ネギま!も描かないといけないですし。
やはり冒頭のみなので結構早い感じですね。
ただダンまちは物語の核心がまだなので、長編するのは完結所を見つけるまで難しそうですね。
そしてやはりというか、HSDDの方が好評な模様。
『─────男ならハーレム目指さなきゃな!』
僕は今よりずっと幼い頃、オラリオから少し離れた田舎で義祖父と生活していた。
当時の僕へ妄言を口にし、呆れさせていた義祖父の清々しい笑みを、忘れようと必死になっても忘れられない今がある。
物心つく頃は、僕は本が好きだった。
その頃から早熟だったのか、正確には知識を得ることに喜びを感じていた。
知識─────知っていると言うことは、対処が出来ると言うこと。
その中には義祖父が読み聞かせた英雄譚もある。
怪物を倒して人々を救い、囚われのお姫様を助け出す在り来りの勧善懲悪。
でも、今の僕は勧善懲悪なんて言葉が好きじゃない。
別に勧善懲悪物の物語が嫌いな訳じゃないのだ。
ただ世の中がそんな言葉で片付けられないからの、幼稚な反発心に依るものかもしれない。
弱者は悪に蹂躙され続け、悲劇に英雄は現れず悲劇のまま死体として終わる。
かといって戦いは善と悪の二元論で片付けられず、悪人にも正義はある。
在り来りな英雄譚に憧れるには、僕は色んな事を知り過ぎて、一度に大切なものを失い過ぎた。
育ての親を、故郷を、仲間を。
居場所を二度も失った僕に英雄譚は─────恨めしいほど、眩しすぎる。
二話 戦場帰りの白兎
「じゃじゃーん! 露店の売上に貢献したということで、大量のジャガ丸くんを頂戴したんだ! 夕食はパーティーと洒落込もうじゃないか」
「凄いですね、ヘスティア様」
幼く、しかし歳不相応過ぎる豊満な胸を張って、己の成果を自慢する小さな女神。
そんな女神に慈愛の父性の視線で見守る白髪赤目の兎の様な少年の姿と合わさって、まるで兄妹の様な光景だった。
幼女か少女か表現に困る、胸だけが非常に成熟している女神の名はヘスティア。
下界に降りた数多の神々の一人であり、団員一人の【ヘスティア・ファミリア】の主神である。
ちなみに、露店でバイトをする神は頗る珍しい─────というわけではなく。
実は弱小ファミリアの主神タケミカヅチも、同じく露店のバイトをしていたりする。
しかしそれでも、彼女は人知を置いてきぼりにした
天界という無限に暇を持て余している状態を脱却するために、下界に住む人々を。彼等の言うところの『子供達』に娯楽を見出だし、『
偏に、『子供達と同じ地位かつ同じ能力で、彼等の視点に立つ』為に。
結果、下界に神々が点在する程度には『笑えた』。
予断の許さない一時が楽しくて愉しくて仕方がなかったのだ。
そしてヘスティアにとっての楽しみとは、彼女にとって唯一の【
「────それにしても、ボクの【ファミリア】に加わりたいという子は相も変わらず皆無だよ。全く、ボクが無名だからなのかなぁ」
「どの【ファミリア】も、授かる『恩恵』に優劣は存在しないんですけどね」
そんな幼い神と共に細やかな夕食を済ましている白髪赤目の兎の様な少年の名は、ベル・クラネル。
ミノタウロスを不意討ちで極めて猟奇的にとはいえ倒してしまうような、異常なポテンシャルを有してはいる冒険者半月の駆け出しであり、現在【ヘスティア・ファミリア】唯一のメンバーである。
「……ごめんねベル君。僕の所為で、君には随分負担を掛けている。心苦しいよ」
「気にしないでください。─────神様が一緒に居てくれる、僕はソレだけで幸せですから」
ベルの言葉に、ヘスティアは思わず涙しそうになった。
余りに健気で、愛おしく思える少年からそんな言葉を掛けられる。
顔が紅潮し、にやけるのが抑えられない。
彼女は真っ赤になった顔を隠すために、膝を抱えるように俯いた。
「─────ぼっ、ボクも。君に会えて、ボクも幸せだよ」
ヘスティアは既に、【ファミリア】の子供に対する親愛を超えた感情でベルを溺愛していた。
出会って半月で、少年は天界屈指の処女神を落としていた。
しかしこのヘスティア、彼女の外見は兎も角実年齢は人のソレと比べ物にならない。
なんせ神々は不変不朽。
