今俺の目の前には、色々な建物が立ちならんでいる。まぁ、俗に言う都会というところに電車に乗って来ていた。
そして後ろではら双子の弟である雄二が相かわらずの無表情で付いてきている。さて、どうしてこうなったのかは数日前に遡る。
ある日、俺ら兄弟は一姉から呼び出しを受けた。
何事かと思い話を聞くと、なんでも絵のコンクールかなんかであの親からお金をたくさん貰ったので分けるという話だった。
俺らは別に要らないと言ったのだが、「せっかくだから二人で休みの日にどこか行って来なさいな」と言われたので渋々貰うことにした。一姉は最近絵を書くことで忙しいようだ。
それで俺はしばらく悩んだ末に、秋葉原に行く事にしたのだ。なので、一姉や両親がいない時に我が弟である雄二を連れて(ほぼ無理やり)今秋葉まで来ていた。
「さぁやってきたぜ、秋葉原!どこから回るか雄二?」
「…どこでもいいんじゃない」
「んな連れないこと言うなよ、とりあえず、ラノベを探しにデカイ本屋に行こうぜ。」
「…」
こうして行動方針を決めて、大きい本屋に向かう。
それと俺と雄二は一姉に比べるとよく一緒にいるんだが、雄二があの性格なのであまり話す事はない。そして何より、笑うこともないのだ、とりあえず、今回の目標は絶対笑わせることだな。
「んじゃあ、精一杯秋葉を案内してやる、しっかり聞けよ雄二」
「…」
雄二は基本的に無言で俺が一方的に話してるだけだったが、なんだかんだ話してるうちに目的地である着いた。俺は前世ぶりの秋葉でテンションマックスである。
「ではまずラノベをよく解説してやる、しっかり聞くんだぞ、これはな…」
「…」
まぁ、こんな感じに俺が勝手に本人関係なく解説を始める訳なんだが
…あれ?もしかしてコミュニケーションとれてない。
あっ、そうそうこの世界でもある程度有名どころの作品はあった。とある魔術とか灼眼のシャナとか。
俺は雄二にラノベの解説を終えると、欲しかったラノベを買う。さらに外に出て昼食を食べるために、近くのファーストフード店に寄った。
「どうだ都会は楽しいだろ?」
「…正直疲れたよ」
「はははっ、疲れたかまぁ色々歩いたからなぁ」
そうそう、何故俺がラノベを買えているのかだが…
実は母親に一定の成績を取ったらおこづかいと約束をつけているので、そのお金で買っているのだ。
まぁ、一姉は俺なんかと比べものにならないお金を貰っているが。
そして雄二と俺は近くにあったファーストフードに入る。俺たちはハンバーガーを食べて少し雑談した後 、この世界にもあったアニメイトや虎の穴など回った。雄二は終始無言であったが…。
そして電気屋を回った後に、前を見てなくて人とぶつかってしまった。
「痛っ!」
「あっ、ごめんなさい大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫です」
ぶつかったのは見た感じ男の子で、おそらく一姉と同じくらいの年だと思う。そんで黒髪で少し女顔のイケメン…あれ?どっか見たような。
「えっと、本当にすいませんでした」
「ああ、別に大丈夫だから」
男の子はそう言うと俺が落としたラノベを拾ってくれて渡して去って行った。
「…兄さん興奮しすぎ」
「…すまん、はしゃぎすぎた」
俺はこの時、自分が結構はしゃいでいた事に気付き反省した。しかし、本当にこの子どこかで…まぁいいかその内思い出すよな。
「もう、何してるのお兄ちゃん。速く行こうよ」
「ああ、悪い直。人とぶつかっちゃって」
そしてこの二人は数年後、あのデスゲームで再び再会する事となる。
あれから色々と回り、そろそろ帰らないといけない時間になる。そして駅に向かっていると、雄二から珍しく話して来た。
「…兄さんは何でそんな楽しそうにできるの?」
「えっ?」
俺は雄二からの突然の質問に戸惑うが答える。
まぁ、親はあの有り様だからなぁ、雄二がそんな質問をしてくるのは、何となく分かる。
「そうだな…やっぱり楽しめる時は楽しみたいじゃん」
「えっ」
「だってそうだろう?人生は一度きりで、今この瞬間はもう二度と来ないんだぜ。やっぱり楽しめるときは楽しまなくちゃ」
「…兄さんらしいね」
「だろう?」
俺がそう言うと、雄二は少し笑った。
「あっ今お前笑っただろう?笑ったな」
「…笑ってないよ」
「いや、笑ったね」
こうして俺らは楽しく話しながら、電車に乗り家に帰って行った。
今回の話でオリジナルの話は終わりです。次回からはカプリスの繭に入ります。次回も見てくれると嬉しいです。