Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

41 / 44
お待たせしました〜!
今回は何と!
フランがちょっとキャラ崩壊します←
何だろうなー。
フランって漫画とか読ませたりゲームとかさせるとどっぷりと嵌っていきそうなキャラだなーと勝手に思っている今日この頃w
まぁ、一人ぐらいオタクになってもいいよね、うん!

そんな、第4話です。

次の話は1時間後に更新します。


第4話

ベルからの告白から2日が過ぎた。 今でも信じられない。

琉歌は部屋に置いてある鏡で自分の顔を見てみた。

決して色白とは言わないが、地黒とも呼べない黄色肌(イエローモンキャー)の顔に、色素の薄い髪と目。

決して高くはない鼻に、堀の浅い平たい醤油顔。

そして、東洋人特有の童顔。

 

昔、誰か有名な人間が言った。

有名人が言っていなくても、きっと誰かが言ったであろう。

“日本人は若返りの秘薬を飲んでいる”。

そう言われてもおかしくない程、童顔の多い人種。 それが、日本人(ジャッポネーゼ)

 

鏡の中の自分の顔は、誰がどう見ても平たい醤油顔の日本人(イエローモンキャー)だ。

とてもモテそうにない顔をしている。

目つきが悪くて、やる気のないメランコリックな顔。

 

「・・・・・・これの何処に惚れる要素があるんだか?」

 

琉歌は首を捻る。

おそらく、ベルの目には“美少女フィルター”か何か掛かっているのだろうか。

それか、ベルの頭の中で120%美化されているのか。

 

そうとしか思えない。

でなきゃこんな、凶悪顔の自分に惚れる筈がないじゃないか。

しかも、あちらさんは彫りが深くて鼻筋通ってて、金髪碧眼の色白な外人さん。

どう見ても不釣り合いである。

 

──コンコンッ。

うーん、と首を捻らせている琉歌の耳に、不意にノックが聞こえてきた。

琉歌は鏡を仕舞うとシャーペンを取って机に広げたノートに宛行い、「どうぞー」と襖に声を掛ける。

スッ、と襖が開いて、フランが部屋に入ってきた。

 

「どうした?

もう進●の巨人読み終わったん?

次、何が読みた──」

 

「琉歌、話があるんですがー」

 

琉歌の言葉は遮られ、琉歌はフランをキョトンとした目で見た。

 

「え・・・・・・あ・・・・・・はい」

 

その翡翠の双眼はいつになく真剣な色をしていて、琉歌は何も言えずにフランの言葉に頷いた。

 

* * *

太陽が傾いて、もうすぐで夕方になろうかと言う時間。

琉歌とフランは蒼星川の河川敷に来ていた。

欠けた白い月が少し早く顔を出している。

 

対岸のマウントでは少年野球団が元気よく終わりの挨拶をしている声が聞こえた。

河川敷でバーベキューを楽しんでいた家族やカップルなどがチラホラと帰って行っている光景を眺める。

 

何故、こんな所に居るのかと言えば、先ほどフランが部屋に来た所まで遡る。

あの後、フランは「ここじゃ何なので、準備ができたら蒼星川のいつもの場所に来てくださーい」と言って、先に出て行ってしまった。

 

なので、ここでフランを待って居るのだが・・・・・・。

おかしい。

フランの方が先に出て行った筈なのに、琉歌の方が先に着いてしまったではないか。

琉歌は腰掛け岩に小さいレジャーシートを敷くとその上に座って、夕日を反射してキラキラと黄金に輝く水面を見つめる。 綺麗な色だ。

 

「知・・・・・・らない 、知らない・・・・・・ 僕は何も知らない。

叱ら・・・・・・れた後の優・・・・・・しさも・・・・・・ 雨上・・・・・・がりの・・・・・・手の温もりも・・・・・・。

でも、本当は、本当は、本当に、寒いんだ・・・・・・」

 

気が付くと、ポツリ、ポツリと呟くように歌っている。

人混みから離れている川岸で歌うのは何ともない。 喧騒の中に琉歌の声は届かないから。

琉歌は小さな声で呟く様に続けた。

 

「吐き出す様な暴力と 蔑んだ目の毎日に

君はいつしか そこに立ってた

話し掛けちゃダメなのに 「君の名前が知りたいな」

ごめんね、名前も 舌もないんだ」

 

今の心境を吐き出す様な歌声。

しかし、琉歌の歌を聴いてもその時の琉歌の感情を知る者は居ない。

両親でさえ、「多分、その歌が好きなのだろう」と言う認識でしか見ていない。

 

「僕の居場所は何処にもないのに 「一緒に帰ろう」

手を引かれてさ」

 

いつの間にか琉歌は、呟く様な声から普通の大きさの声で歌っていた。

感情が入ってくると声の制御ができないのは、琉歌がその歌を無意識に歌っている為だ。

 

「知らない 知らない 僕は何も知らない

君はもう子供じゃない事も 慣れない他人(ヒト)の手の温もりは

ただ本当に本当に本当の事なんだ

やめない やめない 君は何でやめない?

見つかれば殺されちゃうクセに 雨上がりに忌み子が二人

夕焼けの中に吸い込まれて消えてった」

 

「やっぱり、生歌は最高ですねー」

 

「フッ、フランっ!

