【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第十八話 最近式遊びに嵌ってます

 

 

 

 

 

 先日の高町恭也の恋人の件で落ち込んでた美由希だが、今日はなぜか上機嫌でやってきた。

 

「どうしたんだ美由希。

 横恋慕に成功したのか?」

 

「してないよ!!

 その話はもういいでしょ!?

 子供なのにマセてるんだから、たっくんは…」

 

「子供に恋愛関係で愚痴る奴がいるからな。

 …って!! たっくんって何だ!?」

 

「拓海君ってのはちょっと他人行儀過ぎると思って。

 たっくんだって私の事美由希って呼び捨てにするじゃない。

 だいぶ仲良くなったんだからこれくらい良いでしょ。」

 

 『恭ちゃん』と呼ぶようにたっちゃんじゃないだけマシかもしれないが・・・

 俺は甲子園で告白する球児じゃないからな。

 

「お願いだからやめてください美由希さん。」

 

「ふっふーん。 美由希お姉ちゃんって呼んだらやめてあげるよ。」

 

「失せやがれ、このショタコン美由希。」

 

「そこまで嫌!?」

 

 当たり前だろ。

 那美姉さんだってお姉ちゃんって呼び方は勘弁してもらったんだ。

 地球が次元断層に飲み込まれたってお断りだ。

 

「そだ、そんな事言いに来たんじゃなかった!!

 やったよたっくん!! 恭ちゃんとの稽古で初めて勝てたよ!!」

 

「たっくんは確定なのか…

 それはよかったな。」

 

 高町恭也ってかなり強いんじゃなかったのか?

 よく美由希が訓練でぼろぼろにされて、負けたらお仕置きと意地悪な目に合わされると愚痴っていた。

 ああそういや、美由希が高町恭也が俺をうちに誘っているとか言ってたな。

 

 …行かないよ、稽古の相手は美由希で十分だ。

 行ったら最後、泥沼みたいな事になりそうだし…

 

「たっくんが教えてくれた気の扱いと瞬動で恭ちゃんの意表を突けてね、初めて恭ちゃんにクリーンヒットを当てる事が出来たの!!

 もうたっくんの御蔭!! ありがと~!!!」

 

「嬉しいからって抱きつくな!!

 まあ、おめでとうとだけ言っておく。」

 

「うん!!」

 

 なるほど、だからこれほど喜んでるのか。

 というか瞬動を見せたのか。

 高町恭也が俺に興味を持たないといいけど…。

 

 

「でね、瞬動を教えてくれたのがたっ君だって言ったら、恭ちゃんとお父さんがぜひ家に遊びに来てくれって言ってたよ。」

 

「恩を仇で返すか、このど阿呆がぁ!!」

 

 

-バシンッ!!-

 

 

「イッタァ!!

 もうなにするの…」

 

 全力で頭をはたいてやった。

 さすがに気は纏わせて威力は上げていないが、身体強化だけは少しした。

 兄どころか父にまで話しやがったか。

 まあ家族なんだし纏めて話してしまっても可笑しくない。

 

「前に言っただろうが、お前の兄の性格を聞く限り、なんか厄介ごとになりそうだから行きたくないって。」

 

「うぅ、そうだった…」

 

「まったく。 そういう訳だからちゃんと断って諦めてもらっておけよ。」

 

「わかったよ。」

 

 

 

 翌日また美由希はやってきた。

 

「うぇ~ん、恭ちゃんにぼこぼこにされた~。」

 

「…何で俺に泣きつくかな~」

 

 きっと高町恭也も昨日負けたのが悔しかったんだろう。

 俺もその気持ちは良くわかる。

 美由希にどちらかと言えば負け越してるからな。

 勝ち越してきた分、成長は喜べど負ければ悔しいだろうし。

 

 後、断りはしっかりしたらしい。

 これで諦めてくれるといいんだけどな…。

 

 

 

 

 

 今日も八束神社で久遠と式神遊び。

 最近半自立型の式神も作れるようになって、複数同時に動かせるようになった。

 操作もだいぶうまくなったし、そろそろ本格的な式神作りに挑戦してみるかな~。

 

 そう思っていると美由希が神社の石段を登ってくるのを円で感知した。

 最近は自然と円を維持できるようになったからかなり楽だ。

 円の成長もだいぶ遅くなったから、そろそろ何か新しい何時でも出来る訓練法でも見つけるかな。

 

「!?」

 

 そして美由希が神社の石段を登りきる直前に円に新たな人物が引っかかった。

 円の感知能力も視認と同レベルまで上がっていたので、どのような人物かすぐに分かった。 

 

「(久遠、式神遊び終了!!

