僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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今回からオリエンテーリング編です
あ、皆さんのおかげで10万UA突破しやした!
感謝です!


オリエンテーリング編
オリエンテーリング 始まり


「ん? なんだろ、あの人混みは?」

 

登校した明久達は、下駄箱の近くに数十人の人混みが有ることに気づいた。

 

上履きに履き替えて、明久達はその人混みに近寄った。

 

「なんか掲示板に張り出されてるみたいだけど……見えないなぁ」

 

明久は背伸びするが、前に居るのは明久よりも背が高い男子なので、掲示板は見えなかったが

 

「オリエンテーリングだとよ」

 

と、横から雄二が説明した。

 

「オリエンテーリング?」

 

明久が首を傾げて問いかけると、雄二は頷き

 

「なんでも、今日の五時間目と六時間目を使って、学校全体を使ってやるんだとよ」

 

と説明した。

 

「へー……学校全体かぁ……」

 

と明久が頷いていると、康太が現れて

 

「……俺の調査では、かなり豪華な景品がある」

 

と語った。

 

「豪華な景品ですか?」

 

謙信が問いかけると、康太は一枚の紙を取り出して

 

「……これが、現時点で分かってる景品内容だ」

 

と手渡してきた。

 

明久は紙を受け取ると、紙を一読した。

 

景品内容としては、安い物は如月グランドパークのストラップがあり、そこから、学食の1ヶ月食べ放題券や辞書セットなどがあった。

 

「あ、如月グランドパークのプレオープンチケットがありますね」

 

と謙信が指差した場所には確かに、如月グランドパークのプレオープンチケットと書かれてあった。

 

だが、明久としては隣に書いてあったシークレットアイテムのほうが気になった。

 

「このシークレットアイテムっていうのは?」

 

明久が問いかけるが、康太は首を振って

 

「……俺の情報網を持っても、詳細はわからなかった」

 

と言った。

 

「そっか……まあ、貰えばわかるよね」

 

明久はそう言うと紙を康太に返して、教室へと向かった。

 

その後、午前中の授業も無事に終わり、昼食も食べた。

 

そして、昼休み終了数分前。

 

高橋女史が教室に入ってきた。

 

「皆さん。これより、オリエンテーリングの班を発表します」

 

高橋女史はそう言うと、教卓のパソコンを操作した。

 

数秒後、ディスプレイにオリエンテーリングの班構成が発表された。

 

その中に

 

吉井明久・上杉謙信・天城颯馬の名前が一つの班として表示されていた。

 

「あ、同じ班だね」

 

「良かったです」

 

「明久様や謙信様と争わずに済みました」

 

と明久達が安堵していると、高橋女史はプリントの束を用意して

 

「今から、景品の場所のヒントを得るプリントを回します」

 

と言って、廊下側から配り始めた。

 

配られたプリントには、様々な分野の問題が書かれており、その問題を解くことで、景品のある場所が分かる仕組みらしい。

 

そして、プリントが配り終わったタイミングで、チャイムが鳴った。

 

「それでは、開始です」

 

高橋女史は宣言すると、教室を去った。

 

ディスプレイには、景品を得ても召喚獣戦闘で負けたら、相手に奪われる。

 

と書いてあった。

 

明久達はそれを見ると、プリントに視線を向けて

 

「さてと、解きますか」

 

と問題に取り掛かった。

 

そして、一問目を解き終わると

 

「あれ? この位置って、僕の席の位置だ」

 

と明久が言った。

 

なお、景品の位置はそれぞれ、X軸、Y軸、Z軸が交差する形で示されている。

 

そして一問目を解いた結果、示された位置はまさしく、明久の席の位置だった。

 

「間違いないのですか?」

 

「うん……何回解いても、僕の席だね」

 

颯馬の問い掛けに答えると、明久は自分の席を確認した。

 

そして、滅多に開かない冷蔵庫の中に、それを見つけた。

 

見つけたのは、ガチャポンのような物だった。

 

開けてみると中に入っていたのは、食堂の1ヶ月食べ放題券だった。

 

「あんまり使う機会はなさそうだけど、貰っとこう」

 

明久はそう言うと、食べ放題券をポケットにしまった。

 

そして気づけば、教室に居るのは僅か数人のみだった。

 

どうやら、解いた場所に向かったらしい。

 

その時

 

「あ、あったよ!」

 

と外から愛子の声が聞こえた。

 

窓から見てみると、校庭の中心辺りに、愛子、優子、翔子の三人が居た。

 

