楽園を求む転生者   作:厨二王子

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はい、皆さんお久しぶり。この作品のラフコフ討伐はヒースクリフも参加します。


53話 ラフコフ討伐

 今血盟騎士団の本部では血盟騎士団のメンバーだけではなく、攻略組の姿もある。実はヒースクリフが現れるまではキリトの二刀流についての話題が絶えなかったが、今回の召集は笑う棺桶なので話題は直ぐにシフトした。地味にキリトが安堵の声を出す。

 皆がヒースクリフの言葉を待つ中、ついに彼が口を開いた。

 

「昨日、我がギルドのある人物からレッドギルドである笑う棺桶のアジトが見つかったという報告があった」

 

 俺も昨日の連絡で知ったが、その調査には俺も荷担していた。すると、血盟騎士団のメンバーの中に笑う棺桶と繋がりがありそうな人物を見つけ泳がせていたのだ。 そして今回の連絡はそこから来たものだろう。ちなみにそいつは今回廊結晶で牢獄にいる。

 

「場所は下層の洞窟だ。さすがに彼らの悪行を見逃す訳には行かない。しかし、今回の戦いではもしかしたら死人がでる可能性がある。相手にも……そしてもちろん此方にもだ」

 

 皆はヒースクリフの言葉を聞くと、暗い表情や決意に満ちた表情をする者がいる。しかし、事実だ。今からヒースクリフが作戦の概要を説明するが、その作戦が必ずうまくいくとも限らない。間違いなく厳しい戦いになるだろう。

 この後、ヒースクリフが作戦を説明し、最後にこの場にいる人たちに問い掛ける。

 

「今回の作戦は自由参加だ。此処で参加しなかったからといって、誰も攻める者はないだろう。参加しない者はこの場から去ってくれて構わない」

 

 ヒースクリフはそんな言葉を告げるが、ここにいる皆は誰一人参加を拒むことはなかった。

 作戦開始は明日。俺の頭には嘲笑う奴等の姿がある。

 そしてこの時、俺は心配そうに自分を見つめるアスナの姿に気付かなかった。

 

 

 

 

 

「ここに笑う棺桶が……」

 

「……そうだな」

 

「ダイキくん……」

 

 俺は先頭で俺達を率いるヒースクリフについて行くと、目的地である洞窟の前に着いた。周辺には人影はおらず、静かだ。情報では今は笑う棺桶内で集会をやってるそうなので、突入するとしたら今だ。

 俺はヒースクリフに声を掛けた。

 

「どうする?」

 

「情報通りなら今しかないだろう。突入しよう」

 

 俺はヒースクリフの言葉に頷くと、彼を筆頭に皆は洞窟の中に走り出した。

 

「誰もいない……」

 

「どうなってんだ!?」

 

「……」

 

 俺達が洞窟の中に入ると、そこには笑う棺桶のメンバーは誰一人見当たらず、皆が不安の声や戸惑いの声を上げる。そんな中、俺を含めた何人かはこの状況を冷静に考えていた。そして、俺は崖の上から物音を聞いて声を出す。

 

「上だ!」

 

 俺が声を出した瞬間、笑う棺桶のメンバーが崖の上から降りて来た。しかも、四方八方から。

 俺達は奴等の罠に掛かってしまったようだ。

 

 

 

 

 

「ちっ!」

 

 俺は今の状況に思わず舌打ちをする。笑う棺桶のメンバーが突然現れてからは戦場が乱戦状態になっている。もう、陣形も糞もない状態だ。

 そんな中、俺はテュポーンやPoHを探したい気持ちを抑えて、敵を斬ったり、回廊結晶で牢獄の方に跳ばしながら周囲の様子を気配っていた。今のところ此方側に死者はいない。

 このまま状況を維持したいと考えていた時、俺はヒースクリフが一人でこの乱戦から抜け出すのが見えて跡を追う。

 

「大丈夫か!?」

 

「ダイキくん!」

 

「キリト、アスナ……」

 

 そしてヒースクリフを追っている途中にキリトとアスナと合流する。二人共無事なようだ。

 

「何故か知らんが、団長が戦線を外れた」

 

「ヒースクリフが?」

 

「団長のことだから、何か考えがあると思うけど……やっぱり心配ね」

 

