東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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今回からようやく幻想郷の話に入ります。
暇があるときなど読んでくだされば嬉しいです。
それでは始まります。


壱巻〜妖怪の山と天狗〜

 空間に入ってからは紫の後を歩いていた。

「さぁ、つくわよ。まずはあなたの仲間となる天狗達のいる所に送るわね」

 そういうと、紫は空間を開いた。

「さぁ、ここよ」

 私は空間から出る。出てすぐに私の目に入ってきたのは、『天狗総会場』と書かれている立て札と建物だった。

「この建物は簡単に言えば、天狗達が集まる場所よ。ここに大天狗っていうのがいるはずだから挨拶して来なさい。私からも話はしておくから。中に入れば天狗達がいるはずだから、聞けばわかると思うわ」

 紫は丁寧に説明をしてくれた。

「ここまでしていただいて、本当にありがとうございました」

「いいのよ別に。私は当然のことをしたまでだから」

 私がお礼を言うと、紫は空間の中にきえていった。私は建物の方に体を向ける。

「ここが天狗達のいるところ……今の私みたいな姿の妖怪がいるんだよね……」

 緊張するが、何とか気持ちを乱さないようにする。

「ふぅ……よし」

 大きく深呼吸をしてから扉を開ける。しかし、中に入った途端に中にいた天狗達の視線が一斉にこっちを向いたため、思わずたじろいでしまう。

「あ、ああ、あの……」

 一人一人の視線に圧倒されてしまい、声が小さくなってしまう。そんな中、動揺している私に一人の天狗私を睨みながら近づいてきた。

 そして私の目の前まで来るとこう言った。

「動かずに質問に答えろ。まず一つ目、お前見かけない顔だが、何者だ」

「え、えっと……その……」

 いきなりの展開に私の思考はついていけず、さらに、周りの天狗に圧倒されて返答が出来ずに口ごもってしまう。

「なんだ? 簡単なことだろう? なぜ黙っている?」

 その時の私の口はまるで何かの器具で固定されているかのように動かなかった。

「そうか……答える気は無いようだな。ならば貴様は、我々天狗に化けた敵として認識し、今ここで排除する!」

(え!? は、排除!?)

 排除という言葉にさらに頭を混乱させてしまい、完全にパニック状態に陥ってしまう。

「天狗の領域に入った事を後悔して死ぬがよい!」

 この瞬間私は死を悟った。

(あ……今度こそ私は死んじゃうんだ)

 何もできないまま、死期が目の前まで