ランスが征く   作:アランドロン

4 / 10
第三話 ランスと怪しい薬

 私、シィルがJAPANで氷漬けの呪いから復活してはや一週間が立ちました

 一週間、まだ一週間、そんなに日が立っていないのに随分長い時間を過ごしたような……、しかもそのうち半分はランス様に抱かれていた様な気もしますが、そのランス様も流石に気がすんだ様子で今ではすっかり元のランス様です。

 あ、ランス様がもとに戻ったとは言っても私が周囲の環境に馴染むのにはもう少し時間が必要そうですが……。

 

 まず私が話を聞いて最初に驚いたのはランス様が城を建てたと言う事実です。

 出会ってから常識と言う物が通用しないランス様でしたが、まさか城主様になるなんて本当にびっくりです。

 しかもメイドつき……、何でもメイド長のビスケッタさんが教えてくれた話ではコパンドンさんがお金を出してくれたとの事で、もうコパンドンさんには足を向けて寝れそうにも有りません。

 とは言え、私の扱いにランス様は変わった様子も無く、せっかくメイドさんを雇っているというのにいざ食事になれば「おい、へろでんぱを作れ」と言われ、作って差し上げれば、「不味いなぁ、」と言う始末、好物で今までは文句も言ってなかったのにやっぱり城主ともなれば舌も良くなっているのでしょうか……。

 

 でも、一つだけ良いことがあるんです。

 それはランス様の顔。

 私が呪いから解けて最初にランス様に会った時の表情は今でもはっきりと思い出せます。 

 とても、とても嬉しそうな子供の様なあの表情、あの時のランス様の顔は私の大切な宝物です。

 奴隷として行動を共にするようになって、時には本当に私の事なんて要らないんだと思う事も何度も有りましたが、やっぱりランス様には私がいないといけないんだなと強く思いました。

 あ、もちろん、そんな事、ランス様に言ったら「うるさい、売り飛ばすぞ」と一蹴されるに決まってますが。

 そんな愛情表現の分かりにくいランス様と今こうして一緒に居られるのは大変ですが、凄く大変ですが、今では私の日常になって、無くてはならない私の一部です。

 まぁ、そんなランス様が私に優しくしてくれる事はめったにないので不安は一杯ありますが……。

 

 そうそう、城を建てたランス様はさらに女性の交友関係を広げていて、更には子供まで出来ていて……。

 その子供が可愛いのでまたさらに私としてはどうしていいか分らず……。

 

 

 『ランス城 屋上』

 日かポカポカと気持ちの良い平日の正午過ぎ、ランス城の屋上でランスと城の同居人数名が集まっていた

 天気の良い日にはたまに日向ぼっこをする目的で屋上に来ていたランスだったが今日は少し違っていた

 ビニール製のビーチチェアーに寝そべり、ビーチパラソルで日差しを防ぐ、穏やかな時間が過ごせるような配慮された屋上なのだが、今日はいつもと違い雰囲気をぶち壊す、何処か不自然な笑い声が屋上に響いていた

 

「がはははははー!!!」

 天真爛漫な声、どこかの主人公の様な邪気を感じさせない不似合いな笑い声の主はパステルの娘、ランスの娘でもある、リセット

 

「むはははー!!!」

 こちらも天真爛漫、否、バカっぽい声で空気を緩く振動させる笑い声、ランスの子分を自称する、あてな2号

 

「がはは!!」

 何も解ってはいないと言う、雰囲気に合わせただけと言った笑い声、ランス城のペット枠、キバコ

 

「なはははは」「ほっほーーい!!」「でゅわー」「この様な笑いにどういった精神効果があるのか……」

 顔は一緒なのに一つも合わせることを知らない笑い声?謎生物、分裂ピグ×4

 

「わ、わははははは!!!」

 声の大きさは一番大きいが笑い声に照れの要素が多分に含まれる笑い声、ランスを兄貴と仰ぐ女、アルカネーゼ

 

「あはははは……」

 合わせる、と言うより、この光景にどうしていいか分らず、乾いた笑いを上げるランスの奴隷、シィル

 平和なランス城の屋上で横一列に並んだ不審な集団の笑い声?が響き渡る

 

