はい、スミマセン、テンションが行方不明になってました。
さて、今回の話は新しいキャラが出てきますよ~!
さて、彼女は何者でしょう~?
な第5話ですw←
翌日、琉歌は駅の前で携帯を見ながら立っていた。
今日の琉歌はいつにも増してボーイッシュな服装をしている。
休日の午後というだけあり、駅前は子連れの家族やカップルなどが楽しげに行き交っている。
そんな人混みの中から、中性的な声が聞こえてきた。
「琉歌、お待たせ」
「ううん、全然待ってないから」
声の主は人混みを上手く躱し、琉歌の元へ駆け寄るとまるでカップルの様なやり取りをする。
琉歌よりも少しだけ背が高く、琉歌と似た様な風貌。
声からも姿からも性別が判断できない。
「それより、私と会って大丈夫?
今日の事、お父・・・・・・
何も言わずに会って平気・・・・・・?」
「そんな事気にしてるの?
大丈夫だよ。 今ちょっと父さんと冷戦中だからさ。
それに、母さんには言ってるから! ついでに、口止めも兼ねて。
それよりさ!
月に一回のデートなんだから、楽しんでこうよ!」
カラカラと笑い、琉歌に似た人物は琉歌の腕を取って、歩き出す。
「そんな事、笑って言う事じゃ・・・・・・って、うわっ、ちょっ、引っ張らないでよ!
ってか、デートって何さ!?
待ってよ、
少女──
†
「へぇ〜、じゃあ今、XANXUS達と暮らしてるって事!?」
「あー、うん、まぁ、ね」
「いいなぁ〜!」
琉歌と琉稀は、ショッピングセンターで雑談をしながらウインドウショッピングをしていた。
会う度に近況報告をすることが暗黙のルールとなっており、近況報告は包み隠さず話す、と言うのは鉄則だ。
琉歌は唯一、琉稀だけは小さな時から信頼している為、本当に何でも話す。
琉稀もまた、琉歌の事を信頼しているので何でも話していた。
そして、お互いの事については、知り得た情報は絶対に口外しない。
友達は勿論、両親にさえ話してはならない、という暗黙のルールがある。
だから、お互いの事については誰にも話さない事はお互いに解っていた。
だから、琉歌はXANXUS達がトリップして来た事を琉稀に話したのだ。
琉歌が「リボーンの世界から、レヴィ以外のヴァリアーが夢渡りしてきた」と言う事を話したら、琉稀は羨望の眼差しを琉歌に向けて、そんな事を言った。
琉稀もまた、リボーンが好きなのである。
「じゃあ、逆ハーじゃん!
琉歌、顔だけは悪くないから、毎日モテモテだね」
「冗談!
皆、私のことは良くて妹か何かだと思ってるよ。
悪くて背景じゃない?」
「えー、琉歌卑屈すぎだよ?
もっと自信持ってこ?」
「自信ゆーて、私は琉稀とは違って男顔ですし?」
「またまた〜。
琉歌を男顔とか言ったら、世界中の女の子皆男顔じゃないか」
あははー、と笑い合う、琉歌と琉稀。
二人で出掛けると、必ず服屋に入ってしまうのは最早、恒例である。
「あ、この服なんか、琉歌に似合うと思うよ?」
そう言って、琉稀は肩を出しているデザインの黒い服を琉歌に押し付けた。
「えー?
何かちょっとダブダブ・・・・・・」
「それがいいんじゃないか!
琉歌はぴっちりした様な服より、ゆったりとした服の方が似合うよ?」
「えー・・・・・・」
「琉歌も女の子なら、たまにはこう言う女の子らしい服も着てこうよ?
はい、こっちの短パンも付けて〜、あ、パーカーもこう、腰にグルっとね。
それで、黒のニーソと〜あと、このブーツ!
はいっ、試着室へゴー!」
服一式を手渡され、琉歌は試着室へ押し込まれた。
コーディネーターモードの琉稀は何も聞いてくれない為、琉歌は渋々手渡された服を着始める。
口は尖らせるものの、琉稀との買い物自体は嫌いではない為、琉歌はま、いっか、と諦めた。
服を着替えて鏡を見ると、いつもの自分とはちょっと違う自分が映っている。
しかし、髪の色といい、色素の薄い目といい、紛れもなく鏡の向こうにいるのは自分だった。
パーカーを羽織って、ふと鏡を見ると、パーカーの中に髪が入って、それが短く切った様に見えた。
短くするのも良いかも・・・・・・。
琉歌は、毛先を弄りながら、カーテンを開けた。
「あ、やっと着替えたね?
・・・・・・って、琉歌、違う。 パーカーは腰にグルっと巻く、で、髪もこうして・・・・・・うん、やっぱり!
なぁんだ、琉歌もそれっぽい格好をするとちゃんと可愛いじゃん」
更衣室から出て来た琉歌を見て、琉稀は顔を顰める。
そして、琉歌が着ていたパーカーを脱がせて、琉歌の腰に巻いた。
髪も、無造作に琉歌の側頭部の高い位置で纏めると、琉稀は頷く。
「もう、やめろって。
私は別にいつもの格好で良いよ」
「いやいや、恋する乙女になったであろう琉歌の為にだね・・・・・・」
「恋なんてしてないし、乙女ってガラでもないよ」
「もう着替えるよ」そう言って、琉歌はさっさと試着室に引き籠もってしまった。
「やれやれ、素直じゃないんだから。
あぁ、小さい時のあの素直で可愛かった琉歌は
「素直じゃなくてスミマセンねぇ。
そんなのは夕焼けの中に吸いこまれて消えて行ったよ」
「六●年と一夜物語!」
「正解」
ジャッ!と、無造作にカーテンを引いて、琉歌が試着室から出てきた。
その顔は仏頂面だった。
「で、実際の所はどうなのさぁ~?」
「何が?」
先程試着したモノを元の所に戻し、琉歌と琉稀は再び、服を見ながら話し出す。
琉歌が短く問い返すと、琉稀はニマニマと笑いながら訊く。
「あら、
六人の男性――あぁ、ルッスーリアは論外として、五人のイケメンと同じ屋根の下に暮らしてるんだよ?
