僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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衣装は頑張って考えました


始まる文化祭

時は過ぎて、文化祭当日

 

Aクラスの教室では……

 

「いらっしゃいませー!」

 

「コスプレ喫茶へようこそ!」

 

様々な衣装を着た生徒達が、入ってくる客に対して接客していた。

 

ちなみに、それぞれが着ている衣装は以下の通りである。

 

明久 明治剣客浪漫譚主人公

 

謙信 一年中桜が咲く島の素直になれない妹(二作目)

 

雄二 某運命の赤い弓兵

 

翔子 某クイズ学校ゲームの天才少女

 

信玄 某船コレクションの悪夢と呼ばれた犬みたいな少女

 

幸村 信玄と同じ作品のへそ出しツインテール

 

信繁 錬金術漫画の焔使い

 

颯馬 某子供先生

 

優子 某魔法少女の関西弁の女の子

 

秀吉 某剣デスゲームの主人公

 

康太 某ゲーム世界に閉じ込められた三白眼の付与術士

 

となっている

 

そんなコスプレ喫茶の滑り出しは順調で、いわゆる満員御礼だった。

 

ちなみに、他のクラスメイト達の衣装は、女尊男卑の世界の制服だったり、某魔法少女のツインガンナーだったりと様々だ。

 

ちなみに、これらの衣装の大半を作ったのは康太である。

 

彼は僅か一週間で、約三十着は作ったのである。

 

残りは有志女子達が作ったのだが、恐ろしいのはその正確性と製作速度だろう。

 

康太の作った衣装を着た生徒達は、その採寸の丁度さに驚愕していた。

 

サイズを教えた覚えはないのに、康太の作った衣装は各個人にピッタリだったのだ。

 

なぜピッタリだったのか、明久が聞いたら

 

『……俺に、不可能はない』

 

と言ってのけた。

 

それを聞いた明久は

 

(なんでだろう……言ってることは決まってるのに、素直に賞賛出来ない……)

 

と思った。

 

閑話休題

 

そして、学園長と交渉した試験召喚獣大会には雄二と康太のペアが参加することになった。

 

そして、文化祭が始まって数時間後

 

『ただいまより、試験召喚獣大学を開催します。選手の方々は各試合会場までお越しください』

 

という放送が聞こえた。

 

「そんじゃあ、行ってくるわ」

 

「……勝ってくる」

 

放送を聞いた雄二と康太の二人は、そう言うと教室を出ていった。

 

試験召喚獣大会は、一回戦から三回戦までは試合観戦はできないらしく、明久達は素直に見送った。

 

そして、数分後

 

「明久。明久はそろそろ、休憩に入ってください」

 

と明久は、謙信に休憩に入るように促された。

 

「え、でも……」

 

明久がためらっていると、謙信が腰に手を当てて

 

「いいですか? 明久のケガは、未だに完治してません。それに、開店してから、明久は働き詰めではないですか」

 

開店してから既に、数時間が経過しており、働いている生徒の中では、明久が一番と断言出来るほど動き回っていた。

 

料理は勿論のこと、接客から写真撮影までこなしている。

 

ちなみに、この写真撮影は指名式で一回五百円と高めだが、明久はダントツで指名されている。

 

なお、謙信達もかなり指名されている。

 

閑話休題その2

 

「幸いにも、今はお客も少ないですし。明久は休憩に入ってください」

 

謙信がそう言うと、明久は数秒間悩んで

 

「わかった。そうさせてもらうね」

 

要請を受け入れることにした。

 

その時

 

「……それなら、上杉も休憩に入って」

 

いつの間にか、謙信の背後に翔子が居た。

 

どうやら、先ほどの明久との会話を聞いていたらしい。

 

「よろしいのですか?」

 

謙信が問い掛けると、翔子は無言で頷いて

 

「……さっき上杉が言った通り、今はお客が少ないから、二人くらい抜けても問題はない」

 

と言った。

 

それを聞いた謙信は、明久と同じように数秒間悩み

 

「わかりました。ご好意に甘えさせてもらいますね」

 

翔子の提案に従った。

 

