楽園を求む転生者   作:厨二王子

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はい、今回は変態ホモ登場です。では、どうぞ!


5話 変態ホモ

キャッチボールをした次の日、雄二は部屋で絵を描いていた。俺はいつも通り本を読んでいたんだが、気になって覗いて見ることにした。

 

「おっ、何の絵を描いてるんだ?」

 

「………」

 

雄二は無言で絵を見せてくる。その絵にはきれいな山と川の風景と、三匹のザリガニが写っていた。

 

「おっ、このザリガニたちって俺ら兄妹三人?」

 

「…コクン」

 

雄二は静かに頷く。俺はその絵をよく見ていた。とても子供らしい絵だが、とてもいい絵である。なにより、そこに俺も描かれているというのがとても嬉しかった。

 

すると部屋の外から一姉が入ってきて彼女も絵を見る。

 

「いい絵ねぇ~」

 

「うん!」

 

一姉も雄二の絵を褒める。さらに、一姉はその絵も持っていき彼女の絵を描く部屋に飾る。俺もそれに付いていく。

 

「恥ずかしいよ」

 

「何を恥ずかしがるんだよ。いい絵じゃんか」

 

「そうよ、私もこの絵好きよ。何も恥ずかしがることなんてないわ」

 

「うん」

 

こうして素晴らしい絵が飾られて、俺ら兄妹三人はお互いに笑いあった。

 

 

だがその夜、一姉の部屋であの父親の怒鳴り声が響く。

 

「今すぐその絵を外せ。桐原さんが来てくれるんだぞ、そんな子供の落書き恥さらしじゃないか」

 

「私が好きで飾っている絵を侮辱しないで!」

 

二人の大声が家中に響く。その声を聞いた俺と雄二は、何事かと思い一姉の絵を描く部屋へ向かう。俺が父親の言葉に唇を噛み締めていると、雄二が部屋の中へと走り出す。

雄二は自分の書いた絵を手に取る。

 

「あっ、雄二」

 

「くっ!」

 

雄二は手に取った絵を、泣きながら破った。

 

「あっ」

 

「えっ」

 

俺と一姉は雄二が自分の絵を破ったことに驚く。

 

「なんだ雄二当て付けのつもりか!」

 

父親は相変わらずのように怒り、雄二に怒鳴りつける。そして雄二は下を向く。こうして親父が怒鳴った後、自然と解散した。雄二は自分の部屋へ帰り、一姉はまだ破れた雄二の絵を見つめている。そして親父が部屋を出ようとした時、俺は父親に言った。

 

「おい、糞親父!さっきの絵は雄二が一生懸命書いた絵なんだぞ、何で落書きなんて言ったんだ!」

 

「落書きを落書きと言って何が悪い、俺はもう行くぞ。ああ…それとお前あいつからこっそり金を貰ってたらしいがもうそんな事させねえ。きつく言っといたからな」

 

俺はこの時、この糞親父に胸糞苛ついていた。

おそらく、もう少しで殴りかかっていただろう。

 

「ごめんね、雄二」

 

「…」

 

そして結局、一姉は夜の間もずっと雄二の破れている絵をずっと見つめていた。そして俺は、その一姉の様子をずっと見守る事しかできなった。

 

 

 

 

そしてある日、ついに我が家にあの男がやって来た。 雄二はあの時奴を変わった男と言っていたが。

 

「それであのぅ、娘の絵はいくら位…」

 

俺と雄二が小学校から帰ると、俺はいきなり親父の糞な声が聞こえてきて気分が悪くなる。しかしそれ以上に父親と一緒にいる男を見て、そんな気分は消し飛んだ。

 

ヒース・オスロ

国際テロリスト…ということと後変態ホモ、そしてとても危険な男だということを辛うじて覚えていた。

 

「ありがとうございます」

 

父がとても喜んでいる。どうせまた一姉の絵が売れたんだろう。

そして父が笑っている横でヒース・オスロ…

いや桐原と名乗る男が、俺と雄二に近付き俺らの存在に気付き父に聞く。

 

「んっ、こちらの少年二人は?」

 

「一姫の双子の弟で右から大樹、雄二と言います」

 

「ほぉ、それはそれは」

 

奴は俺ら二人にさらに近づいてきてくる。

 

「坊やたち、チョコレートは好きかい?」

 

奴はそう聞くと、俺らの前にオルゴールを広げチョコレートを出してくる。雄二は直ぐに頷きチョコレートを取ると、自分の部屋に向かい走り去っていた。

その後、俺もチョコレートを取ろうとすると奴にじっと見つめられ、話しかけられる。

 

「君のその目とてもおもしろい」

 

奴がそう言った瞬間、全身に鳥肌がたった。

すると奴は俺の耳元で囁く

 

「そう、警戒しなくてもいいんだよ」

 

俺はそれを聞いた瞬間、恐怖を感じ雄二のいる部屋へと全力で走っていた。

 

桐原は走り去っていった二人を見送ると、父親に聞いた。

 

「彼らも絵を描くんですか?」

 

「めっそうもない、あれらはそっちの才能には

恵まれませんでお恥ずかしい」

 

「ふっ」

 

桐原は短くそう言うと、オルゴールを閉じた。

(しかしあの少年…大樹くんと言いましたか?いい目をしてました。雄二くんも素晴らしい、ふふふふっ)

 

これが俺とヒース・オスロの初めての出会いとなった。

 


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