神喰、狩人始めます『更新停止』   作:血途

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リアルも少しばかり落ち着き始め、紅葉を楽しみながらスマホ片手に執筆するこの頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

....はい、分かってます。遅れてすみませんでした(土下座)

要「それと、後書きにお知らせが有るんだろ」

はい、とても大切なお話なので、最後までしっかり読んでください。

それでは本編です。




新たなる旅立ち

「今回の防衛にあたり、命を落とたハンター達の冥福を祈る」

 

リンの攻撃も加わり、要と美空が到着した頃には、戦場の形勢は逆転していた。

だが、その成果はリン一人の物ではなく、本部から派遣されたハンターが主な理由だったが、彼等の被害が少なくなったのはリンのお陰でもある。

 

そして、現在。

要達、そして本部のハンター達も、己の兜を脱ぎ、荒れ果てた戦場跡の目の前で、黙祷を捧げていた。

 

しばしの沈黙の後、ハンター達は各々ゆっくりと歩みを進める。

 

「くそぉぉ!なんで...何でお前が先に死んじまうんだよぉ!」

 

ハンターの一人が、地面に突き刺さった剣を見て、泣き崩れる。

 

戦死した者達、全員の死体が現存している訳ではなく、大抵の者はアラガミの腹の中へと消えていった。

そのため、彼等の亡くなった場所、即ち戦地には、彼等の魂とも言える、様々な武器が立てられていた。

 

「カナメ....」

 

その光景を少し離れた場所から眺めていた要の袖を、リンの小さな手が握りしめていた。

要はそれを一瞥すると、その手をとって、そっと握り返す。

 

そんな彼等の頬を、重く湿った空気が撫でていった。

 

 

「今回の防衛戦、ご苦労じゃった....と言いたい所じゃが、こんな雰囲気では気持ちも晴れぬか....」

 

天井が吹き抜け、雲によってぼやけた月の光が照らす集会場に召集された要と美空は、ギルドマネージャーから労いの言葉をかけられていた。

 

だが、そんな言葉と対照的に、要と美空の顔は悲しみに包まれていた。

 

「....ハンターというものは己の命を賭ける職。お主達が責任を負う必要は無い。むしろ、お主達は、我々が手を出せない物を引き受けてくれた。我々はそれで十分じゃよ」

 

「でも、自分にもっと力があったら、被害はもっと少なかったかも知れません」

 

ギルドマネージャーの言葉に対し、美空は自分の力不足を訴えた。が、ギルドマネージャーは首を横に振って言葉を続ける。

 

「あの場にいた者全員、お主達のことを恨みはせんよ。お主達がいなかったら、おそらく我々は全滅じゃったろうからの。....さて」

 

ギルドマネージャーは一呼吸置いて、目の前の要達に質問をした。

 

「お主達、これからどうするつもりじゃ?」

 

 

 

暗い中で、松明を持ちながら瓦礫を掻き分けて進み、リンは自分の部屋があった場所まで到達した。崩壊した部屋から私物を回収するためである。

 

しかし、案の定、と言ったところだろうか。リンの部屋におかれていた家具や武器、モンスターの素材は、瓦礫の重量によって使い物にならない程ボロボロの状態で発見された。

 

「はぁ....。折角頑張って採ったのになぁ....。」

 

手近にあった土まみれのクルペッコの羽根を持ち上げ、フゥと息を吹き掛けて見る。ある程度、土が掃えた物を、今度は天にかざして見た。

 

それは、剥ぎ取った時のような若々しい色合いが失われていたが、それでもリンは、この羽根を美しいと思っていた。

 

「てい!」

 

「あいぎゃ!」

 

羽根に気を取られていたリンの額に、突如チョップを食らわせる者がいた。

 

「いてて....。もう!ミソラさん!」

 

「ふふ。ごめんね」

 

そう言って謝る美空の後ろから、誰かが近づく気配をリンは感じる。

 

松明の明るさのせいで、目が暗い所になれて無いのもあったので、よく目を懲らして近づく人物を見ようとする。

 

「なんだ。やっぱりカナメか。」

 

美空がいるのだから、要もいるだろうと、心のどこかで予測していたらしく、リンは大して驚くことは無かった。

 

要はリンの前まで歩き進み、そしてリンの肩を掴んでリンの顔を凝視する。

 

「ちょ、カナメ!ち、近....」

 

リンは要に見つめらている状況に、自分の心臓が破裂しそうなまでになり、顔が熱くなるのを感じる。だが、要の口から放たれた言葉によって周囲の温度は氷点下まで下がった。

 

「リン、俺らはここを去る」

 

「............え?」

 