「ピグちゃんちがうよー!ガだよーガ!」

 リセットは真面目な顔をしてピグ達がいるあたりを指差す、自分が普段真似しているランスの笑い方をなぜか他の人にも教えようとしているこの子はやっぱり何処かがずれているのだろう

 

「ガ!」「グァ!」「おなかすいたぁ!」「止まらないこの想い!!」

 それをピグ達はてんでばらばらの方を向いて好き勝手に動き回る。リセットの説明を聞いて居るのはその中で一匹だけだった

 

「正直恥ずかしいんだが……、なあ兄貴ぃどうにかしてくれよぉ、」

 アルカネーゼは頬を赤らめ屋上に置かれたビーチチェアーで寝そべり、ぼけーっとしていたランスに助けを求めるべく、声をかけた

 

「わ、わたしも恥ずかしいですょ……」

 シィルも同じように頬を赤らめランスに視線を送る

 当のランスは興味なさげに指で鼻をほじくり、ちらりとリセット達を見ると

 

「あー、そぉかぁ……」

 と、適当に返事をするだけで特に何かをしようとはしない

 そのランスに対し、シィルとアルカネーゼは「はぁ」と同時にため息を漏らした

 そもそもにリセットと屋上へ行こうと言ったのは兄貴だったんだけどなぁとアルカネーゼはやる気のないランスを見る

 その間にリセットは分裂して16匹になった飛び回るピグ達を捕まえようと、公園で蝶を捕まえようとする子供のようにキャッキャ言いながら跳ねまわっている

 そんな平穏と言えば平穏の時間の中、あてな2号がランスの側に駆け寄るとランスの腕を掴みぐいぐいと引っ張る

 

「ご主人が遊ぶ約束をしたんじゃないれすかー」

「そーだったかなー、」

「あれ?何で頭を掴むれふか?」

 パーティーの後、なし崩し的に預かることになったリセットの遊び相手をしていたランスは既に飽きていた

 そしてランスは自分の腕を掴むあてな2号の頭を徐に鷲掴みにすると、ピグの群れに向かってぽーいと投げつけた

 

「そっちで一緒に遊んでろ」

「あひゃー」

 ピグの一匹にストライクしたあてな2号は何が面白いのか笑い顔は崩さないまま、そして忠犬のごとくまたランスの下へ駆け寄ってきた

 

「ひどいれふ、でももう一回やってくらさい、いた!」

 凄い笑顔のあてな2号にランスはスコンと良い音の響くデコピンをした

 そしてそのあてな2号の腕にすがり付く、否、噛みついている影が一匹

 

「はぐはぐ」

 キバコはあてな2号の腕を鋭い歯で噛み付きながらランスに視線を向けた、主人に噛みつきの同意を求める視線だが既に噛みついているので意味はない

 

「……そんなモン食ったら腹壊すぞ?」

「そんなモンって、ひどいれふぅ」

 ランスは腕を噛まれているのに笑顔のあてな2号を見て少し可笑しくなったのか、苦笑いを浮かべている

 

「……うおっ!!」

 しかし、それも飽きたのかキバコはあてな2号の腕を噛むのを無言で止めると突然、寝そべるランスの胸の上に飛び乗りランスの顔をペロリと一舐めした

 

「こっちが、うまい」

「がーん、私は不味いれふか……」

 ランスは引きつった顔で微妙に笑ったままキバコの頭の上に手をポン、と乗せると徐にシィルに声をかける

 

「シィル、頼む、拭いてくれ……」

「あ、はい……」

 ランス様は良く怒らないなぁと心に思いつつ、ランスの顔を丁寧に拭くシィル

 キバコはランスのなでる手が気持ち良いのだろう、ランスの上で丸くなりぐるぐると声を上げていた

 ランスのため息とアルカネーゼのため息が混じる中、リセットとピグのキャーキャーと駆け回り遊びまわる声だけが屋上に響いている

 

 

「あー!もうやめだ!なぜ俺様が子守などせにゃならん!!ビスケッタさん!!」

 それから5分と立たないうちにランスが鼻息をフン!と吐き出し立ち上がると、待ち構えていた様にビスケッタが屋上のドアからメイドのクリンを引き連れて現れた

 

