それでもやっぱり小説は楽しいのでやめられません。
夏休み中にもう一話と、幻の破片の方も進めたいと思います。
それでは、どうぞ!
(なんで葬式……?)
不思議に思いつつ、過去を見る。
それはちょうど葬式が終わり際から始まった。
両親の写真が木でできた棺の後ろ側に置かれている。その棺の横を通る人達が花を添えて、最後に何かを述べてから通り過ぎていく。その流れをよそに、幼い私は涙をぼろぼろと流しながら泣いている。周りの人達は気を遣ってくれていて、私をそっとしておいてくれたり、励ますような事を言ってくれていたことに今になって気づいた。
「そうだ、この時私……いろんな人達に助けてもらったんだ」
周りの人達の親切な行動に心が温まる。そして、気付かなかったがここまで助けられていたことに気がつく。
(私も行かなきゃ……椛さんや双葉ちゃんのために……)
しかし決意したのはいいが、肝心のここからぬけ出す方法が見つからない。どうすればいいか考えていると、どこからともなく声が聞こえてきた。
「なんだ、過去を見て変わっちゃったんだ~」
「この声は、幻!?」
「ふっふっふ、ご名答~!」
そう言うと、暗闇の中に急に幻が現れた。
「早くここから出して!」
「まぁまぁ、そう焦らないで。そうだねー、出してもいいけど、その後どうするのさ?」
「え?」
「だから、出た後どうするのさって聞いてるの」
「そんなの決まってるでしょ! 椛さんと柊さんの所に行って助けになれるように頑張るの!」
「口では言うの簡単なんだよねー。本当にできるの?」
「できるかじゃなくてやる! やるの!」
「ほんとに? 今までできなかったのに?」
「…………」
「散々足を引っ張って、仲間の白狼天狗に重大な怪我を負わせておいてよく言うよ」
「……う」
「お前のせいでこんな大変なことになってるのにな!」
「……がう……」
「いいかげんに時分が無力だってことに気がつけよ!」
「ちがうちがうちがう!」
「違く無いね! そうやってまた何かから逃げるんだ! 自分の無力さを認めないで!」
「いやぁ!」
「もう諦めちまえよ! 何やっても無駄なんだからよぉ!」
「ちが……」
――――そうだ、違うんだ。
「…………たとえ自分が無力でも、誰かのために動くのは決して無駄なことではない。無力というのは、諦めて何もできなくなったことを言う。そうおばあちゃんが言ってたっけ。今思うと不思議だけど……。
それに私はあの時に決めた。恐怖で何もできないより、恐怖に打ち勝つことができるほど強くなって何かを守れるようになりたい。
だから私は……仲間を守るために、何度でも立ち上がる!!」
真っ暗な空間に突如ヒビが入り、光が差し込む。
「そ、そんな馬鹿な……! 能力が破られるだと!? クソッ!」
幻は暗闇に消える。
その刹那、空間が崩れ、まばゆい光に包まれた。
次に目を開けた時には、そこは総会場の医務室だった。
「なんで私はここに……幻と戦った後からの記憶があまりない……でも、暗闇の中でのことならある程度憶えてるということは……」
そこに医務室の天狗がやってくる。
「き、き、君、意識はあるのかい……?」
「えぇ、大丈夫です。あります」
「こりゃたまげた。まさか自分で治してしまうとは……って、君! どこ行くんだい! 安静にしてないと!」
「すみませんが、行かせて下さい。休んでいる暇なんて無いんです。
仲間の所に行かなければいけないので」
ついに柊が復帰しましたね。
いよいよ終盤という感じがしてきました。
ついに幻との決戦が近づいてますね。どうなるっていくのでしょうか。
次回もよろしくお願いします!
今回も読んでいただきありがとうございました。