Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

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はい、始まりました、「キャラ崩壊祭り」〜!
あははのはー。
作者が病気、の案件だな、こりゃ。


そんな第2話です。

次の話は2時間後に投稿します←


第2話

「琉歌、誰か好きな人でも出来たんですかねー?」

 

不意にフランがそんな事を呟く。

その呟きに、マーモンとベルが反応した。

 

「「えっ!?」」

 

2人の声が重なる。

焦った様な声をスルーして、フランは言った。

 

「いや、ほら、言うじゃないですかー。

「どんな悲観論者(ペシミスト)も恋をして変わる」ーみたいなの?」

 

「歌の受け売りかよ・・・・・・つか、琉歌は人間嫌いだろ?

まず有り得ねぇって・・・・・・なぁ、マーモン?」

 

「何で動揺しながら僕に同意を求めようとするのさ?

知らないよ、僕は。

それより、その話はボスとスクアーロには秘密ね」

 

マーモンが口止めをするようにフランとベルに言う。

すると、2人は神妙に頷いた。

 

「あぁ・・・・・・ボスとスクアーロ・・・・・・特にボスが知ったら絶対、オレ達消される」

 

「ボスもロン毛隊長も、シスコンっぽさが段々と出てきてますからねー。

知られたら厄介ですよ」

 

「うん、今に「お兄さんは」――」

 

「「お兄さんは許しませんっ!!」」

 

ベルとフランの言葉に頷きながら、マーモンが何かを言おうとしたが、その言葉は突然開かれた(ふすま)とその向こうから聞こえてきた2人の声に掻き消された。

出入り口を見れば、XANXUSとスクアーロが物凄い形相で仁王立ちしている。

マーモンは頭を抱えた。

――聞かれてしまったか。

 

シスコンと化してしまったスクアーロの手には、コンビニ袋が下げられており、微かに珈琲と紅茶とコーヒーゼリーが透けて見えていた。

琉歌のリクエストだけでなく、琉歌が好きだと言っていた紅茶まで買っている辺り、スクアーロは真性のシスコンだろう。

 

「何でボスとスクが居んの?

仕事だったんだろ?」

 

突然の2人の登場に呆気に取られていたベルは我に返ると、2人に訊く。

すると、スクアーロが答えた。

 

「あぁ、俺が着いた頃にはボスが全部終わらせてやがったからなぁ。

トンボ返りだぜぇ」

 

「ふん、あんなのお前を呼ぶまでもねぇ」

 

辟易した様子で語るスクアーロに、XANXUSは鼻を鳴らして言った。

そして、「ところで」と、XANXUSの紅玉の眼がマーモン、フラン、ベルに向く。

3人は肩をビクッ!と揺らし、背中に冷や汗をダラダラと流す。

久々に浴びたXANXUSとスクアーロの殺気。

こっちの生活に馴染んでも、殺し屋としての能力は衰えてない訳だ。 流石、ボスとNo.2。 恐ろしすぎる・・・・・・。

 

「琉歌に好きな奴ができた、だと?

一体、何処の馬の骨だ。 消し炭にしてやらぁ・・・・・・」

 

背後に鬼神を出現させ、指の骨をボキボキと鳴らす、XANXUS。

そのオーラはドス黒く、何故か見えてしまう不思議現象が起こった。

あまりの剣幕に縮こまり、畏縮してしまった3人。

「まぁ、待てよ」とスクアーロがXANXUSの肩を叩く。

 

フラン、ベル、マーモンはホッと安堵の息を吐いた。

救世主だ――!

しかし、そんな事を思ったのも束の間。

それは、打ち砕かれるのだ。

 

「俺に卸させろぉ。

綺麗に三枚おろしにしてやらぁ」

 

獰猛な笑みを浮かべて、スクアーロが言った。 今にも包丁を持って来そうな勢いである。

三人は悟った。

ここにまともなヴァリアーは存在しねぇ、と。

元より異常な集団ではあったが、ここまで酷い集団だったとは。

 

「なぁ、マーモン。

俺、元の世界に戻れたらさ・・・・・・真っ当に生きようと思うんだ」

 

「死亡フラグ乙だね」

 

「ていうか、センパイが真っ当な人間になれるワケないじゃないですかー。

兄貴をゴキブリと見間違える時点で脳味噌イカれてるんで。

まぁ、良くてボンゴレに異動ですかねー」

 

XANXUSとスクアーロの壊れっぷりにベルが現実逃避を始めると、マーモンは溜息をつき、フランは正論を言い出す。

 

「で、一体、何処の馬の骨なんだぁ、そいつはぁ!?」

 

「言わねぇと、世界中の男全てカッ消す!」

 

「何かボスが無茶振り言ってきたーっ!?」

 

スクアーロとXANXUSの剣幕にベルは思わず叫んだ。

 

「あぁ、もう! うるっさい!」

 

そこで、救世主が現れた。

その救世主は颯爽と現れるなり、その場にいる全員の頭を丸めたノートで引っ叩く。

スパパパーン!と良い音が響いた。

 

「隣でピーキャーピーキャー発情期ですか、このヤロー。

XANスク、XANベル、ベルマモベル、ベルフラ、マモフラは俺得でありがたいけど、今は有難迷惑だわ、ダァホ!

