Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

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琉歌が何気にハイスペックのような気がする・・・・・・。
あれ、ごく普通のJKの筈なのに(^p^)Oh......


そんな気持ちの第2話です。





第2話

「そう言えば、他に変わったモノとかないの?」

 

 

椅子に片足を立てて、膝に腕を置いてその手に顔を乗せながら、琉歌はいつの間に来ていたのか、スクアーロの財布を指した。

その言葉に全員、財布の中身を再び確認する。

すると、ベルが「あっ!!」と声を上げた。

その声に全員、ベルを見る。

 

 

「免許証が更新されてる」

 

 

ベルのその言葉に全員、免許証を確認する。

すると、全員の免許証の住所が変わっていた。

「見せてみ」と琉歌が手を差し出すと、一番近くにいたマーモンが免許証を見せた。

それを受け取ると、琉歌は免許証に軽く目を通す。

 

 

「何気に、此処に住むこと前提になってるけど・・・・・・まぁ、それは良くて、だ。

免許証の住所が変更されてるねぇ。

てことは、住民票も此処に在るというワケか。

夢渡りさせた奴、相当気が利いているじゃないか。

面倒な手続きは全て終わっていると思っても良いね。

あっ、もしかしたら!!」

 

 

琉歌は免許証をマーモンに返すと、机からケータイを取り上げ、電話帳を開いた。

「少し、静かにしてて」と言ったタイミングで、接続音が切れる。

すると、聞き慣れた声が琉歌の耳に流れ込んできた。

 

 

「あ、安藤ですけど。

今日の1時間目にある総合のことで少し訊きたいことが・・・・・・はい、はい、あー、そうですか。

あー、はい、行きますよ、解りました。

はい、はーい、じゃあ、また後ほど」

 

 

随分と軽い電話の受け答えのあと、琉歌は通話が切れたのを確認して、電話を切る。

「誰だったんだ?」とベルが口を開くと、琉歌は顔を上げた。

 

 

「今、学校の養護の教師に電話で問い合わせたんだけど・・・・・・今日は転入生が4人来るらしい。

1人は2年で、後の3人は1年だって」

 

 

琉歌の話に付いていけないのか全員、首を捻る。

そんな顔をされても困る、と琉歌は思ったが。今の説明は確かに解り辛かったか、と思った。

琉歌は、今度は解りやすく説明した。

 

 

「だから、ベルとフランとマーモンは・・・・・・転入生って事になってる。

名前もちゃんと確認した」

 

 

琉歌の言葉に辺りは静かになる。

現実逃避でもしているのか何なのかは解らないが、ベルとフランに至っては何かブツブツと呟いている。

軈て、ベルとフランは興味深そうに琉歌に詰め寄った。

 

 

「そこの学校って、お前居る?」

 

 

「勿論」

 

 

「何年ですかー?」

 

 

「1年だよ?」

 

 

「その学校って、行けばお金が貰える?」

 

 

「教科書なら貰えるよ、あと、パンと飲み物」

 

 

ベルとフランの質問に答えながら、何故か参加していたマーモンの質問にも答える。

琉歌の回答にマーモンは、「ちっ」と舌打ちをした。

金が入らないんじゃあ、行っても意味無いじゃないか。

逆に無駄に金を取られるなら、行きたくないね。

基本、守銭奴なマーモンはお金にならないことをしようとは思わない。

それは誰より、琉歌が知っている。

なので、琉歌はマーモンの顔を覗き込んだ。

 

 

「行きたくないなら行かなくて良いけど・・・・・・行かなかったらそれこそ、お金の無駄だよね~?

ここから通うんだったら勿論電車通学だし、定期のお金だって月々高いんだから。

その財布の中に青い定期カードが見えたような気がしたけど、気のせいだったかなぁ~?」

 

 

最後の言葉は勿論、鎌を掛けたのである。

守銭奴なマーモンはお金を無駄にすると言う事は論外の筈である。

なので、使わせる為にそんな事を言ったのだ。

マーモンの思考を理解している琉歌だから、言えたことだ。

一方のマーモンは、「ムムッ、そんなモノ入っている訳がないだろう・・・・・・」と、財布の中身を確認した。

すると、見慣れないカードが何枚か出てきて、マーモンは驚いていた。

その中に、青い定期カードも入っている。

 

 

「おぉ、定期入ってるし、銀行のキャッシュも入ってるねぇ。

これは用意周到だわ。

行くしかないようだね、マーモン?」

 

 

ニヤリ、と口元に笑みを浮かべる琉歌にマーモンは、「実はコイツが仕掛けたんじゃないのか」と疑ってしまいたくなる。

それもそうだろう。

琉歌は次々と財布の中身が変わっていることを示唆してきた。

これで何も知らないなんて、思えない。

マーモンは琉歌を凝視した。

 

 

「何かな、マーモン。

そんなに見られたら、幾ら私だって流石に照れるよ?」

 

 

この反応は、ただの天然なのか、それとも装っているのか。

マーモンは暫く、この“安藤琉歌”と言う人物について少しずつ観察してみようと思った。

それは、XANXUSやスクアーロも思っていた。







現在、解っていること2

ヴァリアーメンバーが元々持っていた免許証の住所が更新されている。
しかも、住所は何気に琉歌の家の住所になっている。
夢渡りさせた人間が居る?
転入生が4人で、そのうちの3人がベル、フラン、マーモン。
「お金が無駄になる」と言えば動くマーモン。これは使えそう。
いつの間にか、学校に通うメンツの財布の中に青い定期カードが入っている。

実は琉歌は天然を装っている?

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