キャラが迷子すぎてヤバイ。
ちょっとREBORN読み直した方がいい。
うん、ちょっとこれ、ヤバすぎ。
そんな第1話です。
次の話は一時間後に公開です。
第1話
「おかえりなさい、琉歌ちゃん。
って、あらぁ~! 髪切ったのねぇ~」
帰って一番に、ルッスーリアに捕まる。
ルッスーリアは琉歌の髪が短くなっている事に気付くと、それに反応した。
「ただいま、ルッス姐さん。
うん、鬱陶しかったからさ。
今日、兄に会ってきたから、ついでに切って貰った」
「そうなの~、似合ってるわぁ~。
って・・・・・・ん? あに・・・・・・?」
琉歌の口から思いも寄らない単語が出てきて、ルッスーリアはフリーズした。
それもそうだ。
ルッスーリアは――否、今この場では、琉歌に兄が居る事を知っているのは、マーモンだけだった。
マーモンが補足する。
「琉歌には、母親の違う同い年の兄が居るんだって。
さっき僕もそれを聞いてびっくりしたよ。
チラッと駅の方で見たけど、琉歌にそっくりで本当に驚いた」
「あらぁ! だったら、とびっきりの美人さんなんでしょうねぇ~!」
「ないから、普通の日本人特有の平たい醤油顔だから。
テル●エ・ロ●エで阿●寛に「平たい顔の一族」とか言われる程のエイフェイスだからね」
「何気に
ルッスーリアと琉歌が話していたら、スクアーロが会話に介入してきた。
スクアーロは髪を上げて、鞄を肩から掛けている外出スタイルだ。
「あら、スク。 何処かに行くのぉ?」
「あぁ、まぁなぁ・・・・・・今日シフト入ってた奴がドタキャンしたとかで、さっき急に呼び出されてなぁ。
勘弁して欲しいぜぇ」
「わー、頑張れ社畜ー」
「何か苛つくぞぉ」
スクアーロが死んだ魚のような目でルッスーリアに答えると、琉歌がそれを茶化すように言った。
ちなみに、「働かざる者食うべからず」と言う事で、ルッスーリア以外は琉歌の知り合いが経営している工場で働いている。
知り合いには彼らがトリッパーである事は説明して、口止めも抜かりなくしている。
彼らの事を話した知り合いのテンションが奇行種過ぎた事はまた別の話だ。
ルッスーリアには家事全般をお願いしている。 ただし、「私の洗濯物には触るな」と、笑顔で
「じゃあ、ご飯はどうするのぉ?」
「帰って食う。
どーせ、3時間したら帰ってこれるだろ」
「解ったわ」
「うわ、何か新婚夫婦みたい」
「笑えねぇぞぉ!」
「やーっ、鮫がキレましたー、コワーイ、オタスケー」
ルッスーリアとスクアーロのやり取りを見ていた琉歌がポツリと漏らせば、スクアーロは顔を真っ赤にして怒った。
片言で言いつつ、琉歌はマーモンの背後に隠れる。
マーモンは肩を竦めて、呆れた調子で言った。
「子供の戯れ言で一々怒るなよ、大人げないなぁ。
琉歌も、安易にスクアーロをからかわない方が良いよ。 ・・・・・・何されるか解らないから」
「どぉ言う意味だぁっ!」
「まぁまぁ、スク。
行くなら早く行った方が良いわよ?」
「チッ、行ってくる!」
「行ってらっしゃぁ~い!」
「お土産はコーヒーゼリーで良いよー」
「うるせぇ!」
スクアーロは乱雑にドアを閉めて、家から出て行ってしまった。
「あ! ちょっと、ドア壊れたらどうするんだよっ!?
