あれから犬の世話をしつつ、中学生からはけんかが強いやつがモテるとか、高校生からは頭がいいやつがモテるとかで喧嘩の仕方や本を読まされたりして、時間が過ぎていった。
しかし本を読まされる時、なんでもいいと言ったのでラノベを沢山要求したら、次の日から広辞苑を読まされた…なぜだ?
ある夜、麻子がタバコを吸いながら銃のメンテをしていると雄二が気になったのか聞いた。
「麻子って何の仕事してるの?」
「あっ、それ俺も気になってた」
俺もそれに同じょうする。
「何だと思う?」
だが、麻子は質問に答えず、また質問で返した。
しかし俺らは全然わからず、結局麻子に聞いた。
どうやら、麻子は日米合同対テロ組織中央調査部諜報二分課室通称CIRS(サーズ)というお仕事をしているらしい。
「何をする仕事なの?」
「敵を倒す仕事だ」
「敵って?」
「国家にあだなす奴だ」
「説明雑すぎ…」
「もっと具体的に言えよ…」
俺と雄二はお互いに不満を言う。
「単純の方が分かりやすいだろ?悪い奴を倒すただそれだけだ」
「正義の味方のこと?」
「ぜんぜん違うな」
「正義の味方ね…」
俺は正義の味方と聞いて思う。俺は転生当時、正義の味方のようにこの物語の全ての人を救えるのだと…いや、俺はただせめて、大切な人だけでも守りたいと思っていたんだ。でも実際は…。
俺がそんなことを思っている間にも、麻子が雄二が銃を見つめているのに気づき、声をあげる。
「そうだ、お前ら銃を撃ったことはあるか?」
「オスロの学校で一応習った」
「俺はなぜか、全然やらされなかったな」
「そうか…じゃあ撃ってみるか?」
「「えっ」」
こうして、麻子による銃の指導が始まった。
バン
今雄二は麻子の指導のもとで銃を撃っている。
俺は順番なので、自分の番が来るのを待っていた。
なんか、麻子が当てたらなんかご褒美をくれるらしく、マジかと思っていると、雄二がまさかの二発目で当てたので俺は驚く。
すると、今度は俺の番らしく麻子に呼ばれた。
「今度は大樹の番だ」
「俺は雄二ほどすぐ当てられないぞ」
「普通はそんなもんだ。まぁいいからやってみろ」
「分かったよ」
俺は文句をいいながらも銃を構える。オスロの学校で習ったことや、さっき麻子が説明していた通りに、方角など確認して撃つ。
銃弾は目標物に向かい放たれた。
最初の一発から結局全然当たらず今は十発目で銃を構える。麻子は横で笑い、雄二は心配そうな目で見ていたる。
「全然当たらないな~。お前ホントに長距離射撃の才能ないな」
「うるせぇー今から当てるんだよ」
「まったく、もうちょっと力抜いてみ」
「こうか」
俺は言われた通り力を抜く。
「そうだ。いいか別に銃で撃つのに目だけが必要なわけじゃない。全感覚を研ぎ澄ませ」
「全感覚…」
俺は目でみるだけでなく全感覚を一点に集中させる。そして…撃つ。
今度こそ放った弾は見事に遠くに離れた缶に当たった。
「よっしゃー、やったぜ!」
「やったね兄さん」
「よかった、よかった」
俺は喜びのあまり咆哮をあげ雄二が賞賛する。
ただひとりやけに適当な奴がいるが…。
この後俺らは小屋に帰った。
「ほらこれがご褒美だ」
今俺らの前にはそれぞれ二つの巨大な黒いケースが二つテーブル置かれている。
「なんだよ。ラノベって言ったよな俺」
「ふふ、ラノベよりいいものだ」
「ふーん」
俺と雄二は興味深く目の前の大きいスーツケースを見つめる。二つあるということは片方は俺のでもう片方が雄二のものなんだろう。どうやらどちらのケースも同じものが入ってると麻子は言っていた。
しかしデカい、本当に何が入ってるんだろうか。
俺と雄二はそれぞれ番号を入力しケースを開けた。
「「おっ」」
俺と雄二の声が重なる。
そこには大きな狙撃銃が入っていた。
「狙撃銃のM24 SWS、それらはお前らのものだ。好きに使え、たった一つの道を極めてみろ」
「でも俺は才能ないから全然当たんなかったし…」
「ばか言ってんじゃねぇよ。いいかお前らが進む道がどんな道だろうと何かを極めた人間というのはほかの何をやるにしても自分の得意分野に置き換えて物事の用量を得る。そういう奴はそつがない。それはその事に才能がなくても同じだ分かるか?」
「なんとなく…」
「…」
雄二は貰った狙撃銃を構えなが答え、俺は麻子の言葉が何を示しているのか考えていたので無言だった。
「なになんだかんだ言ってしっかり最後は当てたじゃないか。大丈夫さ」
そこで麻子はでもと区切りまた言う。
「確かに何も考えずにそれができる奴が天才さ
でも考えて努力を惜しまない奴もまた天才なのさ。ただ雄二と大樹じゃできるまでの時間が少し違うだけさ分かったか?」
「分かった。俺も極めてみる」
「ああお前ならできる。もちろん雄二も努力を怠るなよ」
「分かってるよ」
この後雄二が麻子のことを師匠と呼ぶと言い出し、それに俺も同意して師匠と呼ぶことにした。
師匠…そう俺の師匠はあの毎日の殺し合いをしてきたあの男じゃない、麻子だ。
俺はふと思い出してしまうあの男の顔を必死忘れようと無意識に己の師匠は麻子だと自分に言い聞かせていたのだった。