東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

5 / 42
今更ながらこのような事を言うのはあれなのですが、私は一切他者様の作品をパクっているつもりは全くございませんので、そこはご了承を。

なんやかんやで、5巻目ですね。そろそろ展開を入れていきたいところです。そう思いつつも、今回は進展があまり無く、文章も拙いかと思いますが、読んでいただければありがたいです。

では、5話目及び、参巻目の始まりです。


参巻〜幻と現〜

 あれからどのくらい時間が経ったのか分からない。体感的には、一時間くらいに感じる……。その間、ずっと椛さんに攻められていた。耳と尻尾を重点的に攻められ、まともに話せない程になっていた。

「ふわぁ……も、もう……や、やめ……ひゃい!?」

 先ほどからずっとこんな感じである。

 

――十分後――

 

 まだ攻め続けられている。

「ほ、ほんとに……もう……や、やめてくらさい……」

 そう言った時、先ほどまで、言っても止めてくれなかった椛さんの動きが急に止まった。

(あれ……やめてくださったのかな……?)

 そう思ったのも束の間、今度はどこに隠し持っていたのか刃物を突きつけられた。

(えぇ!? なんで!?)

 私の頭は完全に落ち着きを失っている。ほぼ本能で、素早く椛さんの方に向いてみると、椛さんの目は、完全に殺る気の目だった。やばいと思いつつも、こういう時こそ冷静になって聞いてみる。

「も、椛さん? ど、どうしたんですか……?」

 聞いてみたが、椛は黙っている。不思議に思い、近づいた。

「え……?」

 しかしその時、椛さんがいきなり刃物を刺してきたのだ。

「あ……ぁ、き……きゃあぁぁぁ!!」

 そこで私はふっと、目が覚めた。額に手を当ててみると、汗をかいていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……あ、あれ……?」

 起き上がって周りを見渡してみるが、そこは見知らぬ場所だった。そもそも見知らぬ場所と言っても、総会場以外知らないのだが。

「今のって……夢……だよね?」

 まさかあんな夢を見てしまうとは、それこそ夢にも思ってなかった。

「とりあえずは、夢だという事でよかった……」

 ほっと胸を撫で下ろす。

 先ほどのことが夢だったということは解決したが、もう一つ気になっている事があった。

「ここってどこ……?」

 考えてみても、当然見当もつかない。記憶も遡ってみるが、「うん……何も思い出せない」の一択で、答えは出てこなかった。

 唯一思い出せるのは、あの夢だけだったが、なるべく思い出したくはなかった。初めて会った人に、あんな事を夢で見ていたなどと、口が裂けても絶対に言えない。自分の中でそんなことを考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「あ、起きましたか? 気分はどうですか?」

 そこには、今一番頼りたく、夢を見た後には会いづらい人がいた。

「椛さん」

 そこには、椛がいた。

「いきなり倒れたので、慌てましたよ」

「え? 倒れたんですか?」

「はい、いきなり後ろで。……覚えていないのですね。まぁ、仕方ないと思いますよ。妖怪になって間もないようですし。それに、今日はいつもより比較的暑かったですから。暑さにやられて倒れても、仕方ないですよ」

 これからお世話になる人に、もう迷惑かけてしまったとは……と、自分でも情けなく思えてくる。とにかく、迷惑をかけてしまったことは謝らなければいけないと思い、謝る。

「あ、あの……迷惑かけてしまってごめんなさい……」

「いえ、大丈夫ですよ。それよりも私は、柊さんがうなされていた方が心配ですよ。大丈夫でしたか? 恐ろしい夢でも見てしまったんですか?」

 椛さんがとても心配そうに覗きこんでくる。

「は……はい。だ、大丈夫です……!」

 夢のことも言えないが、今の椛さんがとても可愛いことも、恥ずかしくて言えない。

「そうですか……でも、無理はなさらずに」

「あっ……はい! ありがとうございます」

 私がそう言った後、椛さんは何かを思い出したような仕草をすると、私にそれを伝えてくれた。

「あ、あとですね。大天狗様から聞いていたと思いますが、天狗には哨戒任務があります。ですから、体調が良くなったら、私が哨戒任務に必要なことをあなたに教えますが、よろしいですね?」

「はい。分かりました」

(椛さんと任務か……なんかワクワクするな)

 任務と聞いた時に、こんなことを思っていた私は、この後、まさかあんなことになるとは夢にも思っていなかったのである……

 




さて、参巻目いかがでしたでしょうか。
次回は、大幅に進展させていきたいと思います。
楽しみにしていただけると、嬉しいです。
あと、意見など、いただければ幸いです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。