建物から係員の服装に至るまでがそれである。

二人はジェットコースターに向かって歩いていた。

今は全員、それぞれペアに別れて行動していた。

 

明久・謙信ペア

幸村・信繁ペア

雄二・翔子ペア

信玄・秀吉ペア

愛子・康太ペア

優子・颯馬ペア

 

となっている。

そして、ジェットコースターに到着すると明久達は、列に並んだ。

とはいえ、今回はプレオープンだ。

並んでる人数は少ない。

だから数分で、明久と謙信はジェットコースターに乗った。

場所は変わり、優子と颯馬は休憩エリアとして開放されている草原に来ていた。

二人が居るのは、静かな木陰。

そこで颯馬は、頭を振っていた。

 

「無理しないの、天城君。休んでて」

 

「すいません、木下さん。自由研究で少し手こずって、昨日は夜遅くまで起きていたもので……」

 

別れて行動していた時、優子は颯馬の顔色が悪いことに気付いた。

だから、近くだった草原に来て颯馬を休ませることにしたのだ。

どうやら颯馬は、自由研究の宿題で時間が掛かってしまって寝不足らしい。

優子は颯馬を木陰に座らせると、立ち上がり

 

「待っててね、飲み物買ってくるから」

 

と言った。

すると、颯馬は

 

「だったら、お金を」

 

と言って、財布を取り出した。

しかし、その財布を手ごと優しく包んで優子は

 

「流石に、体調が悪い人から巻き上げようだなんて、思わないわ」

 

と拒否した。

そして、颯馬に背中を向けて

 

「いいから、待ってなさい。お茶よね」

 

と言って、離れた。

そして数分後、優子は右手にお茶、左手に自分の飲み物を持って戻った。

そして、木陰に座っていた颯馬に

 

「お待たせ」

 

と声を掛けた。

しかし、返答は無い。

返事が無いことが気になり、優子は顔を覗き込んだ。

そして、納得した。

颯馬は穏やかに眠っていた。

それを見た優子は、微笑んで

 

「メガネ、外すわね」

 

と言ってから、颯馬が掛けていたメガネを外した。

そして、颯馬の腰に有ったポシェットからメガネケースを取り出して入れた。

そして隣に座ると、周囲を見回した。

今からやることを、知り合いに見られたら、優子はしばらくその人物達と顔を合わせることが出来なくなる。

そんな確信があった。

そして、近くに居ないことを確認すると

 

「そっと……そっと、起こさないように」

 

と繰り返し言いながら、颯馬の頭をゆっくりと自身の膝に下ろした。

しかも、顔を上に向かせてだ。

はっきり言えば、颯馬は優子の好みだった。

少し幼い顔立ちに、小柄な体躯。

だが、時折見せる男らしさ。

いわゆる、ギャップ萌えになるのだろうか。

それが、優子の胸をときめかせた。

だからか、自分でも信じられない位に、そんな行動をしていた。

 

「今はおやすみ、颯馬君……」

 

優子はそう言いながら、颯馬が頭を優しく撫でた。

 


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