「今日ギルドマネージャーと話をつけてきた。」

 

「なんで!確かに村は壊れちゃったけど、また皆で作り直せばいいよ!それに....またアラガミだって襲って来るかも知れないし!」

 

納得行かないリンは、要の服を掴み、全力で抗議する。要を揺さぶるその手を、美空はそっと静止させた。

 

「リンちゃん。神様が言うには、もうこの辺の"穴"は塞いであるそうだよ。」

 

「穴?」

 

「アラガミが出てくる穴だ。ここいら一帯でもうアラガミの出現はしないらしい。」

 

「だ、だったらまだここに居ても大丈夫...「ところが、他の場所で同じような現象が発生している。ついさっき本部の連中から聞いた話だが、新種のモンスターが何体か発生しているみたいだ。俺らは、それがアラガミだと確信している」

 

「............」

 

「俺らはそれを解決しなきゃならない。ゴッドイーターの使命だからじゃない。俺が守りたいからだ。分かってくれ」

 

「....もう、勝手にすればいいじゃん!」

 

力強く要を突き飛ばし、リンは凸凹の地面を駆けていった。

 

リンの姿が見えなくなると、要はゆっくり腰を上げて歩いていく。後ろで美空が「後輩くん...」と声をかけたが、続く言葉を飲み込み、要の後ろをついていった。

 

残された松明は、ゆらゆらと不安定な燃えかたをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あくる日、ユクモ村の玄関口であった場所に、一台の荷車が止まっているのが見える。その荷車を引くガーグアの上に跨がって、猫の旦那は要達に手を振った。

 

実は、新人の時から要のことを目に掛けていた教官は、あの襲撃で要の戦いぶりを見ていたらしく、昨日の晩、旦那を呼び出して、

 

「俺よりあいつらの事を支えてやれ。お前の猫の手は俺みたいなオッサンに使うなんて勿体な過ぎる」

 

とのことで、なんと自分達の移動に一役買ってくれるらしい。

これには要達も大喜び....とはならなかったようだった。昨晩の事があったから仕方ないのかも知れないが。

 

グレンとカンナ、アキラはグレンの帰省について行くらしい。ついでに両親にカンナを紹介したいそうだ。

 

「それじゃ、今まで世話になった。ありがとう、ギルドマネージャー」

 

「そんなに腰を低くする必要な無い。お主は村を救った英雄じゃ。ワシが保証する」

 

「....それで、リン何だが....。」

 

「あの娘はクエストに行っておるよ。一刻も早く村を直したいそうじゃ」

 

「そうか....。あいつを頼む」

 

「言われるまでも無い」

 

ガッチリとギルドマネージャーとトロスに握手を交わし、要達は荷車に乗り込んだ。ガーグアがゆっくりと走り出すと、皆互いの姿が見えなくなるまで手を振っていた。

 

「さて、あの娘はうまくやれるかのぅ」

 

ホッホッホと愉快そうに笑いながら、ギルドマネージャーは集会場へ戻って行く。

 

だが、ギルドマネージャーが最後に呟いた言葉は、誰にも聞こえていなかったようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side美空

 

ユクモ村を発ってからさほど時間も経っていないのに、あたし達は早速足止めを食らってしまった。

 

止められた荷車の前で、荷車を止めた張本人と、後輩くんが言い争いをしている。というか、止めたのリンちゃんだけどね。

 

クルペッコの羽根で作られた兜を被って、荷車の前に飛び出て、両腕で道を塞いだ。多分顔を隠そうとしたのだろうけど、バレバレでした。

 

まぁ、大体予想はついていたから、止めに来るだろうなぁって思って、そんなに驚かなかったけど.....。後輩くん以外は。

 

「だ・か・ら!これから先はお前が干渉して良いものじゃない!今回だって、お前の命にかかわることだっただろ!」

 

「だからって、カナメ一人で解決出来る問題でもないでしょ!私だって、新しい力を物にして、カナメの役に立ちたいの!」

 

あ~....。これは水掛け論になりそう。下手すれば日が暮れるかも知れないし...、しょうがない、仲裁に入ろう....

