Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

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お疲れ〜! 今日はこれで更新終わり!
今日はベルとフランと琉歌の学校でのOne dayを見ていきたいと思います!w
フランキャラ崩壊注意。

そして、このネタが解る人は果たして居るのだろうか・・・・・・←
多分、紅と同じ年代でギリギリ解るかな?
あぁ、年代がバレたな←

そんな第5話です。
今回はおまけ小説あります。


第5話

「──君ら、何してるのさ?」

 

夕方の補食室。

琉歌は今、補食室に来たクラゲとカエルにスライディング土下座されている。

二人の手には、今日の授業で提出しなければならないプリントとノートが抱えられていた。

 

「見ての通りですー。

昨日、やろうやろうと思ってたんですが、思いの外ヴェ●ペリアを進めてしまいましてー。

気がついたら寝落ちしてたんですよー」

 

「うん、フランに関しては今月の電気代は多く徴収させてもらうよ。

で、ベルの方はどうしたのさ?

珍しいじゃん、君が課題やり忘れるなんて」

 

「あぁ・・・・・・どっかのボケガエルが隣でピコピコしてたらさ?

気が散って課題が進まなかったとか、よくあるじゃん?」

 

「ミーのせいですかー」

 

「お前のせいだろ、どう見ても!」

 

「ゲロッ!!」

 

琉歌の尋問に答えるクラゲとカエル──又の名をベルとフランの背には、冷や汗が流れていた。

きっとこの汗は、暑さのせいで出ているモノだ、うん。

二人はそう言い聞かせる。

 

朝から寝不足だったらしい琉歌の機嫌は、今しがた二人に起こされたことにより最悪MAXだった。

琉歌の目付きがいつも以上に凶悪だ。 軽く100は殺ってそうである。

 

「暑苦しいから喧嘩しない!

んで、フランに関してはテスト終了までゲームは没収!

君達、テスト期間に遊んでると進級できなくなるよ。

特に期末は大切なんだから、一教科たりと落とせないんだよ?

勿論提出物も単位に含まれるから、ちゃんと出さないとその分引かれるし。

君らだけ来年ダブってもいいの?

定時制の在籍年数何年だと思ってんの?

4年だよ? あと3年もあるよ?

それが、ダブったらばまた3年いないといけなくなるよ?

5年も在籍してられる?」

 

機嫌が悪いせいなのか、いつもより饒舌に小言を言ってくる。

琉歌は、コーラを一気に飲み干すと「はぁーっ」と息を吐いた。

 

「まぁ、良いや。

時間の無駄だからとりま、歴史から始めるよ。

ほら、そこ適当に座って」

 

「ありがとうございますー」

 

この時ばかりはフランもベルも、琉歌を救世主だと思った。

 

* * *

「つか、何で二人とも課題が解らないんだ?

特にベル。 君天才じゃなかったっけ?」

 

二人に課題を教えている時、琉歌はふと疑問に思った。

そう言えばこいつら、腐っても独立暗殺部隊の幹部じゃねぇか。

それなのに勉強ができないってどう言うこと?

 

そんな琉歌の疑問にフランが答える。

 

「何か、ミー達の居た世界とここの世界とじゃ全く歴史が違うんですよー。

まず、あっちの世界にこの【切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)事件】なんてありませんでしたしー。

リンカーンも存在しなかったんですよー。

だから解らないことだらけなんですよー、この世界」

 

「なるほど、合点がいった。

それなのに、ロクに勉強せず(あまつさ)えゲームで時間を無駄に過ごして、挙句が寝落ちか。

良い度胸だ。この野郎」

 

琉歌は、フランの頬をシャーペンで突っつく。

それもそうだ。 つまりフランは致命的なハンデがあるにも拘らず遊んでいたのだ。

アホとしか言いようがない。

 

「いだっ、いだだっ!

だから、すみませんってー。

ミーも不本意だったんですよー。

まさかあそこで、エス●ルがパワーアップして襲ってくるなんて思わないじゃないですかー。

しかも、セーブできないしー。

アレ●セイ倒すの、本当に苦労したんですよー」

 

「お前は何中盤までちゃっかり行ってんだよ。

この間始めたばかりだったろーが、コラ」

 

「琉歌、1902年にイギリスと日本が結んだ同盟って日英同盟で合ってる?」

 

「正解。

これは、1902(日暮れに)日英同盟で覚えると良いよ」

 

フランを締めながら、琉歌はベルの質問に答える。

 

「じゃあ、その時に結ばれた不平等な条例を二つ答えよ」

 

「えーっと・・・・・・【治外法権を認める】、【関税自主権がない】・・・・・・だっけ?」

 

「そっ。

記憶力いいねー、流石王子だわ」

 

「しししっ、当然だろ?

だって俺、王子だもん」

 

「そのセリフ、すっげぇ久しぶりに聞いたよ。

やっぱり生声は違うねー」

 

「ちぇっ、堕王子の間違いですよー」

 

ベルと琉歌が和気藹々と話している横で、フランは腐っていた。

どうやら、ベルと琉歌が仲睦まじく話しているのは面白くないらしい。

 

「何、フラン嫉妬? カエルのクセに?

男の嫉妬は見苦しいぜ?」

 

「違いますー。

ミーがその気になれば琉歌くらい落とせますしー?

