楽園を求む転生者   作:厨二王子

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44話 テュポーン

俺は目の前にいる雄二にそっくりなプレイヤーを観察する。髪が白色で目は赤色。そこは一姉を思い出させる。

 

「もう一度聞くぞ。お前は何者だ?」

 

「いや、風見雄二だよ。兄さん」

 

…いや、違う。

 

俺はこいつが弟の雄二でないことは分かる。だが、あまりにも似すぎているのだ。こいつが俺たち兄妹となにかしら、関わっているのは大体予想ができる。

 

「はっはっは!その目やっぱり、分かっちゃうか。その通り俺は風見雄二じゃない」

 

「じゃあ、お前は一体?」

 

「デザインソルジャー計画テュポーンプロジェクト第30試験体TP42。俺はヒースオスロによって作られた、風見雄二のクローンさ」

 

「クローン…だと」

 

「まぁ、テュポーンって呼んでくれて構わないよ」

 

俺はテュポーンの話を聞き、絶句する。確かに、オスロは俺たち兄弟の血液など色々とっていたが、まさかこんな存在を造っていたとは。

 

「髪と目は姉さん似で、性格が兄さん似かな」

 

「…」

 

風見雄二のクローンか。まぁ、オスロは雄二の容姿とか気に入っていたから納得である。

 

「そうそう。この体にはオスロの学校にいた何人かの子供の血も入ってるそうだよ。例えば、君があの時、試験で殺した子とかね」

 

こいつ一人が生み出されるために、一体何人の人が犠牲になったのか、想像したくもない。

そんな中、PoHが笑いながら声を出した。

 

「HAHA、すごい似てるだろ。俺もこいつを初めて見たときは驚いたぜ」

 

「…」

 

テュポーンを見れば分かる、こいつも俺たち兄弟と同じように、たくさんの人を殺してきたのだろう。

 

そして、テュポーンは突然大きな声を出し、怒ったように

声を出す。

 

「もう兄さんたちと比べられるのは、うんざりだ。だからどちらが強いのか、はっきりさせようじゃないか!」

 

「…俺はそんなことに興味もないけどな。でも、お前を生かせば、いずれ雄二や仲間たちにも被害が出る。だから俺が…お前を殺す」

 

俺がその一言を告げた瞬間、戦う合図となった。

 

俺はグロウズナイフを持ち、テュポーンの刀をいなしていく。向こうの一撃は一つ一つが重い。俺はそれを速さでカバーしていく。

 

「ちっ、重い!」

 

「どうしたの兄さん?こんなもんじゃないでしょ!」

 

テュポーンの剣撃の速さが徐々に上がっていく。

 

…くそ。

 

俺は思っていた以上のテュポーンの実力に舌を巻く。そして長い拮抗の末、ついにテュポーンの刀が俺に当たった。

 

「がはっ!」

 

一撃を受けた俺は一度、後ろに後退する。

 

「はぁ、がっかりだよ兄さん」

 

「何だと…」

 

そんな時、テュポーンが落胆の声を上げる。

 

「いつまで、正義の味方ごっこをしてるのさ。

だから、こんなにも弱いんだよ。兄さんは殺人鬼…化け物でしょ」

 

正義の味方ごっこ…違う、俺は大切な人々を助けるために、麻子との約束を守るために。

 

「…黙れ」

 

「聞こえるでしょ。今まで殺してきた人間の叫び声や叫びが」

 

確かに、聞こえる。俺は今まで、聞こえない振りをしてきた。

 

「…黙れ」

 

「あっ、そうそう。月夜の黒猫団だっけ?彼らも兄さんがいたから、死んじゃったんだよ」

 

そう、彼らは俺がいたせいで、死んだ。俺がいなければ、彼らの前にPoHは現れることはなかった。

 

「黙れって言ってんだよ、テュポーン!」

 

俺はグロウズナイフを力強く握り、テュポーンに突っ込んでいく。

 

「兄さんが本気を出してないけど、仕方ないか」

 

テュポーンは一言呟いた後、手に持っていた刀を鞘に戻す。

 

…なんだ?どうして?

