東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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どうもみなさん。
今回もやっていきます!

幻覚編、いよいよ終盤にむかいつつあるのか……?

では、どうぞ!


弐拾捌巻~進退~

「やっぱり天狗達は一味違うなぁ」

 幻は飛び回りながら、未だに天狗を探している。

「そういえば天狗じゃない厄介なやつがいたけど、あいつには別の策を用意したから、今度あったら叩き潰してやろっと。それにしても……」

 急に幻は飛ぶのをやめ、後ろを見る。

「誰かに付けられてるなぁ。こっちが後を付けるのは好きなんだけど、逆に後を付けられるのは嫌いなんだよね」

 幻は気配のする方に向かっていく。

「そこにいるの誰?」

 幻が呼びかけても返事はない。

「まぁ、返事しないのは分かってたけど、バレてないなんて思ってたの? 僕が分からないわけ無いじゃん。諦めて出てきなよ」

 沈黙のまま、時間が過ぎる。

「出て来ないなら、こっちから行くよ」

 幻は気配のする木の目の前に立った。

「ほらっ! って、あれ」

 幻が覗き込んだところには、誰もいなかった。

「いつの間に消えたんだ? まぁ、いないならいいか」

 幻は身を翻すと、また飛んでいった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「一体あいつは何が目的なの……?」

 幻を尾行しながら椛は考える。

 先程から同じようなことを繰り返しているだけで、何がしたいのか、何を目的としているのか全く検討がつかない。自分の名前を言っては、すぐにその場から立ち去る。この行動に何の意味があるのか椛は必死に考える。

「だめ……全く理解できない」

 そう思いつつ、幻の方を向くと、幻が立ち止まっていた。

 椛は不審に思いつつも、幻を観察し続ける。よく見てみると、何かを言っている。

「いきなり立ち止まって何を……?」

 椛は、何を言っているのかを聞き取ろうと、耳を傾ける。

 

 

 白狼天狗は聴覚、嗅覚がともに優れており、ある程度離れた場所からでも音を聞き取ることができるため、偵察の任務に遣わされることが多い。

 だから椛にとって、尾行は容易いはずなのだが、幻が言っていることを聞き取った時、耳を疑った。

 

 

「そこにいるの誰?」

 そう言った幻の目は、こっちの方角を向いていた。

「能力で見ているから距離はだいぶ離れているはず……なのに、私が後をつけていたことが分かるの!?」

 能力で幻を見ると、こちらに向かってきているのが見えた。

 今対面すると、確実に負ける……! 

 幻がどういう人物か、どんな能力を使うのかが分からなく、こちらに全く手札がない状態で戦うということは、最初から勝ち目の無い戦いをすることと同じである。

 逃げなきゃ! 音を立てずに最速で!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「危なかった……気配を感じ取られるなんて……」

 呼吸を整え、これからどうするかを考える。

「とりあえずは……あいつを見失わないようにしながら、双葉ちゃんと合流しよう」

 椛は双葉に向けて合図を送った。

 




今回も読んでいただき、ありがとうございます。

次回は、幻の破片を投稿して、その後にとりかかりますが、幻の破片は半分以上できているので、さほど時間はかからないと思います。

それでは、次回にお会いしましょう。

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