東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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ようやく柊が自分のような仲間にあったところまで行きました。よろしければ、これからも読んで頂ければ嬉しいです。

では、始まります。


弐巻〜新たな出会い〜

 総会場についてからは、大天狗様が話をしていた。私が仲間になったことや、これからどこの班に入るのかなど……。他にも数多くのことを天狗達に話している。

「……というわけじゃ。……そしてここからが本題なんじゃが……あ~……柊はこちらに来てまだ間もない。だから家がないのじゃが……誰か泊めてくれるものはいないかの」

 主に私の本題である家のことを大天狗様が聞いた瞬間、「「「はいっ!」」」と、大勢の天狗が手を挙げた。そして間もなく、

「俺が泊めてあげるんだ!」

「お前引っ込んでろよ! お前みたいな不潔な奴に柊さんを渡してたまるか! 俺が泊めるんだ!」

「柊だっけ? うちに来いよ! 広くていいぞ!」

などの言い争いになり、終いには喧嘩が始まった。

 そんな中、鈍感な私は、(泊めてくれる人達はいっぱいいてよかったけど……えぇ~……なんでそんなに争ってるの……)と、思っていた。

 だんだんと、総会場が騒がしくなり始め、相手を押し倒してまで自分の家に来させようとするものもでてきた。総会場はさらに騒がしくなっていく。ついに、これに見兼ねた大天狗様が喧嘩を止めようとしたその時。

「いいかげんにしてください!」

 大きな声が響き、その場が一瞬にして静まり返った。

「全く……恥ずかしくないんですか?」

 その人物はそう言うとこちらに来た。

「大天狗様、もしよろしければ私に柊さんを任せて貰えますか?」

 誰も止めないため、自分が止めようとしていた喧嘩を先に誰かに止められて驚いていた大天狗様はようやく動き出し、その人物に言う。

「お、おぉ……!う……うむ……ひ、柊、それでよいか?」

 相変わらず、場の空気を読めない鈍感な私は、「はい。大丈夫です」と言った。

「み、みなもよいか?」

 大天狗様が聞くと、全員無言でとまどいながらもゆっくり頷き始めた。

「あなた達に任せると、この子がどうなるかわかりませんからね……」

「そうじゃな……泊めてもらうなら同性の方が住みやすいじゃろうし……じゃあ、柊は椛についていきなさい」

 そう言われて最初は誰のことか分からなかったが、流れでさっきの人だということが分かったためその人の所へ向う。

 初対面で挨拶は大切なので、挨拶をする。

「あ、あのっ……し、しらきゃみ……白神 柊です! よ、よろしくお願いします!」

 緊張のあまりに噛んでしまった。

「ふふっ……柊さんですね。私は犬走 椛といいます。こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 あまりに礼儀正しく、笑った顔も美しいかつ、可愛くて、つい見惚れてしまうほどだった。

「では、今から私の家に案内するのでついてきてください」

 そう言うと、椛さんはにっこりと笑った。その笑った顔を二度見た私は、他のことを忘れるほど見とれてしまい、動きが止まっていた。

「どうかしましたか?」

「…………あっ! い、いえ! な、なな、何でもないです!」

「そうですか、では行きますよ」

 そうして私達は総会場を後にした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 総会場を出てから八分ほど経った頃だろうか。

「あ……あの……も、椛さん……」

「は……はい……? な、なんですか?」

「なんででしょうか……すごい体が火照ってるんですけど、いつもこんな感じなんですか……?」

「い、いつもはこんなでは……ないはずなのですが……」

 不思議なことに、二人とも体温が上がっていた。

 

――遡ること三分前――

 

 柊がまだ飛べないため、総会場から歩いて移動していた。しかし不思議な事に、歩いているにもかかわらず、自分達の体温が上がり出し、体力が奪われている。そんな現象が起こっていた。

「な……なんでこんなに、暑いんですかね……」

 椛さんからの返答がない。

「あ……あの……椛さん……?」

 もう一度読んでみるが、返答がない。おかしいと思った私は前を向いてみるが、前を歩いていたはずの椛さんの姿がなかった。

「あ……あれ……どこに行かれたんだろう……」

 椛さんがいないと先に進めないため、取り敢えずそこにあった切り株に座って待つことにした。

(体温高いし、なぜかドキドキする……なんでだろう……)

 そう思った瞬間、突然後ろから誰かに抱きつかれた。反射的に後ろを見るが、後ろを見た時、目に入ってきた人物に驚きを隠せなかった。

「も……椛さん!?」

 急激な展開についていけない。先ほど消えたと思っていた椛さんが今では後ろにいて、しかも私に抱きついているのだから。

(え!? な、なんで抱きつかれてるの!?)

 とにかく、なんでこの状況になっているのか聞いてみる。

「椛さん! ど、どうしたんですふぁ!?」

 急に力が抜けていく。椛さんに耳を甘噛みされたからであった。しかもこの甘噛みが絶妙に気持ちがよく、抵抗しようにも抵抗できない。

「も、もみじさ……んっ……や、やめてくらさい……」

 私の声が聴こえないのか、椛は容赦なく攻めてくる。

(わ、私どうなっちゃうんだろ……)

 




ようやく椛を登場させることができました。 が、椛のキャラが自分で想像した感じに書いていますので、皆様が想像してるものと違うかもしれませんが、許して頂ければ……
あと、椛が出るまでの前置きが長くてすみませんでした。投票の結果を見てから出したかったので……なんと椛21位!これからも上がっていけばいいなと思います。中ボスランキングは1位だった気がします。

最後に、今回も読んでくださり、ありがとうございました。

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