神喰、狩人始めます『更新停止』   作:血途

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前回の投稿からかなりの期間があいてしまいました。

でも月が変わる前に投稿出来て良かったです。
(あれ?こんなこと前にもあった気が....。)

最近どんどん執筆能力が落ちている気がするので、何とか前のような感じを取り戻そうと奮闘中です。生暖かい目で見守っていてください。

それでは、本編です。


覚醒

 要達がヒュドラを倒した頃、所変わってハンター達は大量のモンスターを前に苦戦していた。

 

 「これは何とも厄介な状況だね....。」

 

 「うわっぶねぇ!これなら師匠の指導の方が100倍マシだ!」

 

 「貴方達、口を動かすより手を動かしなさい」

 

 斬っても撃っても終わりが見えてこないモンスターの軍隊に、物資もハンター達のやる気も減る一方であった。

 勿論、その中にはカンナやグレン、アキラも含まれている。

 

 寄生モンスター達は、縄張りへの侵入者の排除、といったモンスターの防衛本能で動いてはいない。

 彼等は生物の原動力の一つ、即ぢ食欲゛を忠実に行動へと移していた。

 

 「ギャァ!」

 

 「だぁぁ!うっとうしい!」

 

 寄生されているのは、何も大型だけではない。バギィなどの小型にも寄生していたヒュドラは、己のネットワークを生かして賢く狩りをしていく。

 所詮アラガミにとって人間など唯の食料に過ぎないのだ。と思わせるが如く、寄生モンスター達は各々の力を振るう。

 

 「うわぁぁ!」

 

 「くそ....。ここまでか....。」

 

 「ガァァァ!」

 

 その中でも個々の能力が飛び抜けていたのが、イビルジョーとアグナコトル亜種だった。

 ヒュドラ寄生体はモンスターの力を最大限まで引き出せる。

 元々の個体としてのスペックが高ければ高い程、より強い力を引き出すことが出来るのは当然のことである。

 

 「グッ....。怯むな!体制を立て直せ!」

 

 徐々にモンスターの餌となっていく同胞達。もう既にまともな戦闘が出来るだけの人員は残っていなかった。

 

 それでもトロスは、いや、ハンター達もこの村を守ろうと必死だった。自分達の故郷を守りきる。その意地で今まで戦ってきたのだろう。

 

 「アキラ!後ろだ!」

 

 「うぉ!?危ねぇ!」

 

 グレンの叫びで反射的に飛び退いたアキラ。その体すれすれをイビルジョーの牙が通り過ぎた。

 

 背筋が凍る思いをしたアキラは、我に帰るとハンマーを振り上げ、イビルジョーの頭部に振り下ろす。

 

 「ガァ....」

 

 運よくクリティカルヒットしたようで、その衝撃を受けて、イビルジョーは目眩を起こした。

 

 「っ!今よ!」

 

 瞬時にカンナは弾薬を装填し、拡散弾をイビルジョーに放つ。その爆発によって、イビルジョーの顎が破壊された。

 

 「ガァァァァァァ!」

 

 煙が晴れると同時に、イビルジョーは体に刻まれた古傷を浮き出たせ。咆哮する。そして、そのまま拡散弾を放ったカンナに飛び掛かった。

 

 「させるか!」

 

 カンナに凶爪が振るわれる瞬間、グレンはカンナを突き飛ばし、持っている盾でそれを防いだ。が、その衝撃は並大抵のものではない。

 

 「ぐあぁぁ!」

 

 持っていた盾は弾き飛ばされ、グレンは地面に転がった。

 

 それを見たイビルジョーは、より狩りやすい獲物へと牙を剥く。

 

 「このっ!止まりなさい!止まれ!」

 

 それを阻止すべく、カンナはひたすらにイビルジョーへ弾丸を放つ。しかしながら、イビルジョーはそれを受けても止まらない。

 

 イビルジョーは凶暴な口を開け、その牙を突き刺す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、グレンの顔を鮮血が赤く染める。

 だが、グレンを含め、その光景を目にした者は皆、驚愕していた。

 

 グレンに振り下ろされたはずの牙は目の前で静止しており、イビルジョーは口を開けたまま微動だにしなかった。

 

 そんなイビルジョーの頭部には、たった一つの矢が、寄生体もろとも頭を貫いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~少し時を遡って....~

 

 「この、戦い、人間、の負け」

 

 そんな言葉が神様の口から漏れ出た。

 

 「数、多すぎる。負けるの、当たり、前」

 