本人としてはショボイ大人としての
「さ、さて!! それじゃあボク達の未来のために【ステイタス】を更新しようか! さぁて脱いだ脱いだ!! それとも脱がして欲しいの─────」
「はい、解りました神様」
「……むーっ」
部屋の奥のベッドにベルは上半身裸でうつ伏せになり、その色素の薄い肌にびっしりと刻み込まれた文字群─────【
ソレこそ、ヘスティアが彼に刻んだ神々の『恩恵』─────『
「しっかし、君みたいな駆け出しがミノタウロスに遭遇するのも大変なのに、まさか倒しちゃうなんてね。今回の『
神々が扱う【神聖文字】を、
神々のみに許された力。
「完璧に倒せたとは言えませんよ。彼女に追われる恐怖を僕を追うことで払拭しようとしていたんでしょう。全力で走っている状態でなければ、倒れていたのは僕でした」
「ソレを含めて、君の実力だよ。ベル君の技量に見合った【ステイタス】になったら ミノタウロスなんて軽く瞬殺出来るさ。ベル君、君は間違いなく天才なんだから」
「僕はただ、ちょっと人よりも器用なだけですよ?」
【ステイタス】は様々な出来事を通して得た『経験値』を、か様々な経験、歴史の軌跡を引き抜き、成長の糧として神々は向上させることができる。
そうして冒険者は少しずつ少しずつ、果ては強大なモンスターおも屠れるほどに成長していくのだ。
その点、この少年は迷宮都市に来る以前に様々な戦場や修羅場を経験したのか、
しかも、格上の存在に対する打倒手段に関してはlevel4の元冒険者すら驚愕するほどだ。
そしてその才能は、恩恵を与えてより顕著になった。
「うわぁ……相変わらず君は凄いというか、酷いというか」
「えっ」
「まぁ、何だ。ほら、君の新しい【ステイタス】」
ヘスティアは準備した用紙に更新した【ステイタス】を、下界に用いられる共通語に翻訳し書き写していた。
それを渡したヘスティアの顔が引き攣っていたが。
ベル・クラネル
Lv.1
力:E 400 耐久:H198 器用:SS 1103 敏捷:D511 魔力:I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・常識に囚われない。
・基礎アビリティ限界値の消失。
・状態異常の完全遮断。
・
【
・格上の相手に対してステイタスと取得経験値に極めて大幅な補正。
・平時のステイタスに格差がある分効果向上。
「……………………」
「他の
以前から発動していたスキル【
そして今回、ミノタウロスを倒したお陰で獲られた経験値が基礎アビリティが大幅に上昇させ、新たなスキル【
「というか君はどれだけ器用なんだい? ボクも最初は絶句したけどさ」
「何だよ、SSって……」と、頭を抱えながら呆れ返った声色で幼い女神が呟く。
ちなみに999のSが基礎アビリティの限界値。
基本それ以上から上げるためには【ランクアップ】、レベルを上げて
にも拘わらず、それらの常識をベルは悉く置いてきぼりにしたのだ。
特に【
間違いなく異例である。
神々は常に娯楽に飢えており、このような異例─────『レアスキル』や『オリジナル』等の話にアホのように反応し、ハイエナのように食い付いてちょっかいを出してくるだろう。
そうなれば、【ヘスティア・ファミリア】のような弱小ファミリアは彼を欲した他のファミリアに容易く翻弄され、下手をすればファミリアを潰して
そんなこと、ヘスティアは断じて赦すわけにはいかない。
「ま、まぁステイタス自体他言厳禁ですし、僕も信用できる人以外には話す気はありませんから」
この少年は初めから器用が過ぎた。
スキルを得てから、それは歯止めが効かなくなったと言わんばかりに自重を無くした。
ダンジョンでは当たり前のようにモンスターが出現すると同時に投げナイフを叩き込み、曲芸紛いの事は呼吸の如く行う。
器用貧乏ではなく器用万能。
そして、これ程の数値にまで上昇させておいて、彼は特別な事は何もしていない。
彼が普段通りに振る舞い、普段通りに戦場を駆け抜けただけ。
ソレだけで、彼の
「……はあ。それで、アイズ・ヴァレンシュタイン───だっけ? その娘に与える罰の内容は決めたのかい?」
