【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます 作:ルルイ
前回に引き続いて、不定期に美由希と稽古することになった。
海鈴の一件で美由希には負けたくなくなったので、俺が持ちうる技を多用して試合っている。
「斬空閃、斬空閃、斬空閃!! もういっちょオマケに斬空閃!!」
「わっ、たっ、きゃっ!!
剣の勝負なのに遠距離攻撃ばっかなんてずるいじゃない!!」
「剣術の腕では美由希のほうが上だからな!!
なら俺は勝てる方法で戦うまで!!」
「それなら、このっ!!」
「うわっ、なんだ!?」
「ただの割り箸よ。
本来は飛針ていう鉄の針を投げるんだけど、刺さったら危ないからね。」
「今の速さで投げたら割り箸でも刺さるわ!!」
怪我させないのは暗黙の了解だが、それ以外は遠慮無しに何でもお互いにする。
「斬空閃、斬空閃、斬空閃!! 下に向かって斬空閃!!」
「何で舞空術まで使えるの~!?」
「俺超頑張った!!」
「頑張ったからって出来るものじゃないでしょ!!」
「だから【超】頑張った。 そして斬空閃!!」
「こっのっ!! てぇい!!」
「今度は糸!?」
「鋼糸よ!! ちゃんと切れない丈夫なやつ使ってるから大丈夫!!
これで引きずり落としてあげる。」
「舞空術の出力をなめるなぁ!!」
「きゃあぁぁぁ、お、落ちる~!!」
舞空術を使ったら勝負にならなかったのでさすがにやめた。
「斬岩剣!! 斬空閃!! 百花繚乱!!」
「御神流、虎切!! 徹!! 虎乱!!」
「二人ともストップ~!!」
「那美姉さん?」「那美さん?」
「周りを見てください、二人が暴れてもうぼろぼろなんですよ。」
「「あ。」」
周囲を壊しかねない技はお互い自粛する事になった。
「くぅ・・・・・・、やっぱり剣の腕じゃ勝てないか。」
「そう簡単に年下の子に剣の腕では負けられないわ。」
「ならば!! でぇい!!」
「甘い!!」
-ボフンッ!!-
「なっ!?」
「変わり身の術!! 隙ありぃ!!」
-ポコンッ-
最近の稽古は寸止めか加減して相手に打ち込んでる。
「イタッ!! うぅ、今のいったい何、変わり身の術って・・・」
「最近自分の姿の式神を造れるようになった。
それと入れ替わっただけさ。」
「拓海君、剣士じゃなくて妖術師なんじゃないの?」
剣士だと名乗るつもりもなかったんだけど、そう呼ばれても最近の自分は否定できない。
「クォン。 拓海、久遠とも遊んで。」
「えぇ!! 久遠がしゃべった!?」
「そういえば最近美由希の相手ばかりしてたからなー。」
「久遠たら二人が稽古してるの見て嫉妬しちゃってうずうずしてたのよ。」
「え? あれ? 狐がしゃべってるんだよね。」
「しょうがないな、今日は久遠と遊ぶか~。」
「クォン♪ 楽しみ。」
「ふふ、久遠たら♪」
「ねえ、喋ってるんだよね?」
美由希が何か言ってるが、俺は知らねぇ。
「ねえ拓海君。
何で私の事美由希って呼び捨てにするの?
私一応年上なんだよ?」
「?」
「いや、何を言ってるんだ?って顔をされても・・・」
「何で呼び捨てにするかだって?」
「だってそうでしょ。
那美さんは、那美姉さんなんて呼んでるのに。」
「m9(^Д^)」
「とにかく馬鹿にされてるのは分かるわ。」
「そんなの理由ははっきりしてるじゃないか。」
「?」
「だって美由希だろ。」
「うぅ、思いっきり舐められて意地悪されてる。
なんか恭ちゃんみたい・・・・・・。」
失敬な!!と叫んでやりたい。
「え、空を飛びたいって?
俺はドラえもんじゃないぞ。」
「でも拓海君は気を使って空を飛べるんでしょ。
私も気は少しは使えるから飛べるかなと思って。」
「ふむ、飛ばしてやる事は今すぐに出来るぞ。」
「ほんと!?」
「ああ、最近気を風の性質にすることも出来る事に気づいてな。」
「?」
「風の気で放つ斬空閃の風圧は普通の斬空閃の数倍だ。
それをぶち当ててやれば大空へひとっ飛びだ。
さあ、そこに立て。」
「やっぱり意地悪だ!!」
「で、舞空術を教えて欲しいと?
俺はグレートサイヤマンじゃないぞ。」
「私のお父さんも世界チャンプ(笑)じゃないわよ。
とっても強いけどね。」
「(知ってるよ、嫌な予感がするほど)
実際飛べるかは気の量と操作能力によると思うけど。
どれくらいの事が気で出来るのさ。」
「え? 普段の手合わせくらいだけど。」
「(身体強化だけ?)・・・・・・亀の甲羅背負って出直して来い。」
「ええぇ。」
話し合いの末、剣術の相手と御神流の初歩の技を教える事を対価に、気の操作を教える事になった。
「徹のやり方はこんな感じかな?」
「なるほど。
ところで自分の流派の技を勝手に教えたりしていいのか?
