俺は誰よりも速く…そして鋭く、コボルドロードに向かっていく。その途中、周りから驚きの声が聞こえてくるが、俺は気にせず突っ込んでいく。
すると、エギルにコボルドロードの野太刀が向かっていくのが見えた。やらせねぇ!
俺はその間に割り込み、手に持っているグロウズナイフでコボルドロードの野太刀をいなす。これは別にスキルではない、俺が現実世界で身に付けた技術だ。
「無事かエギル?」
「ああ、助かった…」
俺がエギルに安否を取ると、エギルは戸惑いながらも答える。
すると、キリトやアスナが近づいてきた。
「キリト、アスナ。俺が隙を作るから、お前らが奴に止めをさしてくれ」
「大樹その武器とスキルは?」
「すまん、それは後で説明する。今はこっちを優先してくれ」
「…分かった。後で教えてくれよ、パーティーに隠し事はなしなんだろ?」
「ああ、その通りだ。俺が突っ込んでから隙ができたら、直ぐきてくれ…じゃあ、俺は行く。アスナも頼んだぜ」
「分かってる…」
俺は再びボスに向かい、突っ込んでいく。そしてコボルドロードはまた野太刀を振りかざしてくるが、俺はそれを誰よりも速い速度で、避けながら近づいていく。
そして大分近づいたところで、スキル…ユニークスキルを発動させる。
「さぁ『瞬速剣』初お披露目だ!」
俺は瞬速剣を発動させると、グロウズナイフが光だしスキルが発動する。
三連撃ソードスキル…瞬影
発動した瞬間、さらに俺は加速した。敵を翻弄しながら三連撃がヒットし、コボルドロードの動きが止まる。そして俺は後ろにいるであろう二人に叫んだ。
「今だ!」
キリトとアスナは二人お互い武器を持ち凄まじい連携で、コボルドロードにダメージを与えた。さらに、ほかの部隊の援護も始まる。
そして最後に、キリトがラストアタックを決めて、コボルドロードは倒された。
『うおおおー!』
皆の喜びの声が響く。俺たちが安心しているとエギルがやってきた。
「 Congratulations!君たちの勝利だ」
エギルが俺たち三人を褒め称える。だが、そんな空気を一人の男がぶち壊した。
「なんでや、なんでディアベルさんを見殺しにしたんや」
「…」
キバオウがディアベルの死について叫んでくる。βテスターはやっぱり嘘をついたとか、そんなことを話ながら。まぁ、俺は別にβテスターではないが…。
そんなことを聞いていると、キリトが何かを言おうと口を開こうとしている。だめだ、野太刀があることを叫んだのは紛れもなく俺だ。キバオウはその発言を聞いている。たとえ、キリトがβテスターと話しても、奴は俺を責める。それにユニークスキルやグロウズナイフのこともあるしな。
仕方がないか…。俺はあのカードを切ることにした。
「はっはっは!」
「何がおかしいんや!」
「…ダイキ?」
俺はおかしくなったように笑う。キリトやアスナ、エギルも、突然のことでどうようしていた。
「さっきからお前らβテスターがなんだとか言ってるが、実に下らないな…俺がそんなちっぽけな存在なわけないだろ」
「なんやて!?じゃあ、お前は一体何なんや?」
キバオウがそう言った瞬間俺は腰にさしていた
グロウズナイフを上に掲げる。
「このレア装備と、さっきのボス戦に使ったスキル…いやユニークスキルを見ただろ。俺はこのデスゲームを作った茅場晶彦の協力者さ」
ザワザワ ザワザワ
周囲にさっき以上の、どうようがはしる。
「まっ、今あいつがどこでなにしてるのかは知らんが、この武器やユニークスキルは協力した報酬で貰った。野太刀が分かったのは、それが理由さ。もちろん、もっと先のところまで分かるぜ」
「なっなんやそれ…そんなんもう、本物のチーターやないか!」
「まっ、精々がんばるんだな」
俺はパーティーの脱退ボタンを押して二層への階段を上がっていく。
「ダイキ!」
「βテスターをこれから皆にどう認めさせるかどうかは、これからのお前次第だ。がんばれよ、キリト」
「ダイキくん…」
「アスナ…お前はもう強いビギナー卒業だ。それからもしギルドに誘われることがあって信頼できる奴だったら、断るなよ」
俺は二人にそんな言葉をのこし二層へ向かうのだった。