「……ん。いってらっしゃい」

 

翔子が見送るなか、明久と謙信の二人は教室を後にした。

 

◇   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

 

「本当に、賑わってますね」

 

「うん」

 

二人は歩きながら、周囲を見回して微笑んだ。

 

近くの出展エリアからは、集客役の生徒の声が聞こえ、どこからかは香ばしいソースのいい匂いが漂ってきた。

 

「まさしく、お祭りって感じだね」

 

「ええ」

 

二人が会話しながら歩いていると

 

「お? そこに居るのは、剣聖と軍神か」

 

と、称号を呼ばれた。

 

二人が振り向いた先に居たのは、眼帯を付けた美少女だった。

 

「ああ、政宗」

 

「奇遇ですね」

 

二人はそこまで言ってから、首を傾げた。

 

「政宗……なんで、男装してるの?」

 

「結構、似合ってますが……」

 

二人の視線の先には、男物のスーツを着た政宗の姿があった。

 

「ん? ああ……私達のクラスの出展内容はな、男女逆転祭りでな」

 

「ああ……なるほど」

 

「これはまた……斬新ですね」

 

政宗の話を聞いて、二人は困惑気味だが納得した。

 

「政宗はいいの?」

 

「ああ。私は休憩中でな……今は小十郎が指揮している」

 

政宗はそう言いながら、手に持っていた綿アメを振ってみせた。

 

「そういえば、剣聖よ。ケガは大丈夫なのか?」

 

政宗がそう問い掛けると、明久は軽く右腕を回しながら

 

「まあ、大体は治ったよ。けど、まだ完治じゃないんだ」

 

「なるほどな……あまり、無理はしてくれるなよ?」

 

明久の説明を聞いて、政宗は心配そうにそう言った。

 

「うん、ありがとうね」

 

「政宗もよろしかったら、私達のクラスに来てくださいね?」

 

「ああ……確か、お前達のクラスはコスプレ喫茶だったか?」

 

政宗がそう言うと、明久は頷き

 

「だから、こんな格好なんだよね」

 

と言いながら、腰帯に刺してある刀に手を添えた。

 

「大丈夫なのか? 刀に触れて……」

 

政宗が問い掛けると、明久は微笑みながら

 

「うん、なんとかね……」

 

「模造刀ですからね」

 

明久が腰に帯びている刀は、これも康太が見つけてきたものだ。

 

なんでも、知り合いの中に刀鍛治が居るらしい。

 

それを聞いた明久は、康太の交友範囲に驚いたのを覚えている。

 

しかも、その刀鍛治も僅か三日で打ち上げで送ってきたらしい。

 

閑話休題その3

 

「しかも、写真撮影のおかげで普通に握れるようにはなったよ」

 

「お客からの要望の中で、刀を構える要望が多かったですからね」

 

明久に続けて謙信がそう言うと、政宗は頷き

 

「なるほど……PTSDの治療にも役立ったか」

 

「うん……」

 

政宗の言葉に、明久は頷いた。

 

なお、謙信は明久の衣装に刀があったのを見て心配していた。

 

トラウマが発症して、倒れるのではないかと。

 

その証拠に、明久は最初、刀を握ると震えていた。

 

だが、回数を重ねる度にその震えは少しずつ収まっていった。

 

それが、謙信にとっては嬉しかった。

 

模造刀とはいえ、明久が再び、刀を握れるようになったことを。

 

そして、謙信はふと腕時計を見た。

 

「明久、そろそろ戻りましょう」

 

謙信がそう提案すると、明久は驚いた様子で

 

「え? もうそんなに時間が経ったの?」

 

と問い掛けた。

 

すると、謙信は頷いて

 

「ええ、既に40分は経ってます。そろそろ戻らないと」

 

「そっか……そろそろ、戻らないとまずいね」

 

明久はそう言うと、視線を政宗に向けて

 

「それじゃあ、僕たちはそろそろ教室に戻るね」

 

「ああ、わかった。後で、そちらの教室に伺おう」

 

政宗はそう言いながら、去っていく明久達を手を振って見送った。

 

この後教室で、問題が起きる。


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