那美姉さんのお姉さんはそういうのはダメだって言ってたけど。」
「へっ……ああ!!
恭ちゃんとお父さんに怒られる~!!」
「やっぱり美由希だな。」
初対面の時はいろいろあったが、最近は剣術の相手をしてもらったり技の実験台にしたりと、美由希とはかなり気を許せる友人になっていた。
久遠と那美姉さんの次に仲がいいかもしれない。
……俺の友人、少ないな。
で、普段はよく俺、久遠、那美姉さん、美由希と一緒にいる事が多くなった。
手合わせの時は久遠と那美姉さんが何時も見学しているという形だ。
「那美さんからも言って下さいよ。
私年上なのに美由希だなんて呼び捨てにして。」
「仲のいい証拠ですよ。
拓海君はアレでちゃんと礼儀がしっかりしてますから、美由希さんには遠慮していないということです。」
「ただ舐められてるだけです。」
「俺が一番仲がいい友達は久遠だぞ。」
「クー、久遠も拓海と仲良し。」
美由希には自分でも驚くくらいに無遠慮に付き合い始めたので、那美姉さんお仕事や久遠の事、俺の技能などは程々に話してあった。
「ところで拓海君、今夜の事はご両親に話しておきました?」
「うん、ちゃんと許可をもらっておいたよ。」
今夜那美姉さんの仕事である除霊があって、俺もそれに同行する事にした。
前に薫さんが退魔師にならないかという誘いがあった事を両親に話して、とりあえず社会見学という名目で那美姉さんの仕事に同行するのだ。
実は俺の技、斬魔剣終の太刀の効果を試すためでもある。
技は完成はしているけど実際に幽霊などを成仏させられるか試した事がない。
そこらへんから幽霊を探して試すというのは、死んでても人道的にちょっと不味いだろう。
だからこそ経験のある那美姉さんの監督の下、幽霊の浄化にチャレンジしてみようと思うのだ。
ちなみに美由希も護衛として参加するっぽい。
「美由希さんも家族にお話したんですか?」
「うん、同年代の子と一緒だって言ったらOKだって。」
「お泊り会と勘違いされてない?
それより美由希って幽霊とか大丈夫なの?」
「さあ、一度も見た事ないし。
でも大丈夫。 御神流は守るための剣術なんだから。
だから拓海君もちゃんと守ってあげるからね。」
「腰を抜かして足手纏いにならなきゃいいけど。」
「大丈夫だってば。」
美由希にはどうしても駄目なイメージがあるからなんか頼りない。
実際には十分強いのはいつもの手合わせで分かってるんだけどな。
気の扱いを少し教えたら瞬動を一発で成功させるし、武器に気を込めるのもすぐ出来るようになった。
ただそれ以外の戦闘に直接は関わらない技(太陽拳など)は全然覚える様子がなかった。
完全に戦闘に特化してやがる。
美由希と恐らく高町家。
戦闘民族の異名は伊達じゃなかったか・・・。
そして夜、那美姉さんに連れられて自縛霊がいるらしい場所へ連れられてきた。
ここに居る自縛霊はそれほど強いわけでもないらしいが、周囲に事故を起こさせる等の悪さをするらしい。
俺と那美姉さんと久遠は目の前に現れた自縛霊を前にして身構えるが、美由希の目には見えていなかったらしく・・・
「きゃあぁぁぁ!! 体が勝手にぃぃぃ!!」
「美由希さん!?」
「こっち向かってくんなぁ!!
今は真剣使ってるんだぞ!!」
「クー!!」
美由希が霊に取り憑かれて暴れだした。
しかも実戦だからと本物の真剣の小太刀を持って来ていたもんだからむちゃくちゃ危ない。
普段那美姉さんが危なくなったら久遠が雷で霊を退治してくれるらしいが、今回は美由希が取り憑かれてるもんだから攻撃できない。
こっちは真剣なんて持ってないからいつもの海鈴だが、気を込めてれば十分に真剣に対抗できる。
と思ったが、取り憑かれてるせいか小太刀に自縛霊の霊力が流れてやがる。
たいした事の無い霊力だから問題ないけど、海鈴に傷が~・・・。
帰ったらまた術で直してやらないと・・・
「予想通り足手まといになったな!!」
「ごめ~~~ん!! だけど早く何とかしてぇ!!」
「そんなに動かれると、私じゃとても対応できません~。」
美由希の機動力はぴか一だからな。
速度自体は気を使いこなしてる俺のほうが速いけど、足捌きなどで回避能力が高いから稽古でも俺の攻撃がなかなか当たらない。
今は自縛霊に操られてても素早さは普段どおりで厄介すぎる。
見事なくらいの足手まといっぷりだ。
「ぶっつけ本番だけど試してみるか。
・・・・・・【縛】!!」
「って、今度は体が動かない~・・・」
俺がやったのは薫さんもらった式神とは別の陰陽術の本に載ってた金縛りの術。
中指と人差し指を伸ばした剣指と呼ばれる印を作り美由希に向けて術をかけた。
「初めて人に使ったけどうまくいったな。
早いうちに美由希で試しておけばよかった。」
「何で私に試すのが決定事項なのよ・・・」
「美由希以外にかける相手がいないからだよ。
実際かける事になってるし・・・」
「あうぅ。」
この後那美姉さんが美由希から自縛霊を祓って成仏させた。
那美姉さんじゃ美由希が操られた状態でもまともに戦えるほど動けないし、久遠の雷はあまり手加減出来ないから確実に美由希が傷つくから使えない。
俺がいなかったら那美姉さん危なかったんじゃないか?
