Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

36 / 44
こんばんは~! 紅さん登じょ((殴打蹴刺射

はい、スミマセン、テンションが行方不明になってました。

さて、今回の話は新しいキャラが出てきますよ~!
さて、彼女は何者でしょう~?

な第5話ですw←


第5話

翌日、琉歌は駅の前で携帯を見ながら立っていた。

今日の琉歌はいつにも増してボーイッシュな服装をしている。

 

休日の午後というだけあり、駅前は子連れの家族やカップルなどが楽しげに行き交っている。

そんな人混みの中から、中性的な声が聞こえてきた。

 

「琉歌、お待たせ」

 

「ううん、全然待ってないから」

 

声の主は人混みを上手く躱し、琉歌の元へ駆け寄るとまるでカップルの様なやり取りをする。

琉歌よりも少しだけ背が高く、琉歌と似た様な風貌。

声からも姿からも性別が判断できない。

 

「それより、私と会って大丈夫?

今日の事、お父・・・・・・悠稀(ゆうき)さん、知らないんじゃない?

何も言わずに会って平気・・・・・・?」

 

「そんな事気にしてるの?

大丈夫だよ。 今ちょっと父さんと冷戦中だからさ。

それに、母さんには言ってるから! ついでに、口止めも兼ねて。

それよりさ!

月に一回のデートなんだから、楽しんでこうよ!」

 

カラカラと笑い、琉歌に似た人物は琉歌の腕を取って、歩き出す。

 

「そんな事、笑って言う事じゃ・・・・・・って、うわっ、ちょっ、引っ張らないでよ!

ってか、デートって何さ!?

待ってよ、琉稀(ルキ)っ!?」

 

少女──悠稀(ゆうき)琉稀(るき)に引っ張られ、琉歌は歩き出した。

 

 

「へぇ〜、じゃあ今、XANXUS達と暮らしてるって事!?」

 

「あー、うん、まぁ、ね」

 

「いいなぁ〜!」

 

琉歌と琉稀は、ショッピングセンターで雑談をしながらウインドウショッピングをしていた。

会う度に近況報告をすることが暗黙のルールとなっており、近況報告は包み隠さず話す、と言うのは鉄則だ。

 

琉歌は唯一、琉稀だけは小さな時から信頼している為、本当に何でも話す。

琉稀もまた、琉歌の事を信頼しているので何でも話していた。

そして、お互いの事については、知り得た情報は絶対に口外しない。

友達は勿論、両親にさえ話してはならない、という暗黙のルールがある。

だから、お互いの事については誰にも話さない事はお互いに解っていた。

だから、琉歌はXANXUS達がトリップして来た事を琉稀に話したのだ。

 

琉歌が「リボーンの世界から、レヴィ以外のヴァリアーが夢渡りしてきた」と言う事を話したら、琉稀は羨望の眼差しを琉歌に向けて、そんな事を言った。

琉稀もまた、リボーンが好きなのである。

 

「じゃあ、逆ハーじゃん!

琉歌、顔だけは悪くないから、毎日モテモテだね」

 

「冗談!

皆、私のことは良くて妹か何かだと思ってるよ。

悪くて背景じゃない?」

 

「えー、琉歌卑屈すぎだよ?

もっと自信持ってこ?」

 

「自信ゆーて、私は琉稀とは違って男顔ですし?」

 

「またまた〜。

琉歌を男顔とか言ったら、世界中の女の子皆男顔じゃないか」

 

あははー、と笑い合う、琉歌と琉稀。

二人で出掛けると、必ず服屋に入ってしまうのは最早、恒例である。

 

「あ、この服なんか、琉歌に似合うと思うよ?」

 

そう言って、琉稀は肩を出しているデザインの黒い服を琉歌に押し付けた。

 

「えー?

何かちょっとダブダブ・・・・・・」

 

「それがいいんじゃないか!

琉歌はぴっちりした様な服より、ゆったりとした服の方が似合うよ?」

 

「えー・・・・・・」

 

「琉歌も女の子なら、たまにはこう言う女の子らしい服も着てこうよ?