 そこで気配を消して隠れててくれ!!)」

 

『クゥ? わかった。』

 

 式神を通じて林の奥にいる久遠に伝えると、聴覚を共有した新たな式神を境内の近くの隠れれる場所に出して、俺も絶と身体強化をして林の奥へ向かった。

 その直後に美由希が石段を登って神社の鳥居をくぐった。

 

『あれ? 今日はたっくんいないのかな?

 おーい、たっく~ん!!』

 

 式神との繋がりから美由希が俺を呼ぶ声が聞こえるが、今は無視して久遠と合流。

 久遠と一緒に絶をしながら林の奥で息をひそめる。

 

「(クゥン、拓海どうしたの?)」

 

「(んにゃ、ちょっと会いたくない人が来ただけだ。)」

 

「(クゥ?)」

 

 式神から感知できる感覚で美由希が俺を探し回ってると、美由希の後ろについてきた人物も境内に現れた。

 

『ここだったのか美由希。』

 

『えっ、恭ちゃん!! どうしてここに!?』

 

『お前の言う拓海君とやらに俺も会ってみたかったんだが……逃げられてしまったみたいだな。』

 

『え? 逃げられた?』

 

『ああ、ついさっきまで誰かここにいたみたいだから。』

 

 嘘だろ!! もしかして俺の気配に気づいていた!?

 俺だって円の範囲内に高町恭也が入ったから気づいたのに、その前から俺が神社にいるのに気づいてたのか!?

 どんだけだよ、たかまちけぇ!?

 

『しかし、会った事もないはずなのに逃げられてしまうとは。

 美由希、いったい俺のことをどういう風に教えたんだ?』

 

『え、ええとそれは…』

 

 美由希から聞く高町恭也の話は、意地悪された事の愚痴が殆どだったりする。

 『酷いんだよ恭ちゃん』から始まる内容ばかりで、聞いてる方は印象を悪くしても不思議じゃない。

 この前の本音暴露から、もう殆ど惚気話にしか思えないけどな。

 

『会えないのであれば仕方がない、出直すか。

 美由希ゆっくり稽古でもしながら話をするとしよう。』

 

『いやぁぁぁ!!』

 

 高町恭也に引き摺られて帰っていく美由希。

 何を話すのは想像したくないが、一歩間違えれば俺もああなるのか?

 今度美由希と会った時は少し優しくしてやるか。

 

 

 

 

 

「どうしたの、この式神の数。」

 

「クゥン♪」

 

 俺は今大量の式神を出している。

 すべて動物だが種類はすべてバラバラで那美姉さんはその数に驚き、久遠は式神の牛の頭の上に乗って遊んでいる。

 

「そろそろ即席じゃない専属の式神を作ってみたいと思って、十二支をモチーフにとりあえず即席の式神

で作ってみたんだ。」

 

 式神の作成技術もだいぶ上がってきたし、そろそろ本命の式神を作ろうかと思ってる。

 どういうのを作るのかというと、GS美神の式神十二神将みたいな十二支をモデルにした式神がいいと思った。

 魔法陣の十二角形に当てている十二支なんだけど、魔法陣の補助もしてくれるような式神と考えて配置していた。

 それにいろんな動物の式神を持ちたいとも思っていたしね。

 

 そして今出してるのが十二支に当たる動物たちの式神。

 ちなみに今俺は本来よりも大きな虎の背中に乗っています。

 猫科の大型動物に乗る夢が叶ったよ。

 

「7、8、9……ねえ、拓海君。

 十一匹しかいないよ?」

 

「……ねえ、那美姉さん。

 龍って実物見たことある?

 他の動物なら写真やテレビで見たことあるから簡単にイメージ出来たんだ。

 だけど龍なんて実際にどういう感じか分からないから、イメージがしっかり固まらなくてうまく作れなかったんだ…」

 

「そ、そうなの…」

 

 アニメなんかのフィクションでしか見たこと無いから実際の感じがいまいち想像出来なくて、作ってみたら感触のしっかりしない粘土みたいな式神になっちゃったんだ。

 

 ああ、そうだ。

 空を飛べるような鳥などの式神だけど、ちゃんと空を飛ばす事が出来たよ。

 もともと式神は札と霊力から出来てるから、飛ぶイメージさえ出来ればどんな形でも飛ぶ事ができるみたい。

 つまり俺が乗ってるこの虎もその気になれば空を駆けることが出来るってことだ。

 夢が膨らむな~。

 

「ねえ、那美姉さん。

 龍って実在するのかな…」

 