 敗北は当然だ、と述べる神様。

 それを聞いたリンは。自分の無力さを悔しがる。拳を握る力は次第に強くなり、一筋の赤い線が出来ていた。

 

 「?どう、したの」

 

 「....神様は、皆を助けてくれないの?」

 

 「戦闘、に、関しては、無力。よって、足、手まとい」

 

 本来なら、視線の先で戦っているはずの自分の姿を思い浮かべる。しかし、ヒュドラとの戦いによって恐怖心を植え付けられてしまったリンに、戦う気力は湧いてこなかった。

 

 「!?アキラっ!」

 

 イビルジョーの歯がアキラの体すれすれを通り抜ける。それを見たリンは、思わず体を窓から乗り出してしまう。

 

 だが、寄生モンスターと目が合ったような気がして、反射的に姿を隠した。

 

 「(私、どうやって戦っていたんだっけ....。あんなに怖いのとどうやって....。)」

 

 昔は無鉄砲に挑んでいたリンだが、今のリンではおそらく小型の一匹でも精一杯であろう。

 

 「何故?」

 

 「....え?」

 

 ふと、神様が声を発した。常に無表情でいるはずの神様の顔は、目の前の光景が理解に苦しむようだった。

 

 「この状況、なら逃げて、もおかしく、ない。生物、は勝てない敵、からは逃げ、るのだから」

 

 「それ、でも、戦って、いる彼等は、逃げ出さない。」

 

 「彼等と、アラガミ(我等)、の違いは、何だろうか」

 

 神様の目には、人間はそのように映っているのか、とリンは思った。そして、その答えは自分が一番良く知っている答えだ。

 

 「それは....守りたいからだよ」

 

 「守る?」

 

 「そう。村を、家族を、そして大切な人を守るために。そうやって人は戦うの」

 

 守りたいがために戦う。そんな人間を一番近くで見つづけてきた。その人は自分にとっての目標であり、ヒーローでもある。

 

 こうしてその人のことを思い浮かべるだけで、リンの中にあった恐怖心は、不思議と薄れていった。

 

 リンは少し笑うと、近くに置いてあった矢を手に取る。

 

 「ありがとう!神様。私も戦わないと!」

 

 「?私、は何もして、いない。」

 

 「それでも神様のおかげ。」

 

 リンは使える弓がないか、辺りを探しまわったが、その殆どが破損していた。

 

 「そんな、ガラクタ、必要ない。」

 

 神様は瓦礫を捜索するリンの右腕を取る。突然のことに驚いたリンは、神様の目線が自身の左腕を指していることに気がついた。

 

 「あなた、は、全てを、喰らう意志、はあるの?」

 

 「全てを、喰らう、意志....」

 

 「そう。己の、ために、そして....仲間の、ために。敵と見なした、者、全てを、喰らう、意志はある?」

 

 「私は....」

 

 リンは一度口を紡いだ。が、直ぐにまた口を開く。

 

 「私は、カナメに追いつきたかった。私は向こう見ずで、先に突っ走るから、いつも焦っちゃって、そのせいでドジ踏んでた。でも....」

 

 そして俯いていた顔を上げて、神様を見据えて言い放った。

 

 「強くなりたい。私はカナメの背中を守りたい!」

 

 「ならば、結果は出た。『喰らえ、意のままに』」

 

 突如、左腕にかかる重み。見るとそこには、左腕とお揃いの色をした弓がいつの間にか持たれて、否、生えていた。

 

 「これは....」

 

 「それが、あなた、の武器。あなた、が出した、答えと、結果」

 

 「私の!?」

 

 次から次へと起こる自分の体の変化に、リンの頭は理解が追いついていないようだった。

 

 しかし、リン自身、非常に速い変化を遂げている自分の腕を見ても、最初のような気持ち悪い、という感情は芽生えなかった。

 

 「っ!?」

 

 ガァン、という凄まじい轟音と共に、外の戦いを思い出したリンは、矢を一本取りだし、自分の武器を構える。

 

 常日頃から使っていた弓もそうだが、初めて使うのにも関わらず、この弓は使いやすいとリンは感じた。

 

 「(グレンさん!)」

 

 目の前では、今まさにイビルジョーが、その大きな口を開けてグレンを喰らわんとしていた。

 

 リンが弓を引くと、鏃を覆うように、弓のオラクル細胞が纏わり付く。

 

 「間に合えぇぇ!」

 

 リンが放った一本の矢は、イビルジョーに向け、ただ真っ直ぐに進み、その頭を貫いた。




感想などなど、お待ちしております。

それではまた次回。





(あぁ、眠い....。)

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