東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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ついに参拾巻にいきました。

いろんなことがありましたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。



それではどうぞ。


参拾巻~動き出す歯車~

 幻の能力がどんなものなのか予想がついた椛と双葉は、幻を探し始める。

「今度こそ、絶対に……!」

「倒しましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見つけた!」

 百メートルほど先の所に幻がいた。双葉が奇襲をかけんとばかりに近づこうとしている。それに気づいた椛は双葉を止める。

「待って下さい! あれが創りだされた幻覚の可能性があります。ここは一旦見きわめてから攻めましょう」

 椛の言葉に双葉は我にかえる。感情任せになっていたようだ。

「そうだね、一回様子を見よう。ありがとう、椛ちゃん」

 幻かどうかはまだ判断は出来ないが、その周りやそのずっと後ろの方向も見た。しかし、幻と思われるような姿はなかった。

「多分あれは本物だろうね」

「恐らくそうでしょう。ですが何か……」

「どうかした?」

「何か腑に落ちない気がして……」

「いやでも、椛ちゃんの能力でくまなくあの周りを見たから大丈夫だと思うよ!」

「そうでしょうか」

「うん。そうだよ! だから早く柊ちゃんを救わなきゃ」

 そう言い終えた双葉が飛び立とうとした瞬間だった。

 後方から殺意のこもった攻撃が飛んできた。

「双葉さん!」

 椛が素早く反応し、攻撃を受け止める。

「ぐっ……!」

「も、椛ちゃん!」

 咄嗟のことで、全ての攻撃を防ぎきれずに受けてしまったようだった。

「止血して処置しなきゃ!」

 止血しようとした時に椛が、“椛と双葉がいたところの後ろの方”を睨んで言った。

「……やはりそこにいたんですね、幻」

 椛が睨んだ先には幻がいた。

「そうだよ。よく気づいたね。気配は消していたつもりだったんだけどな」

「あんな殺意のこもった攻撃されたらそりゃあ気づきますよ」

「そんなこと言っても説得力ないし、そもそも自分達の周りに不注意すぎるね」

「やはり裏をとられていたのは私達の方でしたか」

「それで何? 僕に何の用だい?」

「あんたの能力でやったこと、全部戻しなさい!」

 双葉は割って入って言う。

 しかし幻は舌を出してバカにしたように言う。

「や~だね~」

 だが、椛と双葉は了承してくれないことなど期待はしていなかった。

「それならば、無理にでも……」

「力づくで……」

 

 

「倒す!!」

「倒します!!」

 

 

 

「いいねぇ! 退屈な僕を楽しませてくれよ!」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 お母さんとお父さんが死んでいくところを思い出すと胸が苦しい。何日も泣いていた。過去を見て、自分がどんなだったのかも分かった。でも、戻ろうとしても何かが私を引き止める。いや、私が過去から離れるのを拒んでいるのか、または両親を忘れてしまうことを恐れているのだろうか。どちらかは分からないが、なんにせよ心が苦しい……。

 

 そう思っていても過去は繰り返される。また同じ景色を見るとなると、それでさえも精神が滅入ってしまいそうだ。

 

 だが、私の思考なんてお構いなしに過去は始まる。

 

 

 

 けれども、今回は何かが違った。私は変化に気づき、過去をよく見てみる。

 

 

 出された景色は、葬式だった。

 

 

 

 

 

 

 




読んでくださりありがとうございました。

なかなか忙しいですが、これからも頑張らせていただきます。



それではまた次回に。

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