はい、こっちの短パンも付けて〜、あ、パーカーもこう、腰にグルっとね。

それで、黒のニーソと〜あと、このブーツ!

はいっ、試着室へゴー!」

 

服一式を手渡され、琉歌は試着室へ押し込まれた。

コーディネーターモードの琉稀は何も聞いてくれない為、琉歌は渋々手渡された服を着始める。

口は尖らせるものの、琉稀との買い物自体は嫌いではない為、琉歌はま、いっか、と諦めた。

 

服を着替えて鏡を見ると、いつもの自分とはちょっと違う自分が映っている。

しかし、髪の色といい、色素の薄い目といい、紛れもなく鏡の向こうにいるのは自分だった。

パーカーを羽織って、ふと鏡を見ると、パーカーの中に髪が入って、それが短く切った様に見えた。

 

短くするのも良いかも・・・・・・。

 

琉歌は、毛先を弄りながら、カーテンを開けた。

 

「あ、やっと着替えたね?

・・・・・・って、琉歌、違う。 パーカーは腰にグルっと巻く、で、髪もこうして・・・・・・うん、やっぱり!

なぁんだ、琉歌もそれっぽい格好をするとちゃんと可愛いじゃん」

 

更衣室から出て来た琉歌を見て、琉稀は顔を顰める。

そして、琉歌が着ていたパーカーを脱がせて、琉歌の腰に巻いた。

髪も、無造作に琉歌の側頭部の高い位置で纏めると、琉稀は頷く。

 

「もう、やめろって。

私は別にいつもの格好で良いよ」

 

「いやいや、恋する乙女になったであろう琉歌の為にだね・・・・・・」

 

「恋なんてしてないし、乙女ってガラでもないよ」

 

「もう着替えるよ」そう言って、琉歌はさっさと試着室に引き籠もってしまった。

 

「やれやれ、素直じゃないんだから。

あぁ、小さい時のあの素直で可愛かった琉歌は何処(いずこ)・・・・・・」

 

「素直じゃなくてスミマセンねぇ。

そんなのは夕焼けの中に吸いこまれて消えて行ったよ」

 

「六●年と一夜物語!」

 

「正解」

 

ジャッ!と、無造作にカーテンを引いて、琉歌が試着室から出てきた。

その顔は仏頂面だった。

 

「で、実際の所はどうなのさぁ~?」

 

「何が?」

 

先程試着したモノを元の所に戻し、琉歌と琉稀は再び、服を見ながら話し出す。

琉歌が短く問い返すと、琉稀はニマニマと笑いながら訊く。

 

「あら、(とぼ)けちゃって。

六人の男性――あぁ、ルッスーリアは論外として、五人のイケメンと同じ屋根の下に暮らしてるんだよ?

何も無いなんて言わないよねぇ?」

 

あぁ・・・・・・、と、琉歌は琉稀の言いたい事が解って、顔を顰める。

この手の話は苦手だ。

琉歌はスッパリと切り捨てた。

 

「何かある筈がない」

 

「だよねぇ~、当然・・・・・・って、えぇ?

何も無いの?」

 

「ないよ」

 

「逆ハーは?」

 

「ある筈がない」

 

「あんな事とかも?」

 

「あって堪るか」

 

「なーんだ」

 

琉歌の言葉に落胆しつつ、琉稀は何処か安心を覚えていた。

琉歌に何かあっては困る。

 

「それよりさ、今日は家に誰も居ないんだったよね?」

 

「え、うん、そうだけど?」

 

琉歌の突然の話に琉稀は素っ頓狂な声を出して反応する。

すると、琉歌は言った。

 

「じゃあ、琉稀の家に行きたい」

 

「え・・・・・・?」

 

琉歌の言葉に、琉稀はたっぷり5秒は静止する。

軈て、琉稀は有り得ないモノを見るような目で琉歌を見た。

 

「え、ほ・・・・・・本気・・・・・・?」

 

「何よ、問題ある?」

 

「いや、無いけどさ・・・・・・」

 

「じゃあ、良いじゃない。

頼みがあるのよ。 琉稀にしか頼めない事だからさ」

 

そう言って、琉歌は籠に入れた服を清算すると、琉稀を連れて店の外へ出た。

 

