僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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始まり

そして約三時間後、双方共に準備が整った。

今現在、明久達は一年生の教室に居た。

数ヶ月前まで使っていた教室で、明久は懐かしさを感じていた。

一年生の教室は至って普通の教室だ。

しかも今居る教室は、明久と雄二が使っていた教室だった。

すると雄二は、自分が座っていた窓際の席

その机を撫でながら

 

「懐かしいな……」

 

と呟いた。

すると明久が、同意するように頷いて

 

「そうだね……雄二がそこで、僕がその隣で……何回か、大変だったよ……根本君を殴りに行くって言った雄二を止めたりね」

 

と語りだした。

すると雄二は、頬をポリポリと掻きながら

 

「あったな」

 

と肯定した。

そして少しすると、手を叩いて

 

「そういやあ、召喚獣がどうなってるのか確認してなかったな」

 

と言った。

それを聞いて、明久はああと言って

 

「そう言えば、オカルト面が強く出てるんだっけ?」

 

と思い出すように言った。

すると、教室に居た西村が頷いて

 

「ああ、その通りだ。因みに、俺はこれだな。試獣召喚」

 

とキーワードを唱えた。

その直後、西村の足下で爆発が起きて、それが姿を現した。

色黒の肌に、岩で出来た巨剣を持った大きめの召喚獣が。

その姿は

 

「へ、ヘラク○スだとう!?」

 

某運命に出てくる、最強の凶戦士だった

すると西村が、顳顬に手を当てながら

 

「どうやら、学園長が暇潰しにしていたゲームから、影響されたらしい」

 

と言った。

それを聞いて、何人かのFクラス男子が

 

「じゃあ俺達は、青い剣士や槍使いだな!」

 

「試獣召喚!」

 

とキーワードを唱えた。

その直後現れたのは、緑色の肌に棍棒やボロい剣を持った醜い化け物だった。

それを見て、康太が

 

「……ゴブリンだな」

 

と言うと、その男子達は両手両膝を突いた。

すると、何か気になったのか、姫路と島田が

 

「私達は、どうなってるんでしょうか?」

 

「召喚してみましょ」

 

と言うと、揃ってキーワードを唱えた。

その直後に現れたのは

 

「なにこれ?」

 

「……私には、分からないです」

 

二体の角の生えた女性だった。

姫路の前に居るのは、薄い布を被った尼を彷彿させる女性で、島田の前には巻き角が特徴の女性だった。

それを見て、康太が

 

「……姫路のは、殺生院キ○ラ。島田のは、ティアマ○」

 

と言った。

 

「どういう奴よ?」

 

「教えてください」

 

と二人が問い掛けると、康太は目を逸らしながら

 

「…………とあるゲームの、巨悪」

 

と言った。

それを聞いて、二人は酷く落ち込んでいた。

なお、以下が明久達の召喚獣の今の姿である。

 

明久 試青い剣士

謙信 病弱剣士

雄二 剣士なのに、素手で殴る魔剣使い

秀吉 自己暗示で性別が変わる剣士

康太 侠客

信繁 青い槍使いの術師版

信玄 反逆の剣士

幸村 師匠

颯馬 教授

翔子 婦長

愛子 女海賊船長

優子 槍使いの竜少女

 

となっている。

そしてペアは

 

明久&謙信

雄二&翔子

康太&愛子

秀吉&優子

信繁&颯馬

信玄&幸村

以下略

 

となっている。

そして、最初に歩き出したのはFクラス男子ペアだった。

向かう先は、2年Fクラスの教室。

なお、驚いたかどうかの判定は、カメラを介して声量で判定する。

男子達が入ると、いきなり目前に提灯オバケが現れた。

しかし、男子達は驚くどころか

 

『ん? これ、触れないな』

 

『召喚獣なら、イケるんじゃね?』

 

と会話すると、召喚獣を呼び出した。

そして、その提灯オバケを召喚獣に掴ませて灯り代わりに歩き出した。

それを、映像で見ていた明久達は

 

「なんつーか……」

 

「酷く、シュールな光景だな」

 

「それに、提灯オバケが逃げようと暴れてるのがまたね……」

 

と会話していた。

なお、明久の腕には謙信が抱き付いている。

やはり、怖いようだ。

そんな謙信を明久が撫でているが、何故か教室の端では姫路と島田が転がっている。

そうこうしている内に、進んでいた男子達の前に人影が現れた。

現れたのは、二人

襟に着いているバッジから、三年生と分かった。

Fクラス男子達は既に召喚していたので、三年生も召喚し戦闘になった。

しかし、勝負は一瞬で終わった。

なぜならば

 

「Aクラス生徒を、門番にしたのか……」

 

「まあ、順当だな……姫路と島田は……使えないか」

 

雄二は二人が転がっているのを見ると、舌打ちした。

どうやら、行かせる気だったらしい。

そして、少し考えると

 

「仕方ない。俺と翔子が倒しに行くか」

 

と言って、翔子と一緒に向かった。

ふと画面を見た明久は、なぜ姫路と島田を行かせようとしたのかを察した。

教科が数学だったからだ。

確かに、姫路はともかくとして、島田は数学以外てんで役に立たない。

なお、一度入っても、失格にさえならなければ、何度でも出入りしていいらしい

だから、雄二と翔子が行ったのだろう。

なお、二人が行ったことにより、Fクラスは難なく突破。

次は、Eクラスに向かった。

なお、ルールによれば、一度勝利したクラスは素通りしていいらしい。

そして雄二と翔子の二人と入れ替わりに、また別のFクラス男子達がEクラスに入っていった。

Fクラス男子ペアは、お決まりのバカで脅かしをスルー。

大体、中間辺りだろうか。

そこに到着すると、そこには一人の女子が居た。

着物を着た女子が。

すると、その女子を見た康太が

 

「……小暮葵。Aクラス所属」

 

と言った。

邂逅した男子達は戦闘と思ったのか、身構えた。

しかし、一人では戦闘は出来ないはずである。

すると、その女子は

 

『私、これでも茶道部に所属しています』

 

と言った

それを聞いて、明久は内心で

 

(あ、だから着物着てたんだ)

 

と納得した。

すると、Fクラス男子達は

 

『だから何だってんだよ』

 

『力ずくで通るぞ、こら』

 

と言った。

その言動は、完全にヤクザと言ったそれである。

しかし、小暮は意に介さずに笑みを浮かべたまま

 

『それと私』

 

と言いながら、着物の襟首を掴んだ。

そして、次の瞬間

 

『新体操部にも、所属していますの』

 

と言って、一瞬にして着物を脱いだ。

その下に見えたのは、あの水着のような衣装だった。

その直後、対峙したいた男子ペアは叫んだ。

興奮したからだ。

更に、待機していた男子達も次々と突入

叫んでいた。

それを、康太は冷静に

 

「……全員、失格」

 

と宣告した。

すると、雄二が

 

「あいつら……後で全員殴る」

 

と怒りを露わにしていた。

こうして、オバケ屋敷式の試召戦争が始まったのだった。


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