何も無いなんて言わないよねぇ?」
あぁ・・・・・・、と、琉歌は琉稀の言いたい事が解って、顔を顰める。
この手の話は苦手だ。
琉歌はスッパリと切り捨てた。
「何かある筈がない」
「だよねぇ~、当然・・・・・・って、えぇ?
何も無いの?」
「ないよ」
「逆ハーは?」
「ある筈がない」
「あんな事とかも?」
「あって堪るか」
「なーんだ」
琉歌の言葉に落胆しつつ、琉稀は何処か安心を覚えていた。
琉歌に何かあっては困る。
「それよりさ、今日は家に誰も居ないんだったよね?」
「え、うん、そうだけど?」
琉歌の突然の話に琉稀は素っ頓狂な声を出して反応する。
すると、琉歌は言った。
「じゃあ、琉稀の家に行きたい」
「え・・・・・・?」
琉歌の言葉に、琉稀はたっぷり5秒は静止する。
軈て、琉稀は有り得ないモノを見るような目で琉歌を見た。
「え、ほ・・・・・・本気・・・・・・?」
「何よ、問題ある?」
「いや、無いけどさ・・・・・・」
「じゃあ、良いじゃない。
頼みがあるのよ。 琉稀にしか頼めない事だからさ」
そう言って、琉歌は籠に入れた服を清算すると、琉稀を連れて店の外へ出た。
†
総紗の隣町、
清水駅で降りて駅より徒歩5分、東へ向かって歩くと、如何にも和風な大きな家があった。
ここは、琉稀の家だ。
家に入って二階の階段の直ぐ傍の部屋、そこが琉稀の部屋である。
「なんだ、琉歌の頼みって、髪を切ってくれって事だったのね」
琉歌と琉稀は、琉稀の部屋に来ていた。
勉強机と教科書や参考書が詰まっているだけのブラウンの本棚、それとダブルサイズのベッドが置かれているだけの殺風景な部屋。
琉歌は久し振りに来た琉稀の部屋を見回す。
「まぁ、ね。
何だと思った?」
「そりゃあ、琉歌が私と――」
「あ、ごめん、何て言いたいか想像付いたからいいや」
「ひどっ! てか、冗談だからさ?
そんなに警戒しないで?」
琉歌の首にタオルを巻いて新聞の上に座らせると、琉歌に散髪用のケープを頭から被せて、肩で止める。
目の前には全身鏡が置かれて、散髪の準備をしていく琉稀を鏡越しに琉歌は見ていた。
そう、琉歌が琉稀の家に行きたがったのは、琉稀に髪を切ってもらう為だった。
琉歌は本人は認めてはいないが、誰がどう見ても潔癖症。
他人が――特に嫌悪感を持っている人間が――触ったモノを触った後は手を消毒する、自分の私物を他人に――特にやむなく嫌悪感を持つ人間に――貸してしまった場合はその物を消毒する、果ては他人――特に男に――触られるのが嫌な為、散髪は前髪だけなら自分、髪全体を切る時は琉稀に切って貰っている。
琉気は、躊躇無く髪を切っていく。 その手捌きはプロ宛らだった。
流石、長い間琉歌の髪を切っていただけはある。
「それにしても何かあったの?
髪を切りたいなんてさ」
「別にー?
ただの気分だよ」
「ホントかな~?」
「ちょ、ゴ●リの声真似やめて」
不意にされた声真似――しかも、微妙に似てない――に琉歌は思わず吹いた。
すると、琉稀に「動かないでー」と怒られる。
何故だ。 笑わしたのはそっちなのに。 解せぬ。
「いやぁ、何か琉歌ってば、また一段と可愛く見えるから?
ほら、恋をした女の子は可愛くなる、って言うじゃない?」
「知らないよ、そんな迷信」
「やだ、琉歌ってば超クール」
「琉稀はちょっとおばちゃんっぽい」
「ひどいっ! おねーさん泣いちゃう!」
「勝手に泣いてな。 あ、失敗しないでね」
「しくしくしく」
「うざっ」
他愛ない話をしていると直ぐに時間は過ぎて、琉歌の髪もセミロングからミディアムになった。
鏡を見た琉歌は、満足そうに頷く。
「さっすが、琉稀。
もう、イメージ通りだね」
「当然! 私だからね!」
「はいはい」
フフン、と薄い胸を張ってドヤ顔をする琉稀を一蹴すると、琉歌は散髪して散らかった部屋を片付けようとする。
しかし、時計を見た琉稀がそれを止めた。
「あぁ、部屋はそのままにしておいて良いよ。
どうせ今日も両親遅くなるしさ?
それより、琉歌はもう帰った方が良いね。 総紗まで送って行くよ」
「うん、解った。
ありがとう」
琉歌と琉稀は、家を出て清水駅へ向かった。
外は既に夕焼けが空を黄昏に染めていて、何処か空から烏の鳴き声が聞こえ始めていた。
琉稀のプロフィール その1
名前:
年齢:15歳(現時点)
血液型:O型
誕生日:8月15日(自分の誕生日とカゲロウデイズの日が重なって、運命を感じたりとかしてる)
星座:獅子座
所属: