期待させてたらごめんね。
なんか先ほどXⅦが二つ投稿されているという指摘を受けて確認したところ、確かに2つあったんですが、どうにも小説の話数が両方52/52だったり、投稿した時点で確認したのに同じ時間に二つ投稿されていたことになってるし、なんだかバグっぽかったので、念のためにコピーをして削除。
案の定両方消えました。
マジでコピーとった自分有能。
再投稿となりますが、文句は運営に言ってください。
でも常に機能改善してくれる運営は神様です!(手のひらドリル)
というわけで、二度目のあけおめ!
「…………ッ」
鈍い頭痛と共に瞼を開く。目に入ったのは、見覚えのあるワゴン車の天井だった。鈍痛が響く頭を抑えながら体を起こす。ふらりと、体が揺れたのは身体的疲労からではなく精神的な疲労からだ。
先ほどの戦闘で受けた魔法を思い返し、今日一日はこの疲れは取れないだろうと判断する。重い頭で自己診断を終えた後、ようやく違和感に気付いた。
「誰もいない……?」
スッと頭が冷えていく。いや、血の気が引くの方が正しかったかもしれない。
今乗っている車は、見た目こそ普通の大型ワゴン車だが、その中身は移動中継基地としての機能を詰め込んだ軍用のものだ。それを、リーナを残して放棄するなど考えられなかった。
(一体何が……)
戦闘の跡もなく、忽然と人が消滅したとしか思えない車内。重い体を引きずって車載情報システムのコンソールにたどり着く。車内の状況を常に録画していたことを思い出したのだ。疲労からか、僅かに震える手でコンソールを操作し、システムを起動する──はずだった。
「えっ?」
何も起こらない。何かの間違いかと考え、もう一度操作する。今度は間違えないよう慎重に。それでも、システムの反応は一切なかった。何度繰り返しても得られる結果は同じ。電源は入っているはずなのに、コンソールをどれだけ操作してもシステムが動くことはなかった。
(……そうだ。コントロールルームは?)
そうして通信機器に向かい操作をしようとして、リーナはコンソールに拳を叩きつけた。何度確認しても、車内のシステムは何一つとして動くことはない。ありとあらゆるデータが、外からではわからないよう巧妙に破壊されていた。
「何が起きてるのよ……」
頭がこんがらがりそうだった。車内には戦闘の痕跡もデータも何もかもがない。最初から何もないのが当たり前のような不気味な状態。残っているのは、疲労感と気絶直前の記憶のみ。──まるで、夢を見ていたようだった。
そこまで思考を回して、ハッと気付く。
(
最後に紅夜がCADを持っていたのは、半ば切断されていたはずの右腕だった。何より、動かないはずのその手で発動したのは、精神干渉系魔法の【ルナ・ストライク】。
(まさか、紅夜は精神干渉系統に高い適正を持つ魔法師……
それならば、今の戦闘にも説明がつく。切断された腕を治す魔法なんてあり得ない。あれは、右腕が切断されたという幻影を見せられていたと考えるなら納得がいく。そして、それほどの実力を持つ幻術使いなら、【パレード】見破ることだって可能なはずだ。
リーナは混乱した頭でそんなことを考えていた。
◆
リーナを気絶させた俺は、地面に倒れた彼女を放り公園に隣接する駐車場に向かった。
リーナには追ってくることはできないダメージを入れたので、拘束する必要はないだろう。俺が最後に使った魔法は、サイオン波で脳震盪の錯覚を起こさせる【幻衝】*1と精神に直接ダメージを与える【ルナ・ストライク】*2の合わせ技だ。簡単に目が覚めることはないだろうし、仮に意識を取り戻しても精神にダメージを入れたのだから、しばらくは魔法の発動に影響が出るようになっている。
それよりも今優先すべきなのは、バックアップチームの方だ。
USNAが自国の戦略級魔法師を切り捨てるはずがない。その証拠に、周囲の監視を誤魔化すための光学系魔法は、未だに解かれる気配はない。つまり、彼らが撤退するには、リーナを回収する必要があるはずだ。
それまでの時間で、バックアップチームを始末する。
リーナは仕方がないだろう。USNAの戦略級魔法師を殺害した場合、世界のバランスに大きな影響が出る。それに、恐らく彼女は原作に必要なキャラだ。だから、右腕を切られた後は俺が強力な精神干渉系魔法師だと勘違いさせるように立ち回った。
だが、他の奴らは別だ。データを残せば、俺が今の戦闘でルナ・ストライク以外の精神干渉系魔法を使っていないことがバレてしまう。故に、今の戦闘を見た者は誰一人として生かしておけない。
探知のために、【
ポケットに手を突っ込んで汎用型CADを操作、【
こちらの魔法発動を探知されたのか、ワゴン車の窓から無数の銃口が覗いた。右手でCADのトリガーを引き、【クロスブレイズ】*5を発動。特殊なサプレッサーがついているのか、殆ど音のない銃弾が射出される。しかし、俺の手前で全てが熱を残して焼滅した。
銃は効力がないと悟ったのか、ワゴン車の扉が勢いよく開け放たれ、大型ナイフを手にした男たちが飛び出してきた。同時に、車内で起動式が展開されたのが観える。
飛び出してきた男は3人。エイドスを読み取り、身体強化と概念強化以外の魔法がかかっていないことを確認する。この時点で、白兵要員は脅威ではないと判断。対応を後回しにして、車内の術式に焦点を当てる。左手を腰のホルスターに回し、ドロウレスで【
動く必要はない。ただ魔法を維持しているだけで、俺の手前に到達したナイフは、腕ごと焼き消えた。