 

「二人とも、ここで話し合っても拉致があかないし、一旦荷車の中に....」

 

「それに、ずっと一緒に居てやるって約束、守って貰うからね!」

 

............イマキキズテナラナイコトバガキコエタナァ。

 

「後輩くん、ちょっと聞きたい事が有るんだけど」

 

「あ?今取り込み中だ。後に「一緒に居てやるって、どういう意味?」」

 

気づけばあたしは後輩くんの肩を掴んでいた。後輩くんは、ギギギという人間では決して出ないような音と、青ざめた表情であたしの方に振り向いた。

 

「あ、あれはあいつを慰める為に....」

 

「ひどい!あんな姿まで見られちゃったし....私もうお嫁にいけない!」

 

「おい!何故この状況で誤解を招くような発言を!?」

 

....どうやら沸き上がる怒りと手の力は比例関係にあるらしい。あたしが居ない間に何をしていたのかなぁ。

 

「後輩くん、ちょっとお話しようか....」

 

「あ、あぁ....」

 

「ごめんね、リンちゃん。ちょっと後輩くん借りるね♪」

 

「え?あ、はい」

 

さて、何があったか、洗いざらい吐いて貰わないと。

 

sideout

 

 

sideリン

 

カ、カナメが連れて行かれちゃった....。まだ言いたいことが山ほどあったのに....。でも、ミソラさんの頼みを断る勇気も無かったし....。

 

「はぁ、カナメの嘘つき」

 

「嘘、は、人間だけの、物」

 

「ひゃぁ!」

 

不意に首筋に吐息を感じて、思わず飛び上がった。

慌てて後ろを見ると、神様がいた。

 

「自然界、でも、騙し合いは、存在する。でも、嘘をつく、のは、人間だけ」

 

「そ、そうだね....。」

 

何か、何処か目が輝いているような....。ていうか、

 

「何でいるの!?」

 

私の疑問に対して、神様は何か不都合でもあるのか?と首を傾げる。

 

「あなたの、コアは、時間が経つと、不安定に、なる。彼に、その管理も、任された。いるのは、当然」

 

「そ、そうなんだ。あはは....」

 

カナメは私の親か何かですか!?ここまで過保護にされると、プライドとかの問題で色々傷ついてきました。

 

「あの~、吾輩はいつまで、この修羅場に付き合わされるのでしょう?」

 

あれ?この声どこかで....

 

そう思った私が荷車の運転手の方に目を向けると、いつもお世話になっていた猫の旦那さんがいた。

 

「どうしてここに?」

 

「お客さん....いや、今は違うか。リンさんは聞いていませんでしたね。実は吾輩、今日からカナメさんのパーティーの専属運転手になりましたにゃ!」

 

どうやら、私が居ない間に話がどんどん展開されてた。もう無理、頭の理解が追いつきません。

 

「ああ、もう!カナメのバカァァ!」

 

このままだと頭がおかしくなりそうなので、とりあえず全ての元凶の名前を叫んでみると、不思議と気分が落ち着いてくる。さて、

 

「ミソラさん、お話長いなぁ....」

 

カナメが帰って来るまで待つしか無いようだ。

 

sideout

 

 

side要

 

「後輩くんとのお話の結果、リンちゃんの同行を許可します」

 

「ホッ....」

 

あれの何処がお話だ....。数時間に及ぶ説教と脅迫だっただろうに....。

 

「何か異論でも有るの?後輩くん」(ニコッ)

 

「イエ、ナンデモゴザイマセン」

 

ああ、そういえばこいつは怒るとヤバい奴だった。今まではその矛先がアラガミに向いていたから、しばらく忘れてた。

 

「だけど、同行するとなると、腕の事とか、神様の事とかどう説明する積もりだ?」

 

「リンちゃんの腕の事は、装備品である、とかである程度ごまかせるし、神様は最悪メイドさんということで」

 

何故だろう。ごまかせそうな気配が全くしない。

 

「大丈夫、何とかなるよ」

 

「はぁ....」

 

ジュリウス元・隊長、そっちに帰ったら副隊長の座はお渡しします。

 

「まあいい。ほら、乗れ」

 

「え?」

 

「え?じゃないだろ。日がくれる前に出発するぞ」

 

「あ、うん....」

 

リンは差し出された俺の腕を小さな手で掴む。

俺はそれを引き上げた。

 

だけどその手は、初めて出会った時よりも、少しだけたくましくなったように感じた。

 

「それじゃ、出発しますにゃ!」

 

猫の旦那の声で荷車はゆっくりと動き出した。




重大なお知らせです。

この話を持ちまして、連載中の「神狩り」の更新を一旦ストップすることにしました。

理由としましては、

・そろそろ受験が近い→忙しくなる→執筆できない
・自分に区切りをつけて、勉強に集中したい

というわけです。

「神狩り」の今後についてですが、受験が終わった後、このまま書き続けるか、それとも最初からやり直すかはまだ未定な為、更新停止、とさせていただきます。

今までお気に入り登録、ならびに評価、そしてこの作品を読んでくださった読者様方、本当にありがとうございました。

またいつか何処でこの作品を目にしたとき、その時もよろしくお願いします。

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