なんやかんやで、5巻目ですね。そろそろ展開を入れていきたいところです。そう思いつつも、今回は進展があまり無く、文章も拙いかと思いますが、読んでいただければありがたいです。
では、5話目及び、参巻目の始まりです。
あれからどのくらい時間が経ったのか分からない。体感的には、一時間くらいに感じる……。その間、ずっと椛さんに攻められていた。耳と尻尾を重点的に攻められ、まともに話せない程になっていた。
「ふわぁ……も、もう……や、やめ……ひゃい!?」
先ほどからずっとこんな感じである。
――十分後――
まだ攻め続けられている。
「ほ、ほんとに……もう……や、やめてくらさい……」
そう言った時、先ほどまで、言っても止めてくれなかった椛さんの動きが急に止まった。
(あれ……やめてくださったのかな……?)
そう思ったのも束の間、今度はどこに隠し持っていたのか刃物を突きつけられた。
(えぇ!? なんで!?)
私の頭は完全に落ち着きを失っている。ほぼ本能で、素早く椛さんの方に向いてみると、椛さんの目は、完全に殺る気の目だった。やばいと思いつつも、こういう時こそ冷静になって聞いてみる。
「も、椛さん? ど、どうしたんですか……?」
聞いてみたが、椛は黙っている。不思議に思い、近づいた。
「え……?」
しかしその時、椛さんがいきなり刃物を刺してきたのだ。
「あ……ぁ、き……きゃあぁぁぁ!!」
そこで私はふっと、目が覚めた。額に手を当ててみると、汗をかいていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……あ、あれ……?」
起き上がって周りを見渡してみるが、そこは見知らぬ場所だった。そもそも見知らぬ場所と言っても、総会場以外知らないのだが。
「今のって……夢……だよね?」
まさかあんな夢を見てしまうとは、それこそ夢にも思ってなかった。
「とりあえずは、夢だという事でよかった……」
ほっと胸を撫で下ろす。
先ほどのことが夢だったということは解決したが、もう一つ気になっている事があった。
「ここってどこ……?」
考えてみても、当然見当もつかない。記憶も遡ってみるが、「うん……何も思い出せない」の一択で、答えは出てこなかった。
唯一思い出せるのは、あの夢だけだったが、なるべく思い出したくはなかった。初めて会った人に、あんな事を夢で見ていたなどと、口が裂けても絶対に言えない。自分の中でそんなことを考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ、起きましたか? 気分はどうですか?」
そこには、今一番頼りたく、夢を見た後には会いづらい人がいた。
「椛さん」
そこには、椛がいた。
「いきなり倒れたので、慌てましたよ」
「え? 倒れたんですか?」
「はい、いきなり後ろで。……覚えていないのですね。まぁ、仕方ないと思いますよ。妖怪になって間もないようですし。それに、今日はいつもより比較的暑かったですから。暑さにやられて倒れても、仕方ないですよ」
これからお世話になる人に、もう迷惑かけてしまったとは……と、自分でも情けなく思えてくる。とにかく、迷惑をかけてしまったことは謝らなければいけないと思い、謝る。
「あ、あの……迷惑かけてしまってごめんなさい……」
「いえ、大丈夫ですよ。それよりも私は、柊さんがうなされていた方が心配ですよ。大丈夫でしたか? 恐ろしい夢でも見てしまったんですか?」
椛さんがとても心配そうに覗きこんでくる。
「は……はい。だ、大丈夫です……!」
夢のことも言えないが、今の椛さんがとても可愛いことも、恥ずかしくて言えない。
「そうですか……でも、無理はなさらずに」
「あっ……はい! ありがとうございます」
私がそう言った後、椛さんは何かを思い出したような仕草をすると、私にそれを伝えてくれた。
「あ、あとですね。大天狗様から聞いていたと思いますが、天狗には哨戒任務があります。ですから、体調が良くなったら、私が哨戒任務に必要なことをあなたに教えますが、よろしいですね?」
「はい。分かりました」
(椛さんと任務か……なんかワクワクするな)
任務と聞いた時に、こんなことを思っていた私は、この後、まさかあんなことになるとは夢にも思っていなかったのである……
さて、参巻目いかがでしたでしょうか。
次回は、大幅に進展させていきたいと思います。
楽しみにしていただけると、嬉しいです。
あと、意見など、いただければ幸いです。