だから、堕王子に嫉妬する理由はないですねー」

 

「うわ、それどう言う意味だコラ。 見くびってると取っていいよね?」

 

「冗談ですよー、冗談ー。

だから、首締めないでくださ・・・・・・い・・・・・・」

 

「しししっ、バカじゃねーの、カエル?」

 

フランの首に腕を回して首を絞める琉歌を見て、ベルはフランを笑った。

 

「んで、君は何処まで進んだのかなー? フ・ラ・ン?」

 

フランの首をキメながら、琉歌はフランのノートを覗き込む。

ノートには、今ベルに説明した内容が書かれていた。

どうやらちゃんと聞いていたようである。

 

「なぁんだ、ちゃんと話聞いてんじゃん。

良かった良かった。

これで何も書いてなかったらどうしてくれようかと思ったよ」

 

「どうしてたんですかー?」

 

「とりま、家に帰ってリアル太鼓の●人。 フランが勿論太鼓」

 

「この人鬼畜すぎますー」

 

琉歌は「ふはっ」と空笑いをした。

何を今更。 寧ろ褒め言葉だ。

 

琉歌とベル、フランはもうすぐで授業が始まる為、教室に移動した。

 

* * *

三人で教室に入れば、既に授業が始まっていた。

社会の教師がハゲ散らかした前髪を光らせながら、苦笑して三人に言う。

 

「三人して、何で遅くなったんですか?

確か、ベル君とフラン君に関しては早い時間から来てましたよね?」

 

「三人で社会ボイコット計画立ててましたー」

 

フランの回答に教師は苦笑する。

琉歌は先にさっさと一人、いつもの定位置──廊下側の一番後ろの席に座った。

 

「おはよ、安藤さん」

 

「おはようございました」

 

席に着けばいつもの調子で本田が話しかけてくる。

琉歌は当たり障りなく返すと、鞄から教科書とノートと筆箱を取り出していつものように教科書の要点だけをノートに纏める。

 

「今日は遅かったんだね?」

 

「まぁ、私にも事情というものはありますから」

 

本田が話を振ってくるが、琉歌は詳しいことは言わない。

大体いつもこんな調子である。

 

「お前も飽きねーな?

毎日話振ってるけど、つまんなくねぇの?」

 

本田の隣に座ったベルが肩を竦めていう。

普通、会話を強制終了されると次からは話したくなくなるものではないのだろうか。

本田は微笑んで言った。

 

「だって、安藤さんの方が話が合いそうだから。

それに、二次元が好きな人に悪い人は居ないからね」

 

「はい、君たちはちょっと私語多いですよ」

 

「は〜い、すみません」

 

本田が喋っていると、教師が注意して来た。

本田はすぐ様謝る。

 

琉歌はノートを纏め終わったらしく、小さく寝息を立てて睡眠学習をしていた。

 

* * *

1時間目、2時間目が終わって補食室に行くと、琉歌とベル、フラン以外はまだ誰も居なかった。

強いて言えば養護教諭の鈴原先生が居るだけだ。

鈴原先生は三人の姿を認めると、上品な老婦人の様な笑みを作る。

 

「あら、三人とも早いですね。

パンならそこのテーブルにあるので、勝手に取って行ってください」

 

「こんばんはー。

今日の飲み物は何です?」

 

「今日はオニオンポタージュにしてみたわ。

はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

琉歌は、鈴原先生がカップに(よそ)った真っ白なポタージュを受け取る。

それに続いて、フランとベルがそれを受け取った。

 

「新しく発売されてたから買ったのですが、如何ですか?」

 

白い液体を見つめる琉歌に、鈴原先生は伺いを立てる。

琉歌はカップに口を付けた。

ツーンと酸っぱい匂いが鼻を取り抜ける。

 

オニオンポタージュと言ってたからな。 匂いはこんなものだろう。

知らない、知らない、僕は何も知らない。

匂いの時点で体が白い液体を体内に取り込むのを嫌がっていることは。

 

琉歌は、意を決してそれを口に含んだ。

 

「──っ!!」

 

──マズっ!!

鳥肌がゾワゾワと全身を駆け巡った。

何これ!! クッソまずい!! 超まずい!!

それが、琉歌の感想だった。

 

口の中にこの世のものと思えない酸味が広がり、一緒に入れられていた味噌の様な物と一緒に絶望のハーモニーを奏でている。

まるで、腐ったヨーグルトの様な酷い味だ。

この世にこれとド●ターペッパーしかないのなら、迷わず絶食して死ぬ覚悟を決めるだろう。

そのレベルで飲めたモンじゃない。

 

──しかし。

琉歌は白い液体を見詰める。 次に飲むのを躊躇う味だ。

脳味噌が必死で赤信号を点滅させ、警鐘まで鳴らしている。

“あっかーん! これは飲んだら死んでまう! あっかーーんん!!”と。

必死に飲むことを拒む。 飲むな、危険!と、身体中の筋肉に指令を下す。

 

だがしかし。 琉歌は“出された物はポイズンクッキングだろうが責任を持って食え”と教育されているため、これを飲まないわけにはいかない。

 

琉歌は意を決した。

意を決して──飲んだ。 一気飲みだ。

 

「はぁ・・・・・・。

あまりの美味しさに、脳漿(のうしょう)を揺さぶられ昇天するところでした。

ご馳走様」

 

琉歌は、カップを台所で洗うと、補食室を後にした。

 

──その後、琉歌の行方を知る者は誰も居なかった。




@その後

「琉歌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!?」

補食室に行く途中の廊下で、頽れている琉歌を発見したマーモンは珍しく取り乱したとか、そうでないとか・・・・・・。

「あぁ・・・・・・マーモン・・・・・・。
見てー、向こうに美味しそうな水が流れてる川があるよ・・・・・・」

「それ絶対飲んじゃダメなヤツだよ!?」

「あー・・・・・・死んだ筈のじっちゃんが手ェ振ってるー・・・・・・。
会ったことないけど・・・・・・ははー・・・・・・。
じっちゃんが呼んでるー・・・・・・」

「戻っておいで、琉歌あぁぁぁあ! 行っちゃダメだー!」

瀕死の琉歌とマーモンのそんな会話が廊下の隅で展開されていたらしい・・・・・・。

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