うわぁ、こんな感じのキャラで良いのだろうか、麗奈って。
わっかんねぇ――――っ!!
1時間目が始まり、全校集会がある為、琉歌達1年の生徒は4年の教室に移動していた。
後から、人がどんどん集まってくる。
生徒全員が教室に入ってきた頃、教卓に校長が立っていた。
全員、長ったらしい校長の話を半分聞き流しながら、ひそひそと話を始める。
内容は、教室の隅に立っている転入生についての話題だ。
「あの人、格好いいねー」とか、「あの子、可愛くない?」とか、そんな有り触れた会話をしている。
特に騒がしかったのは、その転入生が在籍している学年だ。
要するに、1年と2年、特に1年が五月蠅い。
ピーキャーピーキャー五月蠅い雑音に眉を顰めつつ、琉歌は睨むように前を見ていた。
いや、正確には睨んでいない。ただ、
「それじゃあ、全校集会を始める前に、1年と2年に留学生と転入生が来たので、紹介したいと思います」
司会進行役の生徒会長が特に抑揚のない声で先に進めていく。
それと共に、待ってました―!!と言わんばかりに教室が騒がしくなった。
「留学生と転入生ごときによく騒ぐ」と、琉歌は騒ぐ生徒を宥める教師を我関せずと言う様に横目で見やる。
何で、「転入生」と言うだけで騒げるのだろうか。
単純すぎる人間の脳細胞に疑問を抱きたくなる。
そんな事を思っていたら、転入生が教卓の前に整列していた。
視線を教卓に移すと、丁度真ん中にいたマーモンと目が合った。
「五月蠅いだろ、この学校?」と、琉歌は肩を竦めて苦笑してみた。
それが通じるかは解らないが。
すると、苦笑が返ってきて、小さくマーモンが頷いた。
どうやら、何となく意味が解ったようだ。
ベル、フラン、マーモン、麗奈の順に自己紹介をすると、4人の転入生は教師に指定された席に着く。
全校集会の時は出席番号順に席に着くようになっている。
4人が着席したのを見計らって、生徒会長が先に続けた。
集会が終わると、琉歌は真っ先に教室を出て行く。
ベル達を待つことはない。
どうせ、ベル達は転入生と言う事もあって生徒達に囲まれているだろう。
そんな人間を待っていられるほど、こちらは暇でもなければ、群れることが好きなわけでもない。
むしろ、集会中はずっと、噎せ返っていた程だ。
後ろから、主に女子の声が聞こえている。
まあ、3人はあの外見だ。
女子が寄って来ないことはまず無いだろうとは思っていた。
だからこそ、さっさと教室を出たのだ。
「あ、琉歌、待ってくださーい!!」
不意に一段と大きな声が聞こえて、琉歌は思わず立ち止まる。
フランの声だ。
琉歌は頭を抱えたくなる。
フランのお陰で、注目の的になってしまった。
視線が集中してきて気持ち悪い。
振り返れば、フランとベル、マーモンが寄ってきていた。
辺りは更にざわついて、五月蠅くなる。
主に、女子からの疑惑の声だ。
「ちょ、あの子、確か1年の安藤琉歌よ!」
「フラン君達とどういう関係なのかしら?」
女子は好奇や妬みなどの混沌と化した視線を琉歌に送ってくる。
うわぁ、今、この場から飛び降りたい。
琉歌は思わず、飛び降りたい衝撃に駆られた。
そんな琉歌の思いに気付かず、フランはさらりと言った。
「ミーとベルセン・・・・・・サンとマーモンさんは、琉歌の家でお世話になっているんですー」
あっさりとフランが打ち明けると、女子からギロッと睨まれた気がした、琉歌。
あンの馬鹿野郎・・・・・・帰ったら、
琉歌は恨めしそうにフランを密かに睨んだ。
「え、どういう事!?
一緒に住んでるの!?」
きゃーっ!!と、女子から甲高い悲鳴のような声が上がる。
そこまで騒ぐことでもないだろう、と思いながら、琉歌はその場を離れようとした。
だが、それはベルに腕を掴まれた事によって阻止された。
「置いていくなよ、琉歌」
慌てたように掴まれた腕は、何気に力が入っていて、痛い。
だが、それどころではない琉歌は、ベルの手を振り解こうとする。
「離せ、私に待って貰いたいんだったら、その群れをどうにかしろよ!
私は群れの中に居ると気持ち悪くなるんだよ!!」
つい、きつい口調になってしまう、琉歌。
気持ち悪さに耐えきれず、思わずキツく言ってしまったのだ。
しーんと辺りは静寂に包まれ、次第にひそひそと琉歌を非難する声が上がっていくが、琉歌はそれに構わずにさっさと走り出した。
冷静になって考えてみれば、ベルが自分を呼び止めるのは当たり前じゃないか。
ベル達は馴れない環境で頼りに出来るのは琉歌しか居ない。
少し、言葉がきつ過ぎたな、と琉歌は教室に戻って、席について、冷静になったところで我に返った。
それに、ベル達は自分が人間嫌いだと言う事を知らない。
教えても居ない。そんな彼らに突然、あんな事を言っても、いきなりでは対処できないだろう。
改めて、自分が彼らに我が儘をぶつけたのだと思い、自己嫌悪に陥る。
折角、仲良くなれると思ったのに。これでは、嫌われてしまいそうだ。
折角、一緒に住んでいるのに。
グルグルと、琉歌の頭を後悔と嫌悪感が巡っていた。
琉歌から見た麗奈
変な奴