今回もやっていきます!
幻覚編、いよいよ終盤にむかいつつあるのか……?
では、どうぞ!
「やっぱり天狗達は一味違うなぁ」
幻は飛び回りながら、未だに天狗を探している。
「そういえば天狗じゃない厄介なやつがいたけど、あいつには別の策を用意したから、今度あったら叩き潰してやろっと。それにしても……」
急に幻は飛ぶのをやめ、後ろを見る。
「誰かに付けられてるなぁ。こっちが後を付けるのは好きなんだけど、逆に後を付けられるのは嫌いなんだよね」
幻は気配のする方に向かっていく。
「そこにいるの誰?」
幻が呼びかけても返事はない。
「まぁ、返事しないのは分かってたけど、バレてないなんて思ってたの? 僕が分からないわけ無いじゃん。諦めて出てきなよ」
沈黙のまま、時間が過ぎる。
「出て来ないなら、こっちから行くよ」
幻は気配のする木の目の前に立った。
「ほらっ! って、あれ」
幻が覗き込んだところには、誰もいなかった。
「いつの間に消えたんだ? まぁ、いないならいいか」
幻は身を翻すと、また飛んでいった。
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「一体あいつは何が目的なの……?」
幻を尾行しながら椛は考える。
先程から同じようなことを繰り返しているだけで、何がしたいのか、何を目的としているのか全く検討がつかない。自分の名前を言っては、すぐにその場から立ち去る。この行動に何の意味があるのか椛は必死に考える。
「だめ……全く理解できない」
そう思いつつ、幻の方を向くと、幻が立ち止まっていた。
椛は不審に思いつつも、幻を観察し続ける。よく見てみると、何かを言っている。
「いきなり立ち止まって何を……?」
椛は、何を言っているのかを聞き取ろうと、耳を傾ける。
白狼天狗は聴覚、嗅覚がともに優れており、ある程度離れた場所からでも音を聞き取ることができるため、偵察の任務に遣わされることが多い。
だから椛にとって、尾行は容易いはずなのだが、幻が言っていることを聞き取った時、耳を疑った。
「そこにいるの誰?」
そう言った幻の目は、こっちの方角を向いていた。
「能力で見ているから距離はだいぶ離れているはず……なのに、私が後をつけていたことが分かるの!?」
能力で幻を見ると、こちらに向かってきているのが見えた。
今対面すると、確実に負ける……!
幻がどういう人物か、どんな能力を使うのかが分からなく、こちらに全く手札がない状態で戦うということは、最初から勝ち目の無い戦いをすることと同じである。
逃げなきゃ! 音を立てずに最速で!
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「危なかった……気配を感じ取られるなんて……」
呼吸を整え、これからどうするかを考える。
「とりあえずは……あいつを見失わないようにしながら、双葉ちゃんと合流しよう」
椛は双葉に向けて合図を送った。
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
次回は、幻の破片を投稿して、その後にとりかかりますが、幻の破片は半分以上できているので、さほど時間はかからないと思います。
それでは、次回にお会いしましょう。