っていうか、近所迷惑だ、アホ鮫ぇぇええ!!」
「言うの遅いよ」
スクアーロが扉を閉めたタイミングで琉歌が怒ると、マーモンが呆れた様に肩を竦めて言った。
「まぁ、いいや。 コーヒーゼリー楽しみにしとこ。
さーって、私は部屋で収録でもしますかねー。
マーモンはどうする?」
「僕は・・・・・・やる事もないから、その収録を見てる事にするよ」
「やめてよ、恥ずかしいじゃん」
「じゃあ、アタシはご飯の準備をするわぁ~」
「今日のご飯何ー?」
「焼き魚と里芋の煮付けとだし巻き卵よ」
「わーい」
琉歌の質問に答えると、ルッスーリアはそそくさとキッチンへ引っ込んでいった。
その場に、マーモンと琉歌が残る。
「じゃあね、マーモン」
「だから、僕も行くって」
「だから、来なくて良いって」
「良いじゃないか、毎週見てるんだから。
視聴者として」
「!!?」
マーモンの口から衝撃的な事を激白されて、琉歌は顔のパーツが飛び出すかと思ったくらいの衝撃を受ける。
そして、マーモンに詰め寄った。
「はぁッ!?
マーモン、ニヨニヨ動画見てるのッ!?」
「琉歌が上げた動画だけね。
何なら、マイリストに入れてるよ?」
「うあぁぁぁ~、言うなぁ~!」
「あぁ、ちなみに、毎回コメントもしてるけど・・・・・・」
「もうやめてぇ~!」
マーモンの激白に琉歌は顔を覆って、その場に頽れる。
顔も知らない人に見られるのは問題ないが、身内に見られていると思うと、恥ずかしくなる。
琉歌の顔は、茹でたての
「恥ずかしがるような事じゃないと思うんだけど・・・・・・ダメ?」
「絶対ダメ!
何なら、マーモンが
「あ、今噛んだ」
「~~~っ、マーモンなんか大ッ嫌いだぁぁぁああ!」
マーモンを振り払うと、琉歌は自室へ引き籠もってしまった。
「あ、琉歌・・・・・・」
声を掛けるも虚しく、マーモンだけがその場に取り残されてしまった。
「しししっ、振られてやんの」
「・・・・・・ベル」
琉歌が部屋に籠もってしまった後で、その隣の部屋からベルが顔を出す。
その顔には、ニヒルな笑みが浮かんでいた。
マーモンは不快そうな顔を顰める。
「まさか、からかいに来ただけじゃないだろ?」
「マーモンにはお見通しか。 つまんね」
「見てたら解るさ。
琉歌の事だろ?
丁度僕も話したい事があるから、部屋で話そう。
フラン、居るよね?」
「あぁ、部屋で琉歌から借りた漫画読んでるぜ」
マーモンとベルは、自分達が使っている部屋へ戻って行った。
†
「琉歌の話の前に、君達の話を聞かせてもらうよ。
最近、学校はどうだい?」
「んー、つまんね」
「そう言う話じゃなくて・・・・・・」
ベルの回答を聞いたマーモンは頭を抱えた。
マーモンが聞きたいのは、クラスでの琉歌の様子だ。
ベルの話は今は心底どうでも良い。
「最近はミーもベル先輩も、水田にしつこいくらいに絡まれてます―。
ミー達は相手にしてないんですけどね? 向こうがかなり粘着質で。 ホント、殺したくなってきますー」
「ここは法治国家らしいからね。 あんなんでも殺せば監獄行きだって。
殺気を抑えようか、フラン」
「チッ、解りましたー。
それで琉歌と居られなくなったら、元も子もありませんもんねー」
フランは至極残念そうに舌打ちをする。
毒を吐きつつもフランはマーモンの言う事には従うので、彼の事は心配は要らなさそうだ。
問題はベルの方だ。
彼は、険悪の仲だった双子の兄を「ゴキブリと間違えたんだ」と言って殺したサイコパスな殺人鬼。
今はそれを抑えているようだが、いつその素顔が出てくるのか解らない。
現時点でXANXUSよりも危うい爆弾である。
「琉歌も、何であんなに頑なに拒絶してくるんだろうな。
この間から特にそれが酷くなってる」
「やっぱり、初めの集会の時のが失敗だったんですかねー?」
「「うーん」」
ベルとフランは頭を抱えて黙り込んでしまった。
何だ、これ。
まるで、逆転●判で中々口を割らない証人に口を割らせようとしている成歩●龍一の気持ちだ。
そう思うと、何処からか「しっかり、ナル●ド君!」と言う綾●真宵の声まで聞こえてきそうである。
暫く、黙っていたマーモンが口を開いた。
「僕やスクアーロも一応、少しずつ説得を試みていたりはするんだけど・・・・・・。
琉歌はまぁ、ボスをも凌駕する人間不信みたいだから、中々ね。
でも、突破口は何となく掴めた気がするよ」
「突破口・・・・・・? 何だよ?」
ベルは頭を傾げてマーモンの言葉を待つ。
「琉歌は、本人の言った言葉以外を信じないみたいだから、あとは君達が説得するしかないんじゃないかな?