「お呼びでしょう「リセットの子守りを頼む!」」

 ビスケッタの声をさえぎるようにランスは大口を開けリセットを指さして命令した、

 

「かしこまりました」

 眼鏡を光らせ、軽く頭を下げたビスケッタは直ぐにクリンに指示を出す

 

「リセット様に最上級のおもてなしを!」

「はーい、リセットさまぁ~」

 クリンは軽く力の抜けるような声を出しながら両手を広げ、リセット捕獲に走り出した

 

「わては何をしたら!?」

 そのメイドの姿に妙な対抗意識を燃やしたあてな2号がランスにフンス!と食いつく

 

「あー、……サーナキアちゃんの相手をしてろ、」

「りょうかいれふ!!!」

 あてな2号に向かいシッシと手を振るランスを見るとあてな2号は駆け出し、城の屋上から城門を頑なに守護しているサーナキアに向いダイブした

 

「たーかーいーれーすー……」

 微妙に遠ざかっていく声にランスは「馬鹿だなぁ」とため息を漏らす

 その様子を見ていたキバコは両手を地面に付き、フリスビーを追う犬のごとく、猛スピードであてな2号の後を追う

 

「サーナキアちゃんは噛むなよ?」

 呟きに近いランスの声が聞こえたらしいキバコは走りながらもランスにうなずき、門に向かって飛び降りた

 

「すげーなぁ……」

 何がどう凄いのか、馬鹿を尊敬しているのか、アルカネーゼはその様子に目をキラキラと輝かせていた

 

「や、やめた方が良いですよ?」

 シィルはアルカネ―ゼに眉をよせ苦笑を向けていた、それにアルカネーゼも手を振って「しないよ、」と答えた

 

「そういえばアルカネーゼさん、体調はもう良いのですか?確か昨日まで寝てたはずじゃ……」

「ん?ああ、もう大丈夫だよ、ありがとう」

 心配げな表情を向けたシィルにアルカネーゼは笑顔を向けた

 その笑顔にアルカネーゼはふと、疑問を口にした

 

「シィルさんさぁ、あんたいい子だよね」

「え、え?ど、どうしたんですか突然?」

「いや、なんかさ、兄貴の奴隷ってのが信じらんねーんだけど、本当なのか?」

 アルカネーゼはランスに聞こえないようシィルに付か寄るとぼそぼそと耳打ちするようにつぶやいた

 

「え、ええ、本当です、」

「なんでさ?」

「えっと……」

 シィルはランスの顔をちらりと見た

 

「ん?どうした?なんの話だよ?」

「え、いや、えっと、何でもないです……」

「ん?」

 口ごもるシィルに不審の目を向けるが直ぐに興味を亡くしたのかリセットを追いかけるクリンに視線を向けた

 なんだかんだ言ってても視界にいるリセットが気になっているのだろう

 そんな不満気だが少し優しい雰囲気を醸しだすランスを見てシィルはため息をつき、アルカネーゼに一言だけ返事をした

 

「……秘密です」

「え?ああ、うん、そうだよね」

 いつも通り強引にシィルを奴隷にしたのだろうと、想像したアルカネーゼはこれは聞いちゃいけない質問だったと反省し、頭を掻きながら「ごめんな」と片手で示した

 そんなアルカネーゼの体に似合わない優しい姿にシィルは「あはは」と笑顔を漏らした

 

 

 

 それから10分後

「リセット様の捕獲に成功しましたのでランス様も一緒におやつにいたしませんか?」

「つかまったー!きゃはー!」

 ランスが振り向くとビスケッタと手をつないで満足げにニコニコとしているリセットと、合体して一人になったピグがクリンの小脇に抱えられていた

 

「おーそうだな、先に行ってろ、後で行く」

 ビスケッタは「分りました」と頭を下げると笑顔のリセットの手を引いて出口に向かう

 その姿はメイドと言うよりか、母親とでも言った風だった、ビスケッタはいつもの無表情だが別に嫌々やっていると言う雰囲気も無くどこか優しい雰囲気を出していた

 

「おとーさんも早く来てねー!」

「はーやーくーねー」

 リセットとピグが手をぶんぶん振りながらメイドに連れられて出て行った

 そのリセットの姿をぼんやりと眺めていたシィルはぽつりとつぶやいた

 

