午後4時頃
場所 廊下
そこでは、Fクラス対Dクラスの戦いが終わりを告げようとしていた。
「あれ、姫路さん? Aクラスはここを通ってないよ?」
背後に居る姫路に対してそう言っているのは、Dクラス代表の平賀である。
どうやら、姫路がFクラスだとは思ってないらしい。
「え、えっと……Fクラスの姫路がDクラス代表の平賀君に現代国語で勝負を挑みます!」
「は、はあ……?」
「
そして、平賀の召喚獣を姫路の召喚獣が文字通り、一刀両断で撃破したのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「まさか、Fクラスに負けるとはな……」
「予想外だったか?」
「まあな。それと、姫路さんが居るとは」
平賀が視線を向けると、姫路は頭を下げた。
「す、すいません……」
「いや、予想外だっただけだ。それに敗因は、Fクラスを侮ってた俺にある」
平賀はそう言うと、多少落胆した様子で
「設備の交換は明日でいいな?」
と聞くが、雄二は首を振って
「いや、設備の交換はしない」
毅然と言い放った。
すると、Fクラスの面子に動揺が走ったが
「落ち着けお前ら! 俺達のゴールはここじゃないだろ!」
雄二が大声で言うと、落ち着いたのか静まった。
「設備交換をしないのなら、なにが目的だ?」
「ああ、合図をしたら、あれを壊してもらいたいんだ」
そう言いながら雄二は、窓の外を指差した。
「あれは……Bクラスの室外機か」
「ああ、先生には目をつけられるかも知れないが、設備の交換よりはマシだろ?」
「そうだな。じゃあ、これは和平交渉ってことになるのか?」
「ああ、そうなるな」
「狙いはAクラスか?」
「ああ。どうせ勝てないと思ってるんだろ?」
「ああ、だが、社交辞令として言わせてもらおう。勝てよ」
「は、本心じゃ違うくせによ。まぁ、礼は言っておくぜ」
「ああ、じゃあな」
戦後対談が終わったのだろう、雄二たちは解散したが
「さて、島田」
「なによ」
雄二と島田だけは、Fクラスの教室に残っていた。
「なんで残されてるか、わかるか?」
「知らないわよ。それより、早く帰りたいんだけど」
「そうかい。そんじゃあ、教えてやろう。お前、今日の試召戦争で船越先生を呼び出すのに、なんで明久を使った?」
「ああ、あれ? 吉井がAクラスに居るのが気に食わなかったから、オシオキしようと思ったのよ」
「あ? オシオキだ?」
「そうよ。吉井の癖にAクラスに行くなんて生意気なのよ!」
島田がそう言った瞬間
雄二が島田の襟首を掴んで、壁にたたきつけた。
「がはっ!?」
島田は突然の事態に眼を白黒させた。
「お前、何様のつもりだ?」
「さ、坂本? な、なにを!?」
島田は雄二の腕を掴みながら、非難がましい視線を雄二に向けた。
が
「もう一回聞くぞ。島田、てめぇ、何様のつもりだ?」
「ど、どういうことよ!」
「明久はてめぇの所有物だって言いてぇのか? フザケんのも大概にしろよ」
「な、なんですって!?」
「お前になんの権限があって、そんなことをするんだ? お前は明久の彼女かよ? あ?」
雄二はそう言いながら、島田を睨みつけた。
「な! ウチが悪いって言うの!?」
「てめぇのは、ただの独りよがりだ! なんでもかんでも思い通りになると思ってんじゃねーぞ!」
「な、なんですって!」
「それに、他のクラスの奴に迷惑を掛けんじゃねーよ! てめぇは常識のカケラもねーのか!」
「アンタになんの権利があって、ウチにそんなことを言うのよ!」
「んなもんねーよ! 俺が言ってるのは、常識で考えろって言ってんだよ!」
そう言い放つと雄二は、手を離した。
すると島田は、咳込みながら座った。
「いいか、次に独断であんなことをしたら、問答無用で罰則を与えるからな。そのつもりでいろ」
雄二はそう言うと、鞄を持って教室を出た。
少しの間、咳込んでいた島田は、呼吸が落ち着くと
「吉井………あんたのせいよ……!」
と、恨みがましい目つきで呟いた。