あーそだ、斬魔剣弐の太刀使えばよかったじゃん。
元は終の太刀を試すために来たけど、美由希が操られて真剣の小太刀振るってくるもんだから焦って気づかなかった。
後日、幽霊が見えない美由希を除いて、那美姉さんの仕事に同行して終の太刀を試した。
霊に意思を伝える事は出来たが成仏させるには至らなかった。
伝える気持ちに問題があるんだろうと那美姉さんに言われた。
那美姉さんは鎮魂術を使う時、霊が安らかに眠れるようになどの慈しむ気持ちを込めてるらしい。
終の太刀の完成の為に那美姉さんに鎮魂術も習う事にした。
退魔師になるかどうかはともかく、技は完成させたいからね。
ある日、美由希が癇癪を起こしながら愚痴を零してきた。
なんでも兄の恭也に恋人が出来て、家に連れてきて家族に紹介されたらしい。
おめでとうと言っておこう、主人公。
「恭ちゃんに、恭ちゃんに・・・・・・あんなぶっきら棒で無愛想な恭ちゃんに恋人が出来るなんて~!!
しかも美人でスタイル良くて頭も良さそうな人だなんて~!!」
ああ、そういや高町恭也って無愛想な性格だったっけ。
それでもギャルゲ主人公なんだからモテる要素多いんじゃないの?
そもそもお前もヒロインじゃなかったか、美由希。
実際かなりショックで、こんだけ愚痴ってるんだし・・・。
「美由希さん、しっかりして。
お兄さんなんだからちゃんと祝福してあげないと。」
「というより、横から掻っ攫いやがってこの泥棒猫って言いたいんじゃないか?」
「!?!?!?!?!」
図星を突かれたのか、面白いように慌てだす美由希。
その様子に那美姉さんは目を見開いて驚いた様子で美由希を見る。
「み、美由希さん? 兄妹同士でそういうのは良くないかと・・・」
「ち、ちがうよ!! 恭ちゃんとは確かに兄妹同士だけど家の事情で実際は従兄弟同士なの!!」
「この泥棒猫云々は否定しないんだな。」
「美由希さん!?」
「違うの~~~!!」
その後も俺が茶化す度にボロボロと本音が漏れて自縄自縛に陥っていく美由希。
那美姉さんはそんな美由希の本音におろおろと狼狽するばかり。
久遠は我関せずと俺の膝の上で欠伸をして丸まっている。
「で、美由希は結局どうしたいんだ?
横恋慕はともかく殺傷沙汰はやめとけよ。」
「もういい加減にしてよ!!
拓海君、ドラマの見すぎだよ。
……確かに恭ちゃんの事は好きなんだと思うよ。
けど同時にお兄ちゃんとして大事なんだもん。
ちゃんと気持ちに決着をつけて祝福してみせるよ。」
「美由希さん、よく決心してくれました!!
私はもうどうなっちゃうものかと・・・」
「……那美さんもドラマの見すぎだよぅ。」
那美姉さんは本気で美由希が略奪愛に走ると思ってたのだろうか・・・。
頭の中でサスペンス劇場が開催されてたんじゃなかろうか。
「まあ、元気出せよ。
素材はいいんだから、その気になれば恋人なんていくらでも出来るさ。」
「……拓海君に慰められるなんて思ってなかったな。
拓海君がもうちょっと大きくなったら恋人になってあげようか?」
「素材を活かせる様になったらな、このショタコン。」
「美由希さん!! お兄さんがダメだったからって拓海君に手を出すなんて!!」
「「那美(姉)さん……」」
「クゥオン。」
冗談があまり通じない那美姉さんのボケっぷりに久遠もやれやれといった様に感じた。
●剣技 百花繚乱を披露。
●人型式神を披露。変わり身の術に応用。
●気の性質変化、風属性を習得。
●御神流の初歩の技を美由希より学ぶ
●陰陽術 金縛りの術を披露。
●終の太刀完成の為、鎮魂術学習