そう言えば、今日荷物が届く筈なんだけど、まだ郵便のおっちゃんが来てないな―。
いつ頃届くんだろう?
「どういう事かしら?」
ルッスーリアは、困ったというよりは、疑うような低い声で琉歌に説明を仰ぐ。
それもそうだ。
出会って間もない人間に「貴方は帰れませんよ」なんて言われたら、誰だって眉を顰めるだろう。
しかも、彼らは暗殺部隊の幹部だ。
アジトが襲われたとか、そう言う事が頭に過ぎったであろう。
ルッスーリアの態度の変化に琉歌は怯えながら、少しずつ言葉を紡いでいく。
「えと・・・・・・落ち着いて下さい。
あ・・・・・・何か食べます?
特にこれと言って何かあるわけじゃないですが・・・・・・お腹、空いてません?」
恐る恐る、殺気立っているルッスーリア達の表情を窺うように問う、琉歌。
拾ってから、結構時間が経っている。
空腹になっていてもおかしくはない。
空腹で人はイライラして殺気立っているなら、まともな会話は望めないだろう。
少しでも落ち着いてもらう為に、琉歌は何か作ろうと思い立ったのだ。
「今はそんな場合じゃないわ。
詳しい話を・・・・・・」
ルッスーリアが琉歌を問い詰めようとした、その時だった。
彼の言葉を遮るように、誰かのお腹の音が鳴った。
それは、割と大きな音で、どれだけ空腹なのかが窺える。
「そう言えば、朝食べてそれきりだったな」
「そうですねー。
ミーなんか、どっかの堕王子に卵焼きを取られましたから、朝から何も食べてない感じです―」
「僕なんか、今日の朝を食べ損ねたんだけど?」
お腹の音の原因は、三人の男性だった。
金髪の前髪で目を隠した少年とエメラルド色の髪と目に蛙の被り物を被った少年、フードを被った性別がいまいちよく分からない人物がそれぞれ、言った。
朝一食しか食べていないなら、お腹が空くのは当然である。
フードを被った人物なんか、朝から何も食べていないと言う事だ。
これはチャンスだ!と言わんばかりに琉歌は三人に言う。
「冷蔵庫の中にある物で適当な物作ってくるけど、特に好き嫌いとか無いですよね?」
好きな食べ物は知っているが、嫌いな食べ物がよく分からない。
もし、料理を出してそれが嫌いな食べ物だったら、心証を害すだろう。
今は取り敢えず、それを避けたい。
苛々している彼らは今、何をやらかすか、解ったものじゃないからだ。
まぁ、一応、武器のような物は持っていないようなので、少しは安心できそうだが、黒髪の男性やフードを被った人やルッスーリア、蛙帽子の少年なんかは武器が無くても憤怒の炎呼ばれる、死ぬ気の炎とはまた別に強大な破壊力を持った炎や、フードを被った人と蛙帽の少年は幻術が使えるし、ルッスーリアに至っては、元から肉弾戦だから、油断は出来ないのだ。
それは、REBORNのコミックを何回も読み直していた琉歌だから解る。
こいつらを怒らせると、
「何、お前。
料理作れんの?」
感心したような声を真っ先に上げたのは、金髪の少年だった。
生で聞く少年の声に感動しながら、琉歌は頷いた。
「一応、1人暮らしなので。
家庭で作るような料理は一通り出来ますが・・・・・・今日は生憎、買い物をしていないので、冷蔵庫の中にある物で勘弁して下さいね」
「少し待ってて下さいね」と言い残すと、琉歌はキッチンへ向かった。
今更だが、大ファンのヴァリアーと実際に出会えてテンションは高くなっているのだ。
鼻歌交じりにキッチンへ行くと、琉歌は調理を始めた。
水田のプロフィール3
基本的に一人では居られない性格。
誰かと群れて、きゃあきゃあ言ってないと寂しい様で、いつも誰かと話している。
クラスのリーダー的な存在の人間に媚びていて、その理由が「一人になりたくないから」。
そんな理由で陰口に参加していたりする。
お節介で、至らないことまで口に出してくる。
外見は仕方ないが、これで媚びたりしない性格であれば、彼氏は居たであろう。