Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

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お疲れ様~、今日の更新はここまで!

今回、琉歌とマーモンの心情に変化が・・・・・・!?
フラグ!? フラグ作っちゃうッ!?
いいえ、折っていきます事よ←


第6話

「じゃあ、またね、琉歌」

 

「うん、また来月だね、琉稀」

 

総紗駅に着くと、駅の前まで琉稀は琉歌を見送った。

名残惜しげに振り返ると、琉稀が手を振っている。

琉歌も手を振り返した。

 

「琉歌ー」

 

「マーモン!?」

 

琉稀が駅へ入っていった後で、マーモンが呼ぶ声が聞こえて、振り返るとマーモンが居た。

琉歌は驚きに目を瞠る。

 

「どうしてここに?」

 

問えば、マーモンから返事が返ってきた。

 

「僕も今、総紗に戻ってきたばかりなんだ」

 

「へぇ。

今日は何処に行ってきたの?」

 

「隣の蒼敷(そうしき)までね」

 

「へぇ」

 

マーモンの言葉に納得する、琉歌。

最近、マーモンは休日には総紗市外によく出ている。

おそらく、地理を知る為だろう。

なので、特に琉歌は何も思わなかった。

 

「さっき一緒に居たのは、琉歌のお姉さんか何かかい?」

 

「え、何で?」

 

「似てたから」

 

「あー」

 

マーモンに言われて、琉歌はそう言えばまだ、マーモン達に自分の家族構成について離していなかったな、と思う。

 

「結構綺麗な人だったね?」

 

「ふはっ!」

 

マーモンの言葉に、琉歌は噴き出した。

突然噴き出した琉歌に訝しげに眉を顰める、マーモン。

琉歌は言った。

 

「あははっ・・・・・・マーモン。

()にそれは禁句だからね? 言ったら殺されるからね?」

 

「彼・・・・・・?

って、あの人、男? あれで?」

 

琉歌の言葉にマーモンは衝撃を禁じ得ない。

あれはどう見ても女だろっ!?

驚愕しているマーモンに琉歌は説明した。

 

「あの人は、悠稀(ゆうき)琉稀(るき)

私の双子の兄だよ。

まぁ、異母兄妹なんだけどね?」

 

「えぇっ!?」

 

マーモンは本日二連続の衝撃を受けた。

琉歌に兄が居た! しかも、双子!? 更に異母兄妹っ!?

まったく信じられなかった。

 

「そんなに意外?」

 

「琉歌は一人っ子だとばかり・・・・・・」

 

「まぁ、私にも色々あるんだよ。

私の家系は色々とややこしくて面倒くさいからね」

 

「そうなんだ・・・・・・」

 

琉歌の親子仲が悪いのは知っていたが、結構複雑そうだ。

マーモンは思った。

 

「まぁ、琉稀の家はこの辺では有名な役者の家系だからね。

「異性の役をも演じきってこそ役者」とか言うクソッタレな家訓があって、18歳まで異性として過ごすように教育される。

だから、琉稀は外では女の子で居るんだよね。

勿論、家の中でも女の子だけど」

 

「もしかして、琉歌も?」

 

「私は違う。

確かに、琉稀の父親は私の父親でもあるけど。

私はどうも、演技の才能がないみたいだからね。

それに、母親は再婚してるから、もう悠稀の人間じゃないし」

 

「そっか」

 

琉歌の話を聞いてマーモンが疑問を口にすると、琉歌は首を振った。

それに頷きながら、マーモンは心の何処かで安堵していることに気付く。

あれ、何で安心しているんだ?

マーモンは不意に感じた安心感に疑問を抱いた。

 

「さて、琉稀の話はおしまい!

あまり口外しないことが私と琉稀のルールだからね。

あまり喋り過ぎたら、琉稀に殺される」

 

カラカラと笑いながら、琉歌は話を締め括った。

笑う琉歌の横顔をチラリと盗み見ると、マーモンはある事に気付いた。

 

「・・・・・・あれ? 琉歌、髪切った?」

 

「うん、良い加減鬱陶しかったからね。

琉稀に切ってもらった」

 

「へぇ」

 

思わず、相槌を打った声が素っ気なくなった。

何故か、琉歌が琉稀とか言う男の話を嬉しげに話すのが面白くない。

自分で振っておいて身勝手だな、と自分に呆れてしまう。

マーモンが会話を終了させてしまった為に、沈黙が訪れた。

 

(何か、機嫌悪い?)

 

琉歌は、自分が何か失言をしてしまったのかと思い、マーモンの様子を窺うようにマーモンにそっと目を移す。

しかし、琉歌にはポーカーフェイスのマーモンの表情を読み解くアビリティなどがある筈もなく、そっと目を伏せた。

 

琉歌の方を一瞥すると、マーモンは琉歌が目を伏せている事に気付く。

もしかして、不機嫌になったと思われた?

ポーカーフェイスの様で微妙に表情が変わる琉歌の表情の変化を知っているマーモンは、琉歌が「自分の言ったことでマーモンを怒らせた」のだと思っているのだろう、と思った。

 

(悪い事したかな)

 

どうも最近は、琉歌の行動一つ一つに目がいく様になった。

こうして琉歌が困ったり何処か悲しそうな顔をすると、罪悪感の様なものを感じる時がある。

 

先ほども、琉歌が髪を切った事に気付いて、柄にもなく「可愛い」なんて思ってしまったりして、少しドキッと鼓動が甘く脈打った。

何なんだ、これ。

 

そんな事を思いながら、マーモンは琉歌の頭に手を乗せた。

 

「まぁ・・・・・・似合ってると思うよ」

 

ポンポン、と琉歌の頭を撫でながら、マーモンは言った。

 

「っ!

どうも・・・・・・」

 

たった一言言われただけで、琉歌は身体中の熱が顔の一点に集まったかの様に顔が熱くなるのを感じた。

「うれしい」と言う感情。 でも、今感じてるそれは、欲しかった物を買えた時のそれとはちょっと違う。

心が弾む様な、苦しくも甘さを孕んだ動悸がする。

 

嬉しい様でちょっと照れる様な言葉に、琉歌は俯き気味に小さく言った。

表情はクールを装いつつ、内心では天にも昇るような嬉しさを抑えきれない。

心臓が爆発しそうだ。

 

琉歌は、顔の火照りを隠すように顔を両手で覆った。

 

「琉歌、前見ないと危ないよ?」

 

「あぁ、うん、解ってる、解ってるから!」

 

顔を覗き込もうとしてくるマーモンから距離を取って、琉歌は言った。

その声は何処か焦っているようである。

今顔を見られたら、真っ赤なのがバレてしまう。

バレたからと言ってどうと言う事はないだろうが、こちらとしては少し恥ずかしいような気がする。

 

一体、どうしてしまったのか。

今まで、こんな事は一度たりともなかったのに。

 

初めて感じる感覚に、琉歌は戸惑いを覚えた。




琉稀のプロフィール2


性格:シスコン。天真爛漫で基本的に誰にでも優しいが、嫌いな人間には容赦がない。 気が抜けると女性的な部分が出てしまう事も屡々。
趣味:絵を描く、歌う、琉歌の動画を収集する、読書
好き:琉歌、二次元、戦闘機
嫌い:男、脳内快適系お花畑女子、琉歌に色目を使ってくる悪い虫

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