僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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デートの終わり

雄二達は食べ終わると、色々なアトラクションを回った。

 

そして、締め括りに観覧車へと来た。

 

これは二人の意見が重なった結果であり、最後は観覧車でないと、ということだった。

 

そして、観覧車に乗って外を眺めていると

 

「……いい景色だね」

 

「ああ……」

 

と二人が会話を始めた。

 

「もう、何年の付き合いだ?」

 

「……大体、11年」

 

雄二の問い掛けに翔子が答えると、雄二は溜め息混じりに

 

「もうそんなになるか……長いわけだ」

 

と言った。

 

すると、翔子は頷いて

 

「……人生の半分以上の付き合い」

 

と言った。

 

「だなぁ……まあ、これからも付き合うわけだがな……」

 

「……うん」

 

二人はそう言うと、外を見ながら

 

「出来るなら、明久達とも長く付き合いたいな……」

 

「……うん」

 

と話した。

 

そして、数分後には二人が乗っていたゴンドラは下に降りて、二人はゴンドラから降りた。

 

そして時間もあったので、二人はそのまま帰宅することにした、

 

これからの学園生活に思いを馳せながら、二人は帰路へと付いた。

 

その頃、明久達は……

 

「ん……?」

 

「あ、起きましたか。明久」

 

明久が起きると、謙信は微笑みを浮かべながら明久の顔を覗き込んだ。

 

明久は最初、意識がボンヤリとしていたが、少しずつ意識がハッキリとしてきた。

 

そして気付くと、空は茜色に染まっていた。

 

明久は起き上がると、謙信に対して

 

「ごめん。かなり長い時間寝てたみたいだね……」

 

と謝った。

 

だが、謙信は首を振って

 

「いえ、大丈夫ですよ。どうやら、かなり疲れが溜まってたみたいですね」

 

と言った。

 

実際、寝る前よりも体が軽くなっているように、明久は感じていた。

 

どうやら、無自覚に疲れを溜めていたようだ。

 

そのことを、内心で恥じながら

 

「本当にごめんね、謙信。行きたいアトラクション、有っただろうに」

 

と再び謝罪した。

 

すると、謙信は微笑みを浮かべて

 

「いえいえ……明久の寝顔が久しぶりに見れましたから、おあいこですよ」

 

と言うと、立ち上がろうとした。

 

だが、その直後

 

「あっ!?」

 

足に力が入らなかったのか、謙信はガクッと前のめりに倒れそうになった。

 

だがそんな謙信を、明久が素早く支えた。

 

「すいません、明久……足に力が入らなくって……」

 

謙信がそう言うと、明久は首を振って

 

「ううん。そもそも、僕が原因だしね。足、痺れてるんでしょ?」

 

と指摘した。

 

明久が数時間謙信の膝枕で寝たために、謙信の足は痺れたのだ。

 

明久はそれを察知していて、近くに居たのだ。

 

「すいません、明久……すぐに」

 

謙信はそう言いながら立ち上がろうとするが、それを明久は、首を振って止めて

 

「無理しないの」

 

と言って、バスケットを渡した。

 

「そのままね」

 

明久のその言葉に、謙信が首を傾げていると

 

「よっと」

 

と明久は軽く気合いの声を上げて、謙信を抱え上げた。

 

右手は謙信の背中に、左手は謙信の膝裏に持っていった。

 

ようするに、お姫様抱っこである。

 

「あ、明久!? 私、重いですよ!?」

 

恥ずかしいからか、謙信は顔を真っ赤にしながら声高にそう叫ぶように言った。

 

すると明久は、微笑みながら首を振って

 

「謙信は軽いよ……逆に心配になる位だ」

 

と言うと、スタスタと歩き出した。

 

「しかし、明久……」

 

「大丈夫だって、僕に任せて」

 

謙信が再び抗議しようとしたが、明久はそれを、笑顔で遮った。

 

謙信としては、他人に見られるのが恥ずかしいのだが、明久としては気にならないらしい。

 

明久は謙信をお姫様抱っこしたまま、観覧車へと向かった。

 

明久曰わく、最後は観覧車でしょ、とのことだ。

 

そして観覧車に乗ると、明久は謙信を椅子に座らせて、自身は隣に座った。

 

そして、二人で外の景色を眺めていたら

 

「ねえ、謙信……」

 

と明久が、謙信に言葉を掛けた。

 

「なんですか、明久?」

 

謙信が問い掛けると、明久は真剣な表情で

 

「まだまともに刀も持てない僕だけど……待っててね、絶対に戻るから」

 

と言った。

 

すると、謙信は微笑んで

 

「ええ……待ってます……」

 

と言うと、二人は唇を重ねた。

 

そして二人は、観覧車から降りると出口へと向かった。

 

 

こうして、二組の如月グランドパークのデートは終わりを告げたのだった。


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