い、いつからそこに居て・・・・・・てか、遅いよ!

一体、どう言う道を通ったらこんなに遅くなるんだ?」

 

歌い終わったタイミングで突然後ろから声が掛けられ、琉歌は慌てて振り返る。

その後ろには、フランが澄まし顔で立っていた。

琉歌は顔を真っ赤にして、フランに捲し立てる。

フランは至って涼しげな顔で言った。

 

「琉歌が歌い始めた辺りからですよー?

あまりに楽しそうに歌っていたもんですから、こそっと見守る事に徹していましたー」

 

「見守らなくていいッ! 来たんなら話し掛けてよ、怖いなぁ、まったく」

 

「そんなに怒らないでくださいよー?

話が長くなるだろうと思ってミー、態々(わざわざ)コンビニ通って遠回りして来たんですからー」

 

文句を言う琉歌の手を取ってその手に午前の紅茶を手渡す、フラン。

だから遅くなったのか、と納得した琉歌は、そっぽを向いて礼を言う。

 

「あ、ありがと・・・・・・」

 

小声で呟かれたお礼は、フランの耳にちゃんと届いていた。

 

「で、話って何?

家に居たらできない話だから呼んだんでしょ?」

 

「はいー。

こんな事、家で言ったらボスとかアホのシスコン隊長に殺されますからねー。

人生終了の悲報(The end of ミー)ですよー」

 

「なんか言った?」

 

琉歌の問いに頷いたフランの後半の呟きは琉歌の耳には届かなかった様で、琉歌は小首を傾げて問い掛ける。

するとフランは「いいえー」と首を振った。

 

「琉歌ー」

 

「うわっ、フラン・・・・・・?」

 

フランは琉歌の隣に腰を下ろすと、琉歌の頭を胸に抱き寄せた。

突然の事に頭が停止する、琉歌。

何これ?どう言う状況? 私の身に一体ナニガオコッタノ?

 

「本当、琉歌って小さいですよねー」

 

「え・・・・・・?と?」

 

「凄く小柄で、少し力を入れただけで壊れそうですー」

 

「ちょっと、なに言って・・・・・・っ!?」

 

戸惑う琉歌を他所に、フランは琉歌の言葉を遮る様に琉歌の腰に手を回して、しっかりと抱き寄せた。

 

同じ年代の少女とは思えないくらい小柄だ。

手を回している腰だって、少し力加減を誤ったくらいでもすぐに折れそうな程細い。

琉歌の小ささは実際に触れてみないと解らない。 それほど、虚像の方が大きいのだ。

 

「こんな小さな体で、一体何を背負ってるんです?

琉歌、アンタのその傷だらけの心は、ミーには癒せませんか?」

 

「・・・・・・っ」

 

琉歌は、何も言わない。

その間にも、フランの抱き締める腕に力が入ってきて、少し苦しい。

 

正直、ズルイ。

普段はやる気なくて何考えてるか解らなくて、チャランポランな毒舌蛙のクセに。

不覚にも少しだけ、ときめいてしまった自分を殴りたい。

 

ほら、いつもの気だるげな調子で「冗談ですよー」と言って、離してよ。 そんな真剣な顔しないで。

真剣な目で見ないで。

 

それを願うもそれは届かず、琉歌はフランから顔を背けた。

 

「フラン・・・・・・離して。

そう言う偽善じみた言葉なんか、聞きたくない。 放っておいて」

 

冷たく、突き放すような言葉。 フランは息を飲む。

しかし、フランは琉歌を離さなかった。

 

「嫌です。

琉歌が人間不信からミー達の言葉を信じられないのは知ってます。

でも、ミーは琉歌が・・・・・・っ」

 

フランは言葉を止めた。

おそらく、ここでこれ以上の言葉を紡いでも、琉歌には届かない。

だから──。

フランは、琉歌の肩を押して、真っ直ぐに琉歌を見た。

 

「だから、ミーは琉歌がミーの事を信じてくれるまで、何度も琉歌に手を伸ばしますからー。

琉歌が辛い時だけでも良いので、ミーに凭れ掛かってきてくださいよ。

琉歌の事くらい、ちゃんと支えますからー」

 

ふわり、とフランは淡い笑みを浮かべて言った。

初めて見たフランの表情に、琉歌は不覚にも見入ってしまう。

 

何で自分にそんな表情を向けるのか。

琉歌は反応に困る。

 

一体これはどう言う事?

一昨日はベルに告白されて、今日はフランにまで。

一体、どう言う状況?

これ、どうすれば良いの?

 

ぐるぐる考えるが、答えなんて出てくる筈もなく。

経験値がないから、どう言う反応をすればいいのか解らない。

 

琉歌は暫く、フランと共に紫がかっていく景色を無言で眺めた。

対岸の向こうに微かに見える民家が次第に灯を灯し始めていた。




@現在、解っていること

フラン→琉歌←ベルの構図が出来上がってしまっている。
しかし、琉歌はフラグクラッシャー。
フラグ? バッキバーキにしーてやんよー♪
そんなので良いのか、ヒロインよ←

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。