 

「ランス様の子供かぁ……」

 

 そう、ランスには既に多数の子供が出来ていた

 今まではシィルの魔法で子供は出来ない様にしては居たのだが、シィルもランスに恋心を抱く身でもあり、ランスとの子供は欲しいと思う事は今までに何度か会った、しかし無理にそんな事をしたら子供共々捨てられてしまいそうな恐怖がシィルにはあり、実行は出来ないでいたのだ

 それなのにシィルが少しいない間にこうも何人も子供が出来てしまうと尻込みしていた自分が馬鹿だったのではないかとシィルは思う

 かなみさんもリア様も子供がいるし……。

 これからでも遅くは無いのかなぁ……。

 

 

「はぁ……痛!!」

 シィルがしゅんと項垂れているところに突然背後に現れたランスのゲンコツが頭に落ちた

 

「ばかもんが!お前がいないから避妊魔法出来なかったんじゃないか!そうだ!お前が悪い!」

 ランスの理不尽な怒りの態度にシィルは不満の顔をしつつさらにうなだれた

 そんなランスを見てやっぱりこの人との子供は無理かもと、内心で諦めの心も湧いてくる

 

「そんなぁ……ひんひん」

「……兄貴はいろんな意味ですげーぜ」

 アルカネーゼはランスの理不尽な怒りを見ながら凄い男というものはこうなのかと斜め上の感心をしていた

 すると城下、城門の方からあてな2号が大声で叫びながら砲弾も掻くやっと言った勢いで飛んできた

 

「ごーしゅーじんさまー!!!!」

「え!えええええええ!!!」

 シィルが驚きの声を上げる中、砲弾のように下から放射線状に飛んできたあてな2号を反射的にランスは顎下を蹴り上げた

 

「あ、思わず蹴ってしまった……」

「ひでーぶーー!!!!!」

「相変らず兄貴は鬼畜だなぁ……」

 直上に打ち上がったあてな2号が奇妙な声とともに更に落下してくる

 涙に顔をぐしゃぐしゃにしたあてな二号の顔を見てランスはサッと身を捩り、躱した

 

「あべし!」

 綺麗に顔面から落ちたあてな2号は奇妙な声と共にパタリと力なく倒れた

 

「……なむー」

 倒れるあてな2号にランスが両手を合わし、念仏を唱える

 慌てたシィルは側に駆け寄るとあたふたと回復呪文を唱えた

 

「あ、えっと……ヒール!!」

 あてな2号が回復呪文の淡い光に包まれるとのそりと起き上った

 

「ありがとうれすぅ、でも私にはもうご主人がいるのれしーるさんには付いて行け無いのれす」

 謎の宣言を告げるとあてな2号はシィルに頭を下げた

 良く分っていないシィルもつられて頭を下げている

 

「そんなことより!ひどい事をするご主人にはこの秘密の薬を見せてあげないのれす!!」

 と、あてな2号は高価そうな紫の瓶を高々と天に掲げた

 親指位の小さな瓶は中に見える液体をゆらりと揺らし怪しげな雰囲気を醸し出していた

 

「……ほー、なんなのだそれは」

「あー!勝手に見ちゃだめなのれすよー!」

 奇妙な見知らぬ薬に興味をそそられたランスはあてな2号の掲げる瓶をまじまじと見つめている

 あてな2号はその視線を遮るように瓶を手の中に隠すと更にその手を背中にまわした

 

「で?その瓶はなんなんだ?」

「ふん!れす!謝らない人間的にダメなご主人には伝説の惚れ薬の事なんて言ってあげないのれすよ!」

 あてな2号はしかめっ面をプイっと横に向ける

 その脇腹をランスは遠慮なしに蹴る、あてな2号は「ふぐ」っと息を漏らすが耐えた

 

「惚れ……薬?」

 アルカネーゼはしげしげとあてな2号が手の中に隠してあるビンの方を見ている

 

「……ばかばかしぃ、既に俺様はモテモテだからそんな怪しげな薬いらんわ!」

 ふんっと息巻いているランスを見てシィルはホッとしていた

 

(これ以上ランス様に惚れた人が増えたら私はどうしたら……)

