「パパ、ごはん」
「ちょっと、待ってろ。もうすぐできるから」
ヒースクリフからユイを預かって次の日、俺は同時に譲って貰った二十二層のマイホームでのんびりとした時を過ごしていた。このマイホームであるログハウスは、見れば見るほど麻子や雄二と過ごしていたログハウスとそっくりである。二人は今ごろどうしているだろうか。
後、ユイの俺への呼び方だが、結局パパと呼ばれることになった。別にロリコンというわけではない…断じてないぞ!しかし、この年でパパになるとは…人生何があるか分からないものだ。
俺はそこまで高い料理スキルを持ってないが、ユイのために作ったハンバーガーをユイの口へと運ぶ。
「どうだ、美味しいか?」
「おいしい!」
…よかった、お口に合ったようだ。俺はユイの笑顔に癒されながら、アイテムボックスの整理をした。
休暇を貰い、ユイのお世話をするといっても、特にやることはない。
とりあえず、暇だった俺はハンバーガーを食べ終わったユイを連れて外に出ることにした。
「わぁー、高い高い」
今俺はユイを肩車をしながら、ログハウスの周りを散策していた。ログハウスの周りは木ばかりで、近くには大きい湖がある。
肩車をして、ユイはとてもご機嫌である、そしてそんなユイを見て俺もご機嫌である。なんかここ最近、染まって来てるようだが、気にしない気にしない。
暫く歩いていると、例の湖に着いた。俺は近くにある薬草のアイテムを集める。
「ユイも手伝う」
「ありがとう。でも、そんなに離れちゃダメだよ」
「うん」
俺とユイは二人で薬草を探す。この薬草は以外に高く店で売れるし、個人で持っていれば、いろんな種類のポーションになって、プレイヤーたちの大きな助けになる。まぁ、上層のプレイヤーは皆店で売るだろうが。俺もエギルの店で売るつもりである。たまに、ぼったくられそうになるが…。
暫く湖の近くで薬草を集めていると、時間が過ぎて夕方になった。俺とユイの収穫はというとそれなりに売れると思う。
「たくさん採れたよ」
「そうだな。ありがとう、ユイ」
俺がユイにお礼を言いながら、頭を撫でると、ユイは笑顔になる。俺はユイから貰った薬草を確認すると、ユイと家へ帰っていった。
「うー」
「大丈夫か。目に泡入らないか?」
「大丈夫」
俺は帰って来たあと、ユイと一緒にお風呂に入り、出できてからは夕飯を食べた。今回の夕飯はラーメンである。味はまぁ、微妙だが。それでも、ユイは美味しそうに食べてくれた。今度ユイと一緒においしいご飯を食べに行こう、そう心に決めた。
それから一時間後、ユイが喉をかわいたそうなので俺がキッチンにおいてある飲み物を取ろうと動こうすると、後ろから誰かに飲み物を渡された。
「ありがとう」
「別に、大丈夫だよ」
そうか、ならいいんだが……っん?
待て、この家には俺とユイだけのはずだ。じゃあ、一体誰が…。
俺は恐る恐る後ろに、振り向く。
「よっ、ダイボウ。久しぶりだな」
「…アルゴ」
見たことのあるトレードマークのひげをつけて、何度も助けられた有名な情報屋、アルゴがそこにいた。
「何でお前がここにいるんだよ…」
「何でって、オレッチがこんな、瞬速の騎士が少女と同居…というか、娘がいるなんて情報を見逃すわけないだろ」
「ちょっと待て…お前はなんか誤解している」
「そうか?」
「おいお前、まさかこの情報をさっそく誰かに売ったんじゃないんだろうな」
「おう。一人ダイボウの場所を探していたプレイヤーがいたからな、そのプレイヤーに売ったよ」
アルゴがその言葉を告げた瞬間、ログハウスの扉が勢いよく開かれ、そしてそこには…阿修羅がいた。