SAOが始まってもう一年が経過した。攻略の方も順調でなんと二十八層まで攻略できた。
ここまで攻略できたのはいろいろなギルドができたことが大きい。
最前線の攻略に参加しているギルドはキバオウが率いる『アインクラッド解放軍』通称『軍』と、クラインが率いる『風林火山』、そしてアスナが副団長でありヒースクリフが率いる『血盟騎士団』がある。
クラインはキリトに紹介され友達になり、最近でもよく話す。
俺は結盟騎士団が結成された日であり、ヒースクリフと初めて接触した日を思い出していた。
俺がヒースクリフとこのゲームで初めて接触したのは二十五層の時だった。突然茅場からメッセージが入り、呼び出しを受けた俺は二十五層の街のカフェに向かった。
店に入ると、入り口から少し離れた席に座っている人が俺に向けて手を振って来たので、大部顔が違っていたが直ぐ茅場だとわかった。店には俺ら以外プレイヤーはいない。茅場が管理者の権限でも使ったのだろう。
「やぁ、ダイキくん。久しぶりだね」
「ああ…久しぶりだな、茅場」
「今の私は茅場ではなく、ヒースクリフだよ」
俺は何年か振りに会った茅場…ヒースクリフに挨拶し、席に座る。
「俺に接触してきたということは、動くということか?」
「そういうことだ。まぁ、話も長くなることだし何か頼みたまえ。私が奢ろう」
「そうかい。んじゃ、コーヒーでも頼むか」
俺は茅場に言われメニューを取るとNPCにコーヒーを頼んだ。しかし頼んだはいいが、正直このゲームの料理や飲み物は、現実の味とかけ離れていておいしくない。
「しかし最初の層で君にメッセージで送った、武器やスキルを有効に活用してくれて嬉しいよ、『瞬速の騎士』くん」
「以外だな。あんたのことだからユニークスキルを使われて、攻略のスピードが上がるのは嫌だと思ったんだが」
「なに、私はこの状況を作りたかったのであって、攻略されるのが困るというわけではないのだよ。むしろ喜ばしいことだ」
「そうかい、ならいいんだ」
俺は一息にコーヒーを口に入れる。
「さて、ここからが本題だ。私は昔君が言っていた通り、ギルドである『血盟騎士団』を作ろうと思う」
「なるほど…」
俺は表向き知ってるように、相づちを打つ。実際はうる覚えなのだが…。そんなこととは露知らず、ヒースクリフは話を続ける。
「そこでもちろん君もこのギルドに入って貰おうと思う」
「やっぱりか…」
俺はこの話が出た時、絶対こうなると予感していた。
「但し、表向きだが」
「表向き?」
「そうだ。君にはギルドに入ってもらうがあえて仲間とはボス攻略以外連係をとらず、個人で動いてもらいたい」
「何故だ?」
「なに、こいうのは別の視点で見れる人材というのも必要なのだよ、いろいろね。それに少し特別なことも頼むこともあるだろうしね」
「特別なことね…」
茅場としての頼みを聞く時に、個人で行動してた方が怪しまれずに済むということか。
「それと、さっそく君に頼みがあるだが」
「何だ?」
「君は良くあの『閃光』のアスナと行動しているそうじゃないか。彼女に血盟騎士団の副団長をやってくれないか、頼んでくれないか?」
「アスナに?」
ヒースクリフが言ったように二層から良くアスナと俺は一緒に行動している。今日は彼女のお気に入りのレイピアを強化に行くということで
、珍しく一緒ではないのだが…。
「…分かった。頼んでみる」
「そうか。よろしく頼むよ」
茅場が席から立つと俺は昔した約束を覚えているか確認を取る。
「それと、例の約束…守ってくれるんだよな?」
「もちろんだよ。私が出した条件を彼がクリアすれば」
「…ならいい」
この会話の後、俺はヒースクリフと別れて、直ぐにアスナと会った。
最初アスナに頼んだ時、嫌そうな顔をしていたが俺がこのギルドに入っていると伝えると突然勢いよく了承した…何故だ。まぁ、この後はボス攻略会議でヒースクリフが結盟騎士団の発足を宣言した。
皆は俺やアスナがこのギルドに入っていると知り、やはり驚いていた。キリトは数少ない攻略組のソロプレイヤーが自分だけになったので落ち込んでいたな。
後、気になることは一層から俺のことを聞き回るプレイヤーのことで、一時落ち着いたんだが、最近になってまた聞き回ってるらしい。
さらに、そのプレイヤーと接触できないのが、また面倒だ。
アルゴの情報によれば、そのプレイヤーはやっぱり一層の時のプレイヤーと同じで、フード被っているとしか分からず、相変わらず情報が少ない。
なにか胸騒ぎがするが、何もなければいいのだが。
はい、ということで茅場ことヒースクリフ登場。次回から本当に黒猫団の話いきます。次回もお楽しみに!