 

俺はこのテュポーンの行動にとても大きな違和感を感じた。しかし、俺の攻撃はもう止めることはできない。

 

そして、俺のグロウズナイフがテュポーンに届こうとした…その時。

 

テュポーンは鞘に戻した、刀を再び引き抜いた。刀から赤色のエフェクトが光り、大きな一撃が俺を襲う。

 

俺は反射的に右に跳び、急所をはずすことはできたが、それでもHPバーは赤色になってしまった。

 

「何が…起こった?」

 

「驚いてるね。これは俺のユニークスキル、『抜刀術』だよ」

 

「ユニークスキル…」

 

抜刀術…ヒースクリフから聞いたことがあったが、まさかこいつがその持ち主だったとは。

 

「HAHA、ボロボロだな。ダイキ」

 

「PoHか…」

 

「いい加減に目を覚ませ、お前は化け物だ。人を殺し続けるな」

 

「…違う」

 

「違わないな。来いダイキ、お前がいるべきなのはそんな明るいところじゃない」

 

「…」

 

PoHの言葉が俺の中に入ってくる。俺はそれを心の中で、否定し続ける。

 

俺はもう、化け物なんかじゃない。

 

違う違う違う違う違う違う違う

 

奴等の言うことが、正しく聞こえてくる。だが、俺はそれを否定し続ける。

 

「俺は化け物…じゃない」

 

「はぁ残念だよ、ダイキ。やれ、テュポーン」

 

「まっ、俺は兄さんを仲間にするのは、最初から反対だったけどね。さよなら、兄さん」

 

テュポーンが刀を降り下ろす。俺は倒れていて、動くことが出来ない。

 

同時に俺の心の闇の広がりも、加速していく。

 

そしてこの瞬間、俺の心は限界に達し、意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

「チっ、邪魔が入ったか」

 

「ギリギリセーフだな」

 

「大丈夫、ダイキくん」

 

私は夕方にダイキくんから、連絡を受けて攻略組に助力を頼んだ。でも、嫌な予感を感じて、キリトくんと一緒に先にここまで、先行してきたのだ。

 

キリトくんはダークりパルサーを抜き、白髪の男の刀を防ぐ。

 

私はダイキくんに回復ポーションを使って、回復させる。

 

「『黒の剣士』に『閃光』か…」

 

「そういうお前たちは、笑う棺桶だな。もうすぐほかの攻略組が来る」

 

「潮時だな。お前ら、退くぞ」

 

PoHの一言に従い、ほかの連中も武器をしまい、去って行こうとする。

 

すると、PoHがこちらに振り返った。

 

「ダイキに伝えておけ、俺はいつでもお前を受けいれるとな」

 

「どういう意味?」

 

「HAHA、ダイキはお前らが思ってるような奴じゃないってことさ」

 

PoHは私の質問に答えを出すことなく、この場から去っていった。

 

「気になることを言っていたが…」

 

「とにかく、ここはキリトくんに任せたわ。私はダイキくんを安全なところに」

 

「分かった」

 

私はキリトくんにこの場を任し、ダイキくんを血盟騎士団本部にまで、運んでいった。

 

ダイキくんが目を覚ましたのは、次の日のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッガ、 ピピピッ----

 

カーディナルに謎のシステムの介入を確認----

 

直ちに、システムの消去開始----

 

失敗----

 

ファイヤーウォール突破されました----

 

ブロックも不可----

 

ガッガ、ピピピッ----

 

『やっと、会えるわね。大樹』

 

SAOに謎のシステムが侵入しました----

 




テュポーンの登場。さらに、あのシステムとはなんなのか!?。オリ主は心が壊れるほどではないですが、ダメージを負い、システム的に意識を失った感じです。次回は、あの少女が登場します。次回も、お楽しみに!

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