 

 そんなシィルの心とは関係なしにランスは言葉を続ける

 

「そんな物、何処で手に入れたんだ?」

 アルカネーゼは隠しているつもりだが隙間からパッチリ見えている紫の怪しげな小瓶をまじまじと見つつあてな2号に質問をした

 

「ふふん!さっき門の側で城を見上げ居ていたへんなおっさんからもらったのれふ!」

 鼻をフンと鳴らすあてな2号に怪訝な表情を向けたアルカネーゼは苦笑いをした

 どんな手順でそんな怪しい薬を貰ったのか気になるがシィルは黙っていた

 

「……でもまぁ役に立ちそうだから貰っておくか」

 と、ランスはあてな2号の首根っこを片手でつかみ上げる

 体躯の小さなあてな2号は猫の様に吊し上げられた

 

「にゃー」

「にゃー、じゃない渡せ!」

 あてな2号の抵抗?空しくランスに力ずくで瓶を強奪された

 更に無残な事にあてな2号は先ほど飛んで来た方向に放り投げられた

 

「あいしゃるりたーーーーんーーーーー!!!!」

 くるくると見事な横回転のスピンをかけながら再び城門へと落ちて行った

 

「あー、すげー」

 綺麗に放物線を描きスピンしているあてな2号を額に手を当て眺めているアルカネーゼを無視し、ランスは紫の小瓶に入った薬をしげしげと眺めていた

 

「うーむ……、やっぱ少し……あやしいな……」

 ランスとシィルは顔を並べ、親指ほどの紫の小瓶に入った液体を眺めていた

 

「あ、ランス様ここに注意書きがあります」

 瓶の下に小さく文字が彫ってある、注意してみなければ見逃す程小さな文字だ

 

「んー?ほんとだ、『飲めばモテモテ、危険は無いよ?』」

「滅茶苦茶怪しいですね、ランス様……」

 眉にしわを寄せ、苦笑をしつつ同意を求めようとランスに顔向けると

 

「ん?……まぁ、死ぬことはないだろう」

 とランスはキュポンと快音と共に蓋をあけシィルの止める間もなく一気に飲み干した

 

「あー!!!……ランス様?」

 上を向き飲み干したままの体性でランスは停止した

 

「おい、兄貴?」

 シィルの叫び声とランスの不自然な様子に気がついたアルカネーゼも声をかけるがランスは反応しない

 

「ランスさ……きゃ!」

 シィルが声をかけようと手を伸ばした瞬間、突然ランスは瓶を思いっきり投げ捨てた

 

「まっっっじーーーーーーぃぃぃぃぃ!!!!!」

 突然の叫び声にシィルとアルカネーゼは耳をふさいだ

 

「きゃ!」

「うお!」

「まずい!からい!!にがい!!あーっ!!あーっ!!!しぃぃぃるぅぅぅぅ!!!!」

「は!はい!!!!」

 ランスは必死の形相でがっしりとシィルを両肩をつかんだ、余りの必死の形相にシィルは「ひっ」と息を飲む

 

「みずううぅぅぅ」

 見ると不自然にだらんと出したランスの舌は2倍に腫れ上がり、紫とも緑とも言えない色になっていた

 

「ひぃ!!」

 突然のグロテスクな舌に思わずシィルは顔を背ける

 

「あ、兄貴!!水!!!」

 いつの間にか駆け出していたアルカネーゼは屋上にある給水塔に、持っていた剣を突き穴をあけた

 

「がああああぁぁぁぁ!!!!!!」

 ランスは給水塔から勢いよく吹き出る水に向かって顔から突っ込み水を浴びるように飲み始めた

 そしてピタっとランスの動きが止まると今度は水の勢いに負け、仰向けに倒れる、気絶していた

 

「ランス様ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「あにきぃぃぃぃぃ!!!!!」

 ランスは天を仰ぎ、紫とも緑とも取れない色の舌を突き出したまま白目をむき、気絶していた






どうも、アランドロンです

どうにも気合が足りません

仕事の合間等に書いたりしてるのですが、スマホからの入力がこんなに大変だとは思いませんでした

ちょっと更新が遅くなるかもしれませんがご容赦ください

あ、ランス9はピグ一択です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。