そして、愛子の手には先ほど明久が見つけたのと同じ物があった。

 

それを三人が確認しようとした時

 

「待った!」

 

「その景品、渡してもらうぜ!」

 

「解けないから、見張ってて正解だったぜ!」

 

と三人の男子が現れた。

 

その三人に明久は見覚えがあり、Fクラスの男子と分かった。

 

どうやら、問題を解くのを諦めて、景品を見つけた生徒から奪うつもりらしい。

 

「あら、あなた達で勝てるとでも?」

 

「はっ! 数で挑めばどうかな!?」

 

優子の挑発的な言葉に、一人が答えた瞬間に、他に10人近く現れた。

 

どうやら、全員が同じ考えらしい。

 

「三人に対して、大勢なんて……情けないと思わないの?」

 

「うるせぇ! 勝てばいいんだよ! 試獣召喚!」

 

優子の言葉に反論すると、男子達は一斉にキーワードを唱えて召喚獣を召喚した。

 

なお、このオリエンテーリング中は学校全体に先生が散っており、校庭には化学の教師が立っていた。

 

化学

 

Aクラス代表 霧島翔子 418点

 

木下優子 368点

 

工藤愛子 315点

 

VS

 

Fクラス男子×12 平均70点

 

点数が表示されると同時に、Fクラス男子達は一斉に飛びかかった。

 

だが、一瞬にして全滅した。

 

その光景はまるで、どこぞの無双系ゲームだった。

 

そして、Fクラス男子達が負けた直後

 

「戦死者は補習ー!」

 

西村が土煙を上げながら、駆けてきた。

 

「アイエェェェェ!? ナンデ!? 鉄人、ナンデ!?」

 

「これはオリエンテーリングであって、試召戦争じゃないのに!」

 

西村が現れたことにFクラス男子達が驚いている間に、西村は到着して

 

「それは貴様らの誤解だ! オリエンテーリングで負けても、補習は実行される! ただし通常と違って、出されたテストで学年平均を出したら、即解放はしてやる」

 

西村の説明を聞いて、男子達は安堵した。

 

だが

 

「ただし!」

 

世の中、そんなには甘くない。

 

「貴様らは卑怯な手を使って負けたから、満点を取らない限り解放はしないからな!」

 

「ふざけんな!」

 

「こんな日に、そんなことしたくない!」

 

「逃げる!」

 

西村の言葉を聞いて、Fクラス男子達は逃げ出した。

 

「そうか……ならば行くぞ! 王の○勢!」

 

西村が宣言した直後、周囲の光景が変わった。

 

校庭に居た筈なのに、荒野に変わっていた。

 

「な……!」

 

「こ、固有結界だと!?」

 

「バカな!?」

 

西村が行ったことに驚愕していると、土を踏む音が聞こえてきた。

 

男子達が視線を向けた先には小さな丘があり、そこから現れたのは、数十人にも及ぶ筋骨隆々の男達だった。

 

「この人達は俺が世界中を回って競い、強敵(とも)と認め合った猛者達だ……」

 

西村の趣味の一つ、レスリング。

 

彼は長期休暇を取っては世界中を周り、世界中の猛者達と戦ってはその技術を競い合っていた。

 

そして、そんな中にはお互いを強敵(とも)と認め合った者達と硬い絆を結んでおり、今も交流している。

 

「この荒野は俺達が競い合っていた場所の中で、一番印象に残っている場所だ……」

 

西村は誇らしげに語ると、固まっていたFクラス男子達に視線を向けて

 

「貴様らに逃げられるかな?」

 

と語りかけた。

 

その直後、男達はFクラス男子達へと猛然と駆け出して、西村も駆け出した。

 

「い、嫌だぁぁぁぁぁ!」

 

「助けてくれぇぇぇぇ!」

 

Fクラス男子達は逃げ惑うが次々と捕まっては、レスリング技を掛けられて倒れていった。

 

そして、最後の一人も西村のレスリング技によって倒れた。

 

西村はそれを確認すると、高々と拳を掲げた。

 

それに続いて、男達も拳を掲げて歓声を上げた。

 

その後、西村は一人一人と握手を交わすと、固有結界を閉じた。

 

そして閉じた後、西村はFクラス男子達を纏めて抱え上げると、校舎の中へと入っていった。

 

それを見ていた明久は、思わず

 

「相変わらず、西村先生は人間離れしてるなぁ……」

 

と呟いた。


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