僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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ちょっと短いです


黒幕の正体

誘拐犯を残らず倒して数分後、明久達は連絡を受けて来た吉井家の車に乗り込んで文月学園へと戻った。

 

そして学園に到着すると、島田が心配そうな様子で教室に居た。

 

すると、小さな女の子が

 

「お姉ちゃん!」

 

と声を上げながら、島田に抱きついた。

 

「葉月!」

 

島田もその小さな女の子、葉月(はづき)を抱き締めた。

 

その光景を見て、明久は首を傾げながら

 

「その子、島田さんの妹なの?」

 

と問い掛けた。

 

すると島田は、明久を見上げながら

 

「そうよ。ウチの妹の葉月よ。ほら、葉月。挨拶しなさい」

 

明久からの問い掛けに頷きながら、葉月に挨拶するように促した。

 

すると葉月は、目元の涙を拭いてから

 

「島田葉月です。助けてくれて、ありがとう。優しいお兄ちゃん!」

 

と言った。

 

明久は葉月の言った、《優しいお兄ちゃん》という言葉を聞いて、手をポンと叩き

 

「ああ、思い出した! あのぬいぐるみの時の!」

 

と言った。

 

「明久、ぬいぐるみとは?」

 

謙信が問いかけると、明久は頬を掻きながら

 

「うん……謙信達が来る前にね、葉月ちゃんが大きなぬいぐるみを買いたいって言ってたんだけど、お金が足りなかったんだ。だから、僕が代わりに払ったんだ」

 

と説明した。

 

「明久らしいな」

 

明久の説明を聞いて、信繁は納得した様子で頷いていた。

 

その後、島田は怯えていた葉月を家に連れて帰ることになり、帰宅した。

 

島田姉妹を見送った後、明久達は教室に残った。

 

理由は、とある人物を待つためだった。

 

そして、待ち続けること数分後

 

「待たせたね」

 

ドアを開けて入ってきたのは、学園長の藤堂カヲルだった。

 

「遅かったじゃねぇか」

 

雄二が文句を言うと、学園長は雄二に視線を向けて

 

「腕輪も調べてたから、時間が掛かったんさね」

 

と告げた。

 

学園長のその言葉を聞いて、その場の全員が真剣な表情を浮かべた。

 

何しろ、明久に関する腕輪と言えば、アレしかない。

 

「それで、わかったこととは?」

 

颯馬が問いかけると、学園長は頷いて

 

「あの腕輪は、何者かにより改造されていた。第一に教師でなくとも、効果が発揮出来るように。最後に、装着者の闘争本能を増幅させる効果があった」

 

と説明した。

 

その説明を聞いた信繁は、首を傾げて

 

「腕輪って、簡単に改造出来るのか?」

 

と問い掛けた。

 

すると、学園長は首を振って

 

「いいや……本来だったら、アタシしか出来ないはずさね」

 

と言った。

 

それを聞いて、信繁は顎に手を当てながら

 

「つまりは、相手に学園長並かそれ以上の技術者が居るのか……」

 

と呟いた。

 

その言葉に学園長は頷いて

 

「その通りさね。しかも、そいつが竹原に協力している可能性が高い」

 

と言った。

 

「教頭にですか?」

 

信玄が問い掛けると、学園長は頷いてから西村を手招きして

 

「島田の家から回収した箱と紙から、教頭の指紋が見つかった」

 

と告げた。

 

西村の言葉を聞いて、幸村は険しい表情を浮かべて

 

「つまりは、今回の誘拐と合わせて、教頭が裏から操っていたと?」

 

と問い掛けた。

 

幸村の言葉に学園長は頷き

 

「そういうことさね。そして、今回の件に合わせて竹原の周りを色々と調査した結果、竹原が近隣の私立の高校に出入りしていることと、教室の改善費用を横領していることがわかった」

 

学園長の言葉を聞いて、優子や秀吉達は目を見開いた。

 

竹原がやっているのは、完全に犯罪の域である。

 

その時、雄二が右拳を左手に叩き付けて

 

「あいつが何を企んでるなんて、正直知ったことじゃねぇ……だがな、あいつはやっちゃいけない事をやったんだ……きっちりと、片ぁ着けようじゃねぇか!」

 

と言った。

 

「おうよ!」

 

「誰に喧嘩を売ったのか……教える必要がありますね」

 

「さすがに、今回ばかりは僕も怒ってますよ」

 

雄二の言葉を聞いて、その場の全員が口々に賛同の声を上げた。

 

その光景を見て、学園長と西村は微笑んだ。

 

「これなら、大丈夫さね」

 

「ええ……こいつらならば、大抵の事は切り抜けられるでしょう」

 

こうして、文化祭初日は波乱と共に終わった。

 

そして、事件は終幕へと向かう。

 


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