この間、少し琉歌と話したんだ。
その時、琉歌は水田に言われたそうだよ? 琉歌が関わっていく事で僕らが迷惑だと思っているから、関わらないであげてくれ、みたいなこと。
その時は琉歌はそれを信じていなかったみたいだけどさ。
琉歌って、自尊感情が低くて卑屈だから、今までの僕らの態度は実は上辺だけなんじゃないか、と思っているみたいだ」
「あぁ・・・・・・なるほどな」
「上辺だけなんてある筈がないのに・・・・・・何だか、悲しいですねー」
ベルとフランがポツリと言葉を漏らした。
自尊感情が低い故の勘違いからくる擦れ違い。
もし、無理にでも琉歌と関わっていたなら、今頃はどうなっていただろう。
考えても仕方のないことが、頭をグルグルと回る。
〔
もう少し先にまで行けそうな気がする〕
そんな静寂の空間に、隣の部屋から琉歌の歌声が聞こえてきた。
その歌声を契機に、フランが時計を見る。
「あー、琉歌の収録始まってますねー。
ここは特等席ですー。
わざわざ画面を介さなくても生歌が聴けるのでー」
フランが沈黙を破った。
何気にフランも、琉歌の動画の視聴者だったりする。
「確かに同感だけど、言い方がムッツリっぽくね?」
「それは気のせいですー。
ミーは至って純情なのでー。
センパイこそ、琉歌の歌を聴いて鼻の下伸びてますよー?」
「はぁ? んなわけねーだろ、ボケガエル」
「ゲロッ。 痛いですー。
ナイフよりはマシですけど、マジで痛いので死んでくださーい」
「ムカつく蛙だぜ」
「ちょっと、静かにしてくれる?
君達は歌を静かに聞くことすらできないのかい?」
「イテッ」
「ゲロッ」
ベルとフランが口論をしていると、二人はマーモンから鉄拳を食らった。
殴られた脳天を押さえて、フランとベルはマーモンを不満そうに見る。
〔それは哀しみの語る物語 “恋”と呼ぶ事にまだ躊躇っている
凍てついた夜に 近くなる星は
君が
「琉歌・・・・・・歌の感じ、ちょっと変わりましたよねー」
「うん、そうだね。
何というか・・・・・・自分の為に歌っているような感じじゃなくなった」
フランの言葉に、マーモンが同意する。
マーモンの言うとおり、琉歌の歌は初めて聞いた時はただ、自分の感情任せに歌にぶつけるような歌だったが、今ではそれとは違って、誰かに届けるような歌い方をしている。
きっと、本人は無意識だろうが、聴いている側からするととても心地好く感じてくる。
琉稀のプロフィールその3
琉歌の双子の異母兄。
異母兄弟だがどの兄弟よりも仲が良く、また、母親が違うとは思えないほど似ている。
そして、かなりのシスコンでI Love 琉歌。
父親が100年続く有名な役者の家の当主であり、「異性の役まで演じ切ってこその真の役者」を家訓に掲げている為、幼少の頃から女性として過ごすよう教育されている。