楽園を求む転生者   作:厨二王子

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28話 ボス攻略開始

そして翌日ディアベルを含めたAからEの六人一組の隊とFの三人一組の隊総勢三十四人がボス部屋を目指し、そして数時間後、誰もかけることなくボス部屋の前にたどり着いた。

 

「聞いていくれ皆、俺から言えることはたった一つだ…勝とうぜ!」

 

ディアベルは剣を地面に突き刺し、皆に聞こえるように大きな声で宣言する。そして最後に、全員で士気を鼓舞し、皆気を引き締めた。

この戦いに勝てばこのデスゲームをクリアするための一歩となり、それが希望へと変わるのだ。

 

「行くぞ!」

 

ディアベルの掛け声とともに、先頭を切り重いボス部屋の扉をゆっくりと開きながら、中に入っていく。

 

ボス部屋の中は薄暗く、扉から差し込まれる光りが目立ち、何本かの支柱が見える。

 

「キリト、アスナ、奥の方にボスらしき奴が見える」

 

俺はキリトとアスナに気づいたことを言う。

 

そして先頭のディアベルが中央まで来たところで部屋全体が光出して、それと合わせるように部屋の奥から赤い巨体が姿を表した。

 

全長は三メートルを超え、豚のように肥えていた腹と丸太のような手足、人を簡単に吹き飛ばしそうな尻尾に全身覆うような赤い肌。

頭には兜を被り、両肘・両膝には鉄のサポーターを付けて、右手に石の大きな斧と左手には鉄の大きな円盾を付けた第一層のフロアボス 《イルファング・ザ・コボルドロード》が姿を見せた。

 

そして呼応するように、人と同程度の大きさの取り巻き《ルインコボルド・センチネル》が三体、コボルドロードの前に出現した。

 

ディアベルを含む皆が戦闘態勢に入る。ボスとの距離は五十メートルほどあり、俊敏に多くふった俺なら届く距離だった。

 

グォオオオオオオオオーー

 

大きな低い声を放ちながら、コボルドロードとセンチネルが突進してくる。

 

「攻撃開始!」

 

『うおおおー!』

 

ディアベルの号令とともにA隊とB隊が突撃する。こうして、ボスとの戦闘は始まった。

 

 

 

戦闘が始まって数十分経ち、F隊でる俺・キリト・アスナは取り巻きである、センチネルの討伐を任されている。まぁ、不満はあると思うが、参加できないよりましだしな。

ボスであるコボルドロードが倒されるまで、何度倒しても出現するセンチネルだが苦戦するような相手ではないとはいえ、無限に出現するのは意外と厄介だ。

しかし無限に出現するということは、倒し続けれは沢山の経験値が貰えるということでいいこともある。

 

「これで八匹…」

 

今俺は持ち前の速さを生かしながらセンチネルを狩っていく。あと、キリトも昨日連携を確認したときにこの速さに驚いていたな。

 

俺はセンチネルを狩りながらも、決して余裕があるわけではないが、ボスであるコボルドロードを観察する。

 

…なんだこの違和感。

 

この感じは現実の戦場でよく感じたことがある。これは味方の軍が優勢なときに、敵の予想害の攻撃で味方の軍に甚大な被害がでた時に、感じるものに似ている。

そして俺はこの時見つけてしまった、コボルドロードの後ろにβテスターが書いた情報になかった、野太刀があることに。

 

俺の中で戦いの前に考えた、最悪な状況が頭の中に浮かぶ。

 

…くそ!

 

そんな中B隊とC隊がコボルドロードの攻撃を抑えている間に、ディアベルがコボルドロードに突っ込んでいこうとする。俺は慌てて叫ぶ。

 

「キリト!コボルドロードは情報になかった野太刀を持ってる。今直ぐ、ディアベルを止めろ!」

 

「何を…はっ!?」

 

キリトもこの叫びを聞いて気づいたようで、ディアベルを止めるために動き出した。俺とキリトとアスナではキリトがディアベルに一番近かったし、俺は今運悪くセンチネルに囲まれていて、動けないのでのでキリトに頼んだ。

後、この時キバオウも微かに反応した。

 

だが、コボルドロードのHPが赤くなり奴は情報になかった野太刀を取り出し、ディアベルを切り上げた。くそ…キリトは間に合わなかったか。

 

俺もセンチネルを倒し、その場をアスナや他の部隊にまかせディアベルの元に向かう。

 

「キリト、ポーションは足りてるか?」

 

「…」

 

だがキリトは静かに首をふった、もう間に合わないということだろう。ちくしょう!

 

「皆を…頼む」

 

ディアベルはそんな一言を俺たちに告げて、このデスゲームを去った。

 

ディアベルが死んだことが分かると、ほかの部隊にどうようが広がる。

 

俺は考える、何を戸惑っているのかと…。そうだ、俺の答えはずっと前から決まっている。俺はこれ以上被害を出さないために、封印していたあの武器とスキルを使うことを決意した。

 

自分のHPのポーションでの回復、そして武器やスキルの切り替えの時間を考えて三分。

 

すると、アスナも俺たちのところに来た。…どうやら頼むしかなさそうだな。

 

「キリト、アスナ、頼みがある」

 

二人は俯いていた俺が突然声を出して驚く。

 

「三分…三分でいい。コボルドロードを足止めすることは出来るか?」

 

「出来る!」

 

「やってみせるわ」

 

二人はもちろんと言うように答える。そこで黒人のエギルがやってきた。

 

「三分だな。よし、俺らも協力するぜ」

 

「あんた…すまん、頼んだ」

 

そして皆は俺のいう通り足止めを始めた。

俺も準備を始める。

 

ポーションでHP回復で一分

キリトたちが必至で、コボルドロードを抑えている音が聞こえる。

 

武器やスキルの変更で二分

あと少し…。

 

そしてようやく、俺の準備が完了した…行ける!

俺はグロウズナイフを持ち、強く地面を蹴りコボルドロードへ突っ込んでいった。




次回ついにオリ主がオリジナルユニークスキル発動お楽しみに。明日の五時投稿予定です。

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