僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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変態

「木下姉弟、頼んだ」

 

「分かったわ」

 

「心得たのじゃ」

 

雄二の頼みを聞いて、優子と秀吉が入っていった。

それを見送ると、明久は

 

「なんで、あの二人にしたの?」

 

と雄二に問い掛けた。

すると雄二は、冷静に

 

「あの二人なら、並大抵の事態にも冷静に対処すると予想したからだ」

 

と言った。

雄二の説明に、明久は納得した。

確かに、優子と秀吉はかなり冷静な性格だ。

並大抵の事態ならば、対処は可能だろう。

そして、雄二の予想とは違った形だったが、二人は切り抜けた。

秀吉も女の子扱いされて

 

『ワシは男じゃと……』

 

『はいはい、落ち込まないの』

 

肩を落としながら歩いてた秀吉に対して、優子はそう言いながら秀吉の頭を撫でた。

そう会話しながら、木下姉弟は歩き続けた。

途中途中でお化けが出たが、二人は華麗にスルー。

そのまま、奥に居るだろう番人の場所を目指して進んだ。

その時、不意に広い区画に出た。

しかも、暗くてお化けも見えない。

だが、二人は人の気配を感じているらしく、奥を見ていた。

その時不意に、その区画が一気に明るくなった。

そこに居たのは、夏川(ソフトモヒカン)だった。

それを見た明久達は、もう常夏(バカ共)と戦うのか?

と首を傾げた。

しかし、そこに居たのは一人だけだった。

何をするのか分からず、木下姉弟は僅かに身構えた。

すると夏川は、懐から一枚の紙を取り出した。

それを見て、全員が首を傾げた。

すると、夏川はそれを読み始めたのだが……

内容は割愛させて頂くが、秀吉へのラブレターだった。

そして、明久達は後にこう語る。

 

『秀吉の本気の悲鳴を、初めて聞いた』

 

と……

数分後、秀吉は教室の端で泣いており、それを優子と信玄が慰めている。

そして、教室の番人は既に信繁と幸村によって撃破された。

古典で、あの二人が負ける訳がなかった。

そして、次の教室に入った。

なお今回から、3ペア投入した。

その内2ペアはFクラス男子だが、1ペアはAクラスだ。

より多くの情報収集と、あらゆる事態に対処出来るようにだ。

そして一組目が、最短ルートで広い区画に出た。

 

『おい、誰か居るぞ』

 

『気配は……一人か』

 

どうやら、また妨害らしい。

どんな妨害なのか、そう身構えた直後に一気に明るくなった。

そして見えたのは……

常村(ハゲ頭)の女装姿だった。

 

『ギャアァァァァァァァァァ!?』

 

『やめくせぁ、fjpma、汗、ばくぁ!?』

 

それを直に見たFクラス男子ペアは、悲鳴を上げた。

なお、悲鳴を聞き付けて駆け付けた残りの2ペアも

 

『い、嫌だ! こんなの見たくない!』

 

『お、お助けぇぇぇ!!』

 

『帰る! 家に帰るぅぅぅ!』

 

『イヤァァァァァァァァ!!』

 

と悲鳴を上げた。

そして、待機教室も阿鼻叫喚の地獄だった。

中には、気絶した生徒すら居た。

すると、いち早く立て直した雄二が

 

「あの野郎……醜い絵面見せやがって……っ!」

 

と怒りの声を漏らした。

すると、一人の男子が

 

「坂本! 中に入った奴等の仇を!」

 

と声を上げた。

それに共鳴するように

 

「ムッツリーニと工藤を投入するんだ!」

 

「あいつに、地獄を見せてやって!」

 

と声が上がった。

そこから

 

「ムッツリーニ! ムッツリーニ!!」

 

「工藤! 工藤!!」

 

と二人の名前が叫ばれた。

それを聞いて、雄二は頷き

 

「康太、工藤! お前らが取れるあらゆる手段を以て、あの変態野郎を排除せよ!」

 

と指示を出した。

そして数分後、二人は突入した。

そこから更に数分後

 

『確か、ここら辺だったよね……ムッツリーニ君、準備は?』

 

『……問題ない』

 

と二人の会話が聞こえた。

その数秒後

 

バン! ⬅電気が点いた音

ドン!! ⬅ムッツリーニが姿見を置いた音

キラキラキラ ⬅常村が吐いてる絵面(某世界を廻るバラエティー番組風に)

 

「あ、あの鏡って」

 

「階段にある姿見だな」

 

と言ったのは、明久と雄二である。

信繁は吐き気を堪えている幸村と信玄に付いている。

 

「道理で、ゴロゴロって音が聞こえた筈だ」

 

「台車で運んでたんだ」

 

と二人が納得していると

 

『てめぇら! なんて物を見せやがる! 吐いたじゃねえか!』

 

と常村が怒鳴った。

すると

 

『……恥じるな、吐くのは道理だ』

 

『だね。立派なオカマみたいだよ』

 

と康太と愛子が言った。

それを聞いたからか、常村が

 

『ちくしょうっ! 道理で、メイクした奴が口元抑えてた訳だ……』

 

と肩を落としていた。

吐き気と戦っていたのだろう。

気持ちは分かる。

その時、カシャっとシャッター音が聞こえた。

すると、常村が

 

『待て、お前。何撮影してやがる!』

 

と愛子を指差した。

すると愛子は、悪びれずに

 

『ん? 海外のモノホンサイトにうPしようかと』

 

と言った。

すると常村は、顔を真っ赤にして

 

『やめろ、てめぇ! 俺の人生が終わる!』

 

と叫んだ。

すると、康太が

 

『……よせ、工藤』

 

と愛子の肩を掴んだ。

そして、立て続けに

 

『 ……海外のモノホンさんが吐く』

 

と言った。

すると、愛子は手をポンと合わせながら

 

『そうだね。せめて、ネットに流す位にしようか』

 

と言って、操作を始めた。

 

『それもやめろぉぉぉ! どちくしょうぅぅぅ!』

 

愛子の言葉を聞いて、常村は泣きながら走り去った。

それを見送った二人は、顔をカメラのある方向に向けると、二人してピースサインをした。

それを見たクラスでは、雄叫びが上がった。

その後、愛子と康太によって番人は撃破された。

保健体育で、二人に敵う訳がなかった。


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