隣で騒いだら、収録中なのにあんたらの声まで入るでしょうが!

折角良い感じでレコーディングできてたのに、また撮り直しじゃない!」

 

鬼の形相でベル達の部屋の前に仁王立ちをして捲し立てるが、琉歌の言っている事の前半が良く分からない、XANXUS、スクアーロ、マーモン、ベル、フラン。

琉歌はベル達の部屋に入って、XANXUSに詰め寄る。

 

「そもそも、何を騒いでるのさ? 物騒な言葉並べ立てて?」

 

眉根を寄せて詰め寄ってくる琉歌に、XANXUSは目をそらす。

しかし、それを逃す琉歌ではない。

琉歌は、その目を追って、目を合わせてきた。

怖い。 怒気を含んだ吸い込まれそうな薄茶色の瞳は、何気にある種のジャパニーズホラー的な怖さを孕んでいた。

XANXUSは言葉を詰まらせる。

 

「琉歌に好きな人が居るのか、って話だよ。

それを聞いたボスとスクアーロがシスコン発動させて、暴走してたのさ」

 

軈てマーモンが沈黙を破ると、琉歌はポカンと口を開けて呆気に取られた。

開いた口が塞がらない。

 

「・・・・・・は?

スキナヒト? 誰の?」

 

「琉歌の、好きな人」

 

「何でそんな話になったのさ?」

 

キョトンとした表情でマーモンを見て鸚鵡(おうむ)返しすれば、マーモンが短く答えた。

琉歌の言葉に、ベルが説明する。

 

「いや、マーモンが、琉歌の歌の感じが変わったって言ったらフランが、琉歌に好きな人でもできたんじゃないか、って・・・・・・違うの?」

 

「好きな・・・・・・ひと・・・・・・?」

 

琉歌は考えた。

“好きな人”と訊かれたら、沢山居る。

フランも好きだし、ベルも好き、マーモンもXANXUSもスクアーロも好きだし・・・・・・あぁ、リヴ●イ兵長も好きだし、ユ●リも好き、レイ●ンも好き・・・・・・と、上げていくとキリがない。

しかし、彼らが訊きたいのはそういう意味ではないだろう。

 

つまり、異性として意識している人間が居るのか、という事で・・・・・・。

琉歌はスッパリと答えた。

 

「私に好きな人? 居る筈がない。

私の人間嫌いを知ってるでしょ?」

 

明らかな不快の視線を五人に向ける、琉歌。

まぁ、ですよねー、とフランとベル、マーモンは納得した。

琉歌の言葉を聞いても、XANXUSとスクアーロは腑に落ちていない様子だ。

 

「本当か?」

 

「本当だよ」

 

「お前みたいな可愛い奴、放っておく奴は居るのか?」

 

「いやいや、社交辞令(リップサービス)やめて。

寧ろ、放って行く奴しかいないから」

 

XANXUSとスクアーロの質問に答えて行く、琉歌。

何でこんなにこいつらはシスコン拗らせてんの?

シスコンなのは、琉稀だけで十分だから。

琉歌はそんなことを思った。

 

「兎に角、有りもしない話で馬鹿騒ぎはやめてよね」

 

それだけを言うと、琉歌は自室へ戻って行った。

 

 

部屋に戻ると、琉歌はその場にへたり込んだ。

動悸がする。

私に好きな人って何さ? いやいや、ありえないから!?

琉歌は落ち着く為に机の上の紅茶に手を伸ばす。

 

「あー、もう、バッカみたい」

 

紅茶を口に含んで落ち着いた琉歌は、デスクトップの前に座る。

何となく、身体中が火が着いたように暑く感じるのはきっと、窓を閉め切っている所為だろう。

琉歌は窓へ手を伸ばして、鍵を開けると取っ手を引いた。

生暖かい夜風が部屋に流れ込んでくる。

 

好きな人ができたから、歌の感じが変わった?

琉歌は、先程録った歌を流してみる。

特に上手くもないが特徴的な歌声がPCから聞こえてきた。

 

《それは哀しみの語る物語 “恋”と呼ぶ事にまだ躊躇っている》

 

『マーモンが、琉歌の歌の感じが変わったって言ったらフランが、琉歌に好きな人でもできたんじゃないか、って・・・・・・』

 

琉歌は、ベルの言った言葉を思い出す。

別に好きな人ができたワケじゃない。

そもそも、自分はもう、決めた筈じゃないか。

“二度と恋はしない”──と。

男に弄ばれるくらいなら、一人で居る方が楽だ。

それに自分は──。

 

──コンコン。

 

思考の波に飲まれていた琉歌は、不意に聞こえたノックの音に意識を引き上げられた。

 

「はい?」

 

「琉歌ちゃん、ご飯よぉ〜」

 

「あ、はーい、今行くー」

 

ルッスーリアに呼ばれて、琉歌は考える事を放棄した。

それよりも、ルッス姐さんのご飯だ、うん。




琉稀から見た琉歌

可愛い! 天使! マジ天使!!
結婚しよ!!

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