「うーん…私も見たことは無いな~。」

 

 次元世界なら何処かにいるかもしれないな~。

 龍は蛇みたいな胴体の長い東洋龍だけど、西洋龍は実際に存在するらしいし。

 確かアルザスだったっけ、いつか行ってみたいな~。

 

 

 

 後日何度も龍の式神を作成しなおして、蛇に角と手足を生やして顔をそれっぽくした龍に仕上げられた。

 もともと式神のイメージはかなり曖昧でも作り出せたから何とか作れた。

 もちろん乗って空も飛んでみたよ。

 いっそ式神使いになっちゃおうかな~。

 

 

 

 

 

「たっく~ん、恭ちゃんに苛められない方法考えて~。」

 

「だから俺はドラえもんじゃないっての。

 美由太君て呼んでほしいのか?」

 

 この前、高町恭也に稽古で勝ってからは美由希は鍛錬という名の苛めにあってるらしい。

 泣きつけるなら割と余裕はあるんだろうけど、この前優しくしてやるかと思っていたのでとりあえず話は聞いてやることにする。

 

「だってぇ、たっくんなら何かいい方法を知ってるんじゃないかと思って。

 私との稽古のときもいろんな技を使って逃げ回ってるじゃない。」

 

「確かに俺はいろんなネタ技を開発してるけど、美由希が使えるかどうかは知らないぞ。

 仮に使えるようになったとしても、また稽古で勝ったら鍛錬が厳しくなるんじゃないか?」

 

「う”、そうだね……」

 

 ん~…何かいい方法はないか。

 美由希と同じ流派だから技ならいくらでもあるけど、勝つだけじゃ問題解決にならない。

 というか俺、美由希の愚痴くらいでしか高町恭也のこと知らないぞ?

 前世の知識なんて明確な人柄を知る事なんてて出来やしないし。

 

「ん~、俺が出来そうなのは式神符で囮を作って逃げる隙を作るくらいかな。」

 

「え、その符だって私にも使えるの?」

 

「一応霊力でなくて気でも使用可能。

 使い方はこの札に気を込めながら人物を思い浮かべる。

 そうすればその人物の式神を作る事が出来る。」

 

 最近作ってる式神符に作成段階である程度設定を入れれるようになった。

 人型、四足歩行の動物、鳥型などある程度形を限定しておけば、より性能の高い式神が出来上がる。

 更に作り出す対象を札の作成段階で設定しておけばより高性能となる。

 俺が美由希に渡すのは人型限定の式神符数枚。

 

「わかった。 これで恭ちゃんから逃げ切ってみせるよ。」

 

「まあ、がんばれよ。

 使い捨て札の札だから終わったら捨ててもいいけど、ちゃんと使えたか教えてくれ。」

 

「うん。」

 

 そう言って美由希は札を持って帰っていった。

 果てさて、どうなる事やら…

 

 

 

 翌日、再び美由希はやって来た。

 

「ふぇ~ん!! 恭ちゃんに怒られた~!!」

 

「何やったんだよ。 ちゃんと式神符使えたか?」

 

「うん…ちゃんと使えたよ。」

 

 ふむ、他人が使う分にも問題はないらしい。

 今度は使用者が力を込めなくても符に込めた霊力だけで使えるようなもの作ってみるか。

 強度は確実に落ちるけど誰でも使えるようになるし。

 

「で、どういう風に使ったんだ?

 自分の姿の式神を使ったのか?」

 

「ううん、恭ちゃんの恋人の月村忍さんを出して迫らせてみたの。

 その間に逃げようと思ったんだけど、運悪くそのタイミングで本人が来ちゃって…」

 

「それはまたベタな…」

 

 後で分かればどのみち怒られるだろう。

 相変わらずアホな使い方と落ちをして…

 

「ねえたっくん、ほかに何かいい方法はない!?

 ねえねえ!!」

 

「いい加減にしてよ美由太くん。」

 

 

 

 

 

 いろいろ試したり遊んだりしている内に季節が巡り、春になって俺も小学四年生になった。

 なのはちゃんは小学三年生に進学しただろう。

 ジュエルシードが海鳴に落ちてくる年だ。

 

 新学期を迎えた時からユーノの念話がいつでも来ていい様に、出来うる限りの準備をして俺は警戒していた。

 そしてそれはすぐにやって来た。

 

「!! 来たな。」

 

 無印の物語が始まる。

 

 

 

 

 

●式神半自立型&複数展開可能に。

●専属式神のモデルの十二支を作成練習中。

●作成した式神符を他者の使用が可能に


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