Croce World―君に呼ばれて―   作:紅 奈々

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はいはーい!!さぁさぁ、皆さーん!!
続きが出来上がりました~!!ww




第3章  「転入生」
第1話


「琉~歌っ!」

 

 

「ふぁ?」

 

 

いきなり後ろから声を掛けられて、琉歌は半分寝ぼけ眼で顔を上げる。

何で、ベルの声がするのだろう?

しかも、今、名前呼ばれた?

この家には、私1人の筈じゃ?

色んな考えが回らない脳味噌にグルグルと駆け巡る。

しかも、何か背中が温かい。

そう思って、琉歌は上半身をガバッ、と起き上がらせた。

窓から差し込む朝日が目に染みる。

うん、朝日?

あれ、自分は今日の小テストの為に勉強をしていた筈では?

そう思って、琉歌は部屋を見回した。

すると、目の前を見覚えのある顔が覗き込んできて、琉歌は目が一瞬にして、覚める。

 

 

「ベッ、ベルフェゴールぅぅっ!?」

 

 

何で、此処に!?と騒ぎそうになって、琉歌は昨夜の記憶がフラッシュバックする。

そうだ、昨日は学校帰りに蒼星川へ行ったら、ヴァリアーを見つけて、拾ったんだった。

琉歌はう゛ーっと唸ると、背伸びをして目をこする。

そして、「どうしたの~?」と舌足らずにベルに訊いた。

寝起きは大抵、舌足らずになっている琉歌は、このクセを早く直したいんだよ―と思っていた。

 

 

「昨日、俺らを此処に運んで来た時、俺らの武器を見なかったか?」

 

 

ベルの問いに琉歌は「え~、見てないよ?」と答える。

すると、ベルは顎に手を当て、考える仕草を見せた。

イケメンがやると決まるよね―、それ、とぼんやり思う、琉歌。

琉歌は、ベルに助言する。

 

 

「ここに来る前と来た後で減っているモノがあれば、増えているモノもあると思うから・・・・・・例えば、財布とか見てみて。

大抵、夢渡りしたのに理由があるんだったら、渡り先で使えそうなモノとか出てくる筈だよー。

例えば、戸籍とか、お金とか」

 

 

琉歌から助言されて、「そんな馬鹿な」と思いながら財布の中身を見ていると、札束がぎっしりと詰まっていた。

それは、夢渡りする前のおよそ倍くらいに増えていて、ベルは目を見開く。

そのタイミングで、フランとマーモンとXANXUSが部屋に入ってきた。

 

 

「琉歌ー、大変ですー。

ミーとマーモンさん、幻術が使えなくなってしまいましたー。

それと、ボスは憤怒の炎が使えなくてー。

キモオカマはメタル・ニーがなくなっているんですよー」

 

 

部屋に入って一番最初に口を開いたのは、フランだった。

間延びした話し方から、本当に大変だと思っているのか?と疑いたくなるくらいだが、表情で困っていることが何となく窺えた。

どうして、こいつらは一気に来ないんだよ?と思いながら、琉歌はベルに説明したことをもう一度話す。

そうしたら、一同、一斉に財布の中身を確認した。

 

 

ある程度落ち着いて、状況生理をする。

現在解っているのは、何故か夢渡りをして、別の世界に飛んでしまったと言う事。

武器や能力など、他人に被害が出るようなモノは一切、消えていること。

その代わり、夢渡りをする前よりも財布の中身の金額が増えていること。

それを踏まえると、琉歌の中で今まで小説を書いてきた想像力が解放され、一つの結論に至った。

 

 

「もしかしたら、誰かによって夢を渡らされたのかもね・・・・・・」

 

 

顎に人差し指を添えて、弾き出した結論を呟く。

これも、考える時の琉歌の仕草だった。

琉歌の口から呟かれた結論に、XANXUSは眉を動かした。

 

 

「どうして、そう思った?」

 

 

机に視線を落として考えている仕草をしている琉歌に、XANXUSは問う。

琉歌は顔を上げて、XANXUSを見た。

昨日よりは怖くないと、琉歌は感じた。

 

 

「憶測だけど・・・・・・武器が無くなっているのは、此処は法律で守られた国で、銃やナイフ、剣なんか持ち歩いていたら、銃刀法違反になるから。

幻術が使えないのは、ここは幻術なんて非科学的な能力は漫画の中だけだから。

財布にお金が増えているのは、一定期間だけ滞在するのに必要だから。

ここまで考えれば、夢渡りさせた人間が居るというのは、間違いなさそうだけどね?」

 

 

「それと・・・・・・」と言葉を紡いで、一旦切る。

琉歌の推測に全員、舌を巻いた。

そこまで考えつかなかったのだ。

言葉の続きを待って、琉歌に注目する、一同。

そして、琉歌は口を開いた。

 

 

「私がトリップモノの小説を書くとしたら、その世界にあった武器や能力を主人公に与えて、必要なモノは最初から持っているという設定にするから、その発想を逆転させれば、法律で守られたこの世界で武器や幻術なんか要らないし、逆に、法律で守られた国だから、お金や戸籍などの必要なモノは揃っている設定にしておく。

それと同じだと思う」

 

 

琉歌の推測に一同は妙に説得感の様なモノを感じた。

 







現在、解っていること1

ヴァリアーはトリップしてきた。
武器がない。
幻術が使えない。丸腰。
財布の中身が増えている。

琉歌の驚異的な頭の柔らかさ。

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