「罰って神様、そんなんじゃないですよ。こっちのお願いを聞いてくれるってだけですから」
「いいや! 罰が必要だ!! 一つ間違えればベル君は死んでいたんだよ!? その原因を作ったそのヴァレン某にはそれ相応の罰が不可欠だ!」
ベルが死ぬ。
ヘスティアは、自分がそれに耐えられるとは到底思えない。想像するだけで目の前が真っ暗になる。
そんな女神を、ベルは自分の膝に乗せて後ろから抱き締め、宥める様に頭を撫で続けた。
怒り心頭だった表情をあっという間に蕩けさせ、猫のようにベルの成されるがままに撫でられる。
「ふっ、ふみゃぁ……」
「まぁお願いする事の内容は─────これを見て、決めましたよ」
【ステイタス】が書き込まれた用紙を手に取りつつ、ベルは大切な家族の暖かさを感じながら、蕩けている女神を撫で続けた。
ベル・クラネル
概要
祖父ゼウスの「出会い論」に憧れるのではなく白い目で見るなど、人格改変。祖父の放蕩の後始末、尻拭いをしている内に苦労人化。
ある日
逃げ惑った果てに傭兵団に拾われ、様々な戦場で傭兵として生活していた。
六年後、戦場帰りで疲弊した状況にモンスターと遭遇し、殿を名乗り出て倒すことはできなかったが何とか撃退することに成功する。
ただし、逃がした傭兵団は別のモンスターに襲われて全滅。逆に自分だけ生き残ってしまい再び『家族』を失い、居場所を求めてボロボロの状態でオラリオに訪れる。
その為か精神的に成熟しており普段は極めて紳士的に振る舞っているが、戦闘時には情け容赦の無い極めて冷徹になる。
母親を知らない原因で母性を求めているのか、頼りになる年上の女性が好み。
ヘスティア・ファミリアに入った理由は、戦場で傷付きボロ雑巾のように成っていた処をヘスティアや「豊穣の女主人」の面々に助けられて、喪った居場所を与えてくれた恩に報いる為。
その為、何事もヘスティア優先に。
リリに関しては傭兵時代の自分と重ね、助けようとする。
フレイヤ曰く、「血で汚れていたけれど、拭えば虹色に輝く透明色」
ランクアップ時の二つ名は【
能力
幼い頃からの傭兵業の結果、格上の相手に対する技術が異常に高くあらゆる手段を用いて勝ちをもぎ取りに行くトリッキータイプ。
またアビリティの上昇の為に、戦うだけでなく様々な奇行を行い急上昇させている。
また、器用さが異常に高く、level1の初期状態から二週間でナニをしたと言われんばかりの異常値、SSという限界突破値を叩き出している。
その為圧倒的強者であるアイズ相手に防戦一方であるものの渡り合う事が出来る。
五年以上傭兵として過ごしていた為、自身よりも大柄で力の強い者と戦い続けた経験が人型のモンスターに対して少しズレた視点を持たせている。
魔法
『ファイアボルト』
・炎と雷、両方の性質を持つ魔法を放つ事が出来る速攻魔法。
取得の際のイメージが具体的すぎたため、雷の様な炎ではなく両方の性質を持つプラズマに変化。
また『ナマルゴン』の会得により汎用性が上がり、武器に付与、または何重にも蓄積を重ねて速攻魔法のデメリットである「決定打の無さ」を補い、『
『ナマルゴン』
・
雷を纏って操り、攻撃、移動を補助する。超人的な反射行動を可能にし、武器に雷を集中させたりと多様性に優れる。移動に至っては高レベルの冒険者ですら捉えられない速度を出せるものの、防御効果そのものは無い。
この魔法を使用し続けている間は、『ファイアボルト』の操作も可能で、誘導や武器への付与、そして蓄積が可能。
・詠唱式【
アイズを師事した際に『エアリエル』を見て、『ファイアボルト』で再現しようとした際に習得。
スキル
『
・常識に囚われない。
・基礎アビリティ限界値の消失。
・状態異常の完全遮断。
・能動的行動アクティブアクションに対する大幅な補正。
『
・格上の相手に対してステイタスと取得経験値に極めて大幅な補正。
・平時のステイタスに格差がある分効果向上。
『
・逆境や窮地、不利な状況を突破した際に取得
このスキル取得後、自分から自殺行為の様な危機的状況に陥り、突破する様な無茶をし続ける。
調教ミノタウロス討伐後習得。