 

総紗の隣町、清水(しみず)へは電車で10分の所にある。

清水駅で降りて駅より徒歩5分、東へ向かって歩くと、如何にも和風な大きな家があった。

ここは、琉稀の家だ。

家に入って二階の階段の直ぐ傍の部屋、そこが琉稀の部屋である。

 

「なんだ、琉歌の頼みって、髪を切ってくれって事だったのね」

 

琉歌と琉稀は、琉稀の部屋に来ていた。

 

勉強机と教科書や参考書が詰まっているだけのブラウンの本棚、それとダブルサイズのベッドが置かれているだけの殺風景な部屋。

琉歌は久し振りに来た琉稀の部屋を見回す。

 

「まぁ、ね。

何だと思った?」

 

「そりゃあ、琉歌が私と――」

 

「あ、ごめん、何て言いたいか想像付いたからいいや」

 

「ひどっ! てか、冗談だからさ?

そんなに警戒しないで?」

 

琉歌の首にタオルを巻いて新聞の上に座らせると、琉歌に散髪用のケープを頭から被せて、肩で止める。

目の前には全身鏡が置かれて、散髪の準備をしていく琉稀を鏡越しに琉歌は見ていた。

 

そう、琉歌が琉稀の家に行きたがったのは、琉稀に髪を切ってもらう為だった。

琉歌は本人は認めてはいないが、誰がどう見ても潔癖症。

他人が――特に嫌悪感を持っている人間が――触ったモノを触った後は手を消毒する、自分の私物を他人に――特にやむなく嫌悪感を持つ人間に――貸してしまった場合はその物を消毒する、果ては他人――特に男に――触られるのが嫌な為、散髪は前髪だけなら自分、髪全体を切る時は琉稀に切って貰っている。

 

琉気は、躊躇無く髪を切っていく。 その手捌きはプロ宛らだった。

流石、長い間琉歌の髪を切っていただけはある。

 

「それにしても何かあったの?

髪を切りたいなんてさ」

 

「別にー?

ただの気分だよ」

 

「ホントかな~?」

 

「ちょ、ゴ●リの声真似やめて」

 

不意にされた声真似――しかも、微妙に似てない――に琉歌は思わず吹いた。

すると、琉稀に「動かないでー」と怒られる。

何故だ。 笑わしたのはそっちなのに。 解せぬ。

 

「いやぁ、何か琉歌ってば、また一段と可愛く見えるから?

ほら、恋をした女の子は可愛くなる、って言うじゃない?」

 

「知らないよ、そんな迷信」

 

「やだ、琉歌ってば超クール」

 

「琉稀はちょっとおばちゃんっぽい」

 

「ひどいっ! おねーさん泣いちゃう!」

 

「勝手に泣いてな。 あ、失敗しないでね」

 

「しくしくしく」

 

「うざっ」

 

他愛ない話をしていると直ぐに時間は過ぎて、琉歌の髪もセミロングからミディアムになった。

鏡を見た琉歌は、満足そうに頷く。

 

「さっすが、琉稀。

もう、イメージ通りだね」

 

「当然! 私だからね!」

 

「はいはい」

 

フフン、と薄い胸を張ってドヤ顔をする琉稀を一蹴すると、琉歌は散髪して散らかった部屋を片付けようとする。

しかし、時計を見た琉稀がそれを止めた。

 

「あぁ、部屋はそのままにしておいて良いよ。

どうせ今日も両親遅くなるしさ?

それより、琉歌はもう帰った方が良いね。 総紗まで送って行くよ」

 

「うん、解った。

ありがとう」

 

琉歌と琉稀は、家を出て清水駅へ向かった。

外は既に夕焼けが空を黄昏に染めていて、何処か空から烏の鳴き声が聞こえ始めていた。




琉稀のプロフィール その1


名前:悠稀(ゆうき) 琉稀(るき)
年齢:15歳(現時点)
血液型:O型
誕生日:8月15日(自分の誕生日とカゲロウデイズの日が重なって、運命を感じたりとかしてる)
星座:獅子座
所属:清水(しみず)芸能学校 演劇科

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。