お久し振りです。
いやぁ……本当に長い事放置してしまい、すみません。
何と言いますか、ネタが浮かんでこなかったのもあるんですが、現在、別の小説投稿サイトのイベントで小説を書いていまして。
その期限が来月までなんでここに来る暇がありませんでした、と。
その割に何か新しい小説書いてるけど、そこは言ってはダメなお約束。
さて、第8章第一話です。
第1話
「うぅ・・・・・・まだ口の中に味が残ってる・・・・・・」
放課後。
琉歌は、フランとベルとマーモンと一緒に駅前のコンビニに立ち寄って、口直しの飲み物を買って駅のホームで屯って話していた。
琉歌は紅茶を一気に飲んで死んだ目をしている。
「そんなに不味かったの? そのポタージュ」
「この世の(不味いもの)全てをそこに置いてきた!とでも言いたげな不味さだったよ。
あれ、ゲロマズ王にでもなれるよ。 てか、ギネス申請してこい、な不味さだったよ」
マーモンの問いに琉歌が答える。
実は琉歌が飲んだ後、琉歌の様子が可笑しかった為フランとベルはポタージュを一口飲んで飲むのをやめた。
それを見た鈴原先生が不審に思って味見をした結果、「これは飲めたものじゃない」とポタージュを別の物に作り直したのだ。 なので、マーモンはオニオンポタージュを飲んでいない。
「それでも一気に飲んで更に何事もなかったかの様に振る舞ったお前は確かにカッコ良かったよ」
「ホント、明らかに取り乱していたどっかの堕王子とは大違いですー」
「誰の事言ってんだ、コラ?」
「心当たりがあるなら、その人で間違い無いですよー、堕王子」
蛇足ではあるが、激マズポタージュを飲んだベルは、誰が見ても解るくらいに顔を真っ青にしてその場で噎せたと言う。
フランはギリギリのところで表情には出さなかったのだ。
「おい、フランてめぇ、帰ったら覚悟しろ」
「あれー、おかしいなー?
「帰ったら真っ当に生きる」とか言ってた人、誰でしたっけー?」
「もうやめなよ、二人とも。 暑いし五月蝿い。
・・・・・・はい、琉歌、半分あげる」
「どーも」
ベルとフランの口論をマーモンが諌める。
後者は琉歌にぺピコを半分あげながら言った言葉だ。
昼間よりは断然マシだが、夜は夜で暑い。
「マーモンが他人に物をあげるトコなんか、初めて見たんだけど。
こりゃ明日は台風時々隕石落下かな。
運がよけりゃ宇宙ステーション降ってくるんじゃね?」
「侮辱料取るよ、ベル。
琉歌がぺピコ買おうとしてたけど「二本も食べられない」って言ってたから、丁度僕も買おうと思ってたし「じゃあ、シェアしよう」って事になったんだよ。
まぁ、琉歌には編入する時に飲み物奢ってもらったワケだし、これで貸し借りなしだよ」
「そう言う事〜」
マーモンが説明すると、琉歌はニコリと笑ってピースサインする。
いつの間にそんなに仲良くなってんだよ、この守銭奴。
これは、ベルとフランの心の声である。
「あ、そうだ。
ちょっと三人とも、これ見て」
琉歌はぺピコを咥えると鞄からケータイを出して、その画面をマーモンたちに見せる。
画面には、メール画面が表示されていた。
送信者の欄には「琉稀」とある。 双子の兄からのメールらしい。
三人はメールを読んでいく。
そこには、こう書いてあった。
── ── ── ──
20XX/07/12
From:琉稀
Sub:Re:Re:Re:Re:Re:Re:琉歌ー!琉歌琉歌琉歌ー!僕のマイハニー!
── ── ── ──
再来週の日曜に会わない?
俺もヴァリアーに会ってみたい!
─ ─ end ─ ─
── ── ──
「何このテンション。 大丈夫か?」
「て言うか、琉歌ー。 この時間って授業中じゃないですかー。
授業中に何やってんですか、まったく」
「彼ってこんなテンションなの?」
メールを見たベル、フラン、マーモンの第一声である。
三人三様で琉稀にドン引きしていた。
琉歌は頭を抱える。
「あー、何かねー。 うちの兄貴ってシスコンなのよ。 あと、メールのテンションが一々ウザい。
だから、件名は気にしないで。
それより、本件の方。
琉稀には君達が来た事とか話したんだけど、そしたらめっちゃ興奮してね。
会いたい会いたい五月蝿いから、また今度ねって話したら「月一のデートだけは誰にも邪魔されたくない」とか言い出してさ?
あぁ、琉稀と私、兄妹だけど母親と実父が仲悪くてね。
私の母親も兄貴の事は嫌ってるし、私も兄貴の父親には嫌われてるみたいだから、堂々と会えないのよ。
デートってのは琉稀が勝手に言ってるだけね。
──で、じゃあ、
嫌なら断ってもいいよ」
琉歌の話を聞いた三人は、予想以上にドロドロだなぁ、と思った。
三人は考える。
琉歌の兄貴。 確かに興味はあるけど、このテンションで初っぱなから迫られるのだろうか。
それとも、琉歌みたくガチガチの警戒モードで小舅の様に色々言われるのだろうか。
そのどちらを想像しても嫌だ。
「どうすっかなぁ・・・・・・ちょっと興味はあるけどさ。
双子なんだろ? 琉歌の男バージョンって感じ?」
「いや?
まぁ、確かに双子だけど下手したら私よりも女の子然としてるよ。
そう言う教育されてるからね」
「琉歌を女の子然とさせた・・・・・・ちょっと気になりますねー」
「まぁ、考えといてよ。 嫌なら嫌でその様に伝えるし。
断ったからって、取って食ったりはしないしね」
「解りましたー」
琉歌の言葉にフランは頷く。
考えとく、と言いつつも、フランの中では答えは決まっていた。
「よし、んじゃあそろそろ駅に向かいますか。
もういい時間でしょ」
携帯を見た琉歌が、三人に帰宅を促す。
時刻は20時。もう直ぐで電車が来る時間だ。
琉歌の言葉に頷いた三人を見て、琉歌は駅へと向かっていった。
―― ――
「ちょっと、安藤さん。
話があるんだけど、良い?」
「嫌です。今日はこれから帰って彼らと勉強会なので、話している暇はありません」
駅に着くと、琉歌は4人の女子生徒に引き留められた。その内の一人は水田ともう一人は竹内で、彼女が琉歌に声を掛けてきたのだ。
突っぱねるような琉歌の言葉に水田は――否、水田と一緒に居た三人の女子もムッと顔を顰める。
「大体、群がらないと一人に対して何も言えないんです?
何か言いたいなら、無関係の人は何処かへやってくれませんかね。目障りです」
「ちょっと何、その態度?調子に乗りすぎじゃない?」
琉歌の言葉を聞いた竹内が突っかかってくる。琉歌はそれを無視することにした。
「で、私に用があるのは――君たち二人ですね。
後の二人は先輩なので関係ないでしょう。
それでもここに居るなら構いませんが……1対4なんてフェアじゃありませんからね。彼らも一緒で良いでしょう?」
水田と竹内を指すと、先程から離れる様子のないマーモン達の様子を見て琉歌は、そう提案した。
彼らもこの状態に何かあると何となく察したのだろう。
「安藤さんも群がらないと何も言えないんじゃない。人の事言えなくない?」
「何を言ってるんです?
マーモンは確かに無関係かもしれませんが、ベルとフランは大いに関係あるでしょう?クラスメイトですし」
琉歌の言葉に、竹内は言葉に詰まった。