 アスナは心配しているが、俺は正体が茅場だと知っているためあまり心配はしてないが、何かあるとは思った。そして俺とキリトは突如後ろから感じた殺気を感じて、剣を抜く。

 

「HAHAHA、さずかは有名な黒の剣士、瞬速の剣士……いやヘッドのお気に入りと呼べばいいのかな?」

 

「てめぇは……」

 

「お~怖い怖い……」

 

「赤眼のザザ、ジョニーブラック……」

 

 俺とキリトは奴等の剣を防ぎ、睨みながら一言告げた。この二人についてはPoHとテュポーンを含め、昨日の会議である程度の説明はされている。赤眼のザザは針剣と呼ばれる小さな剣を使い、ジョニーブラックはテュポーンと同じく刀を使う。

 俺はこのまま戦闘を始めようとすると、キリトとアスナが俺の前へ出た。

 

「ダイキくんは団長を追って」

 

「ここは任せろ」

 

「……すまん、頼んだ」

 

 俺はキリトとアスナの言葉を聞き、一瞬悩むもここは二人に任せ、団長を追うべく先へ進んだ。

 

「ちっ……」

 

「お前らの相手は俺達だ!」

 

「ここから先には行かせない!」

 

 

 

 俺は先へ進むと、ヒースクリフの後ろ姿が見えた。しかし、突然俺の視界に赤いエフェクトが映る。

 

 ……これはソードスキル!

 

 俺は一度後ろにバックステップしてなんとか避ける。すると、その攻撃の方角から声が聞こえてきた。

 

「会いたかったよ、兄さん……なんてね」

 

「テュポーン……」

 

 俺は憎み溢れる声でその名前を告げた。テュポーンは笑いながら俺に刀を向けてくる。

 

「さぁ、また殺し合いをしよう!まぁ、あの薬がないのは残念だけどね」

 

 俺はその薬を知っている。嫌になるほど……

 

「ふざけるな!あんなものは存在しなくてもいいものだ」

 

「無いものは仕方ない。……いくよ!」

 

「殺してやる!」

 

 俺は少し冷静さを無くしながらも、自身の相棒であるグロウズナイフをテュポーンに向けて振るった。

 

 

 

 

 

「こんなところまで私を誘い出して何のようだね?」

 

「HAHAHA。なに、かの有名な血盟騎士団の団長様相手にどこまで通じるか見てみたくてね」

 

「……」

 

 ヒースクリフはじっと目の前にいる笑う棺桶のボス……PoHを見るとあることに気づき驚く。

 

「貴様、まさか……」

 

「ho、さすがは血盟騎士団の団長であるヒースクリフ。いや、この世界の神……茅場彰彦」

 

 ヒースクリフ……いや、茅場彰彦は自身の正体を暴かれたことよりも、目の前の相手がこのゲームのGM権限までハッキング出来ていることに驚いていた。

 

「まさか、君達のような存在がここまで出来る技術を持っていたとは……いや、彼の助力もあったのかな?」

 

「いずれはあのシステムを物にする予定だからな。このぐらい出来て当然さ」

 

「タナトスシステムか」

 

「Yes!」

 

 PoHは茅場の問いに答えると、あきらかにシステム的にあり得ない速度で茅場の後ろに回り、斬り込んだ。

 茅場は一瞬反応に遅れるも、彼の持つ大きな盾でその攻撃を防ぐ。しかし、そこでまさかのタイムログのない繋がってるような二撃目がやって来る。

 

 これは……

 

 茅場はその連撃に目を見開き驚くも、冷静に盾で対処する。PoHの様子を見てみると、さっきまで持っていなかったはずの二本目の首切り包丁が左手に握られていた。

 

「HAHAHA。どうやら、驚いたようだな」

 

「……」

 

 茅場は今までプレイヤーたちに見せたことのない怒りの表情を見せるとPoHに一言告げる。

 

「PoH……貴様はもはやプレイヤーとしてではなく、このゲームを害するウイルスとしてお前を排除する」

 

「そうだ、その表情……最高だ!じゃあ……」

 

 そしてPoHはこれから本格的に始まる、笑う棺桶と攻略組との決戦を代表するかの如く宣言した。

 

『It's show time』

 


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