立ち止まった男たちに向けてCADを突き付ける。セットされた起動式は、俺の特異魔法【トリシューラ】。領域干渉と情報強化を破壊して、最後に標的を焼滅させるという、兄さんのトライデントに限りなく近い性質を持つその魔法を、白兵要員たちに向かって発動させた。
その後の結果を確認することなく、地面を蹴って一足でワゴン車の中に飛び込む。CADのセレクタを操作し、起動式を変更。読み込んだのは【レヴァティーン】*6。CADを実銃のように突き出し、その先端に発生した仮想領域で車内にいる魔法師たちの頭を打ち抜いた。
バックアップチーム全員の始末を終えて一息吐くと、最初に発動した光学系魔法を解除。データキューブを拝借して、車載コンピュータのデータをすべてコピーする。
本来ならば、ワゴン車ごと消してしまった方が楽だったが、念のためにデータが欲しかったので一人ずつ始末することにしたのだ。
最後にデータをすべて破壊した後、死体を車外に放り出し、床に付着した血液を魔法で綺麗にする。死体は片づける必要はない。どうせ、今覗いている誰かが片付けるはずだ。
そう判断して、リーナを回収するために公園に向かった。
「────以上が事の顛末です。俺がリーナをワゴン車に運んだ時には、既に死体は回収されていました」
『そう。きっと七草家の関係者でしょうね』
「七草ですか?」
電話越しに聞こえた真夜からの返答に、俺は軽く目を見張る。戦闘不能になっていた千葉直次も回収されていたし、てっきり千葉家が関係していると思っていたのだ。
そんな俺の意外そうな声が分かったのだろう。真夜は言葉を続ける。
『東京は現在、七草の勢力圏です。それに、弘一さんが何やら画策していたことも耳に入っていましたから』
現七草家当主、七草弘一。彼と真夜の関係は浅からぬものがあるはずだが、声音からはそれを読み取ることはできなかった。
『監視者には紅夜さんの魔法は見られていないのよね?』
「一応、周囲からの視覚は魔法で遮断していました」
最も遮断していたのは視覚だけだったので、他の感知手段を持っていた場合、完全に見られていないと言い切るには不安があった。かと言って監視者に手を出すと、もっと面倒なことになっていた可能性があったので、それ以上の手を思いつかなかったのだ。
そんな曖昧な返答だったためか、真夜の言葉も、まあ、いいでしょう。と煮え切らないものから始まった。
『今確証を得られるのは困りますが、遠からず紅夜さんの立場は、はっきりさせるつもりです』
「……わかりました」
それは、覚悟をしておけという真夜の遠回しな忠告だった。四葉紅夜としての先、そして兄さんたちのこれからのことを考える必要がある。
『ひとまず、紅夜さんのバックアップしたデータを送ってください。米軍の方は、こちらで何とかしますから』
真夜が簡単に言ってのけたその言葉に驚くことはない。
四葉という家は、他の十師族に比べて規模は小さい。しかし、秘密裏に活動している諜報員や暗殺部隊など、闇から闇に葬る仕事では他の家よりも得意とされている。三十年以上経ってもなお、アンタッチャブルとして恐れられる要因がそこにあった。故に、真夜ができると言ったのなら、それは現実となるだろう。
バックアップデータを転送した俺は、カメラに向かって頭を下げた。
◆
翌日の朝。
朝食を食べながらテレビを見ていると、USNA海軍の小型戦艦が日本の領海を航行中に機関トラブルが発生し、漂流していたところを防衛海軍に保護されたというニュースが流れてきた。昨日の電話をしてからの対応がいくら何でも早すぎる気もするが、真夜のことだし俺が連絡する前から何か手を回していても不思議じゃない。
流石だなと一人頷いていると、深雪がギリッと擬音が付きそうな目でこちらを睨んできて、思わず動きを止める。昨日の夜も大層機嫌が悪く逃げるように就寝したのだが、どうやら朝になってもそれは続いていたらしい。
こうなることが分かっていたから、深雪に黙って色々終わらせるつもりだったのだ。それなのに、こんな時に限って母様譲りの直感を嗅覚的に捉える能力を発動させて、家に帰った途端にリーナたちと戦闘したことがバレて洗い浚い吐かされたのだ。
「あー…まあ、もう終わったことだし、紅夜に怪我もないからいいじゃないか」
目を逸らした先で助けを求めると、兄さんが苦笑しながら深雪に声をかける。流石兄さんといえばいいのか、それとも流石深雪というべきなのか、その一言でこちらを睨みつけることはなくなった。
それでも深雪は文句を言いたげに、頬を軽く膨らませて不満げな顔を隠そうともしない。
「悪かったよ……。次から何かあったら連絡するし、頼らせてもらうよ」
その不満は、きっと姉としての矜持だった。深雪にとって、俺がどれだけ強くても、怪我をすることがなくても、姉として俺を守り心配することが当然のことなのだ。
それが少し嬉しくもあり、同時に照れくささも感じて、何となくむず痒さを感じながら、そんなことを言った。
流石に前書きと後書きはコピーしなかったので、再現不可能です。
でも確か注釈機能のアンケートを取ってたはずなので、もう一度やっときます。
ことよろ!
注釈機能ぶっちゃけいる?
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いる!
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いらん!
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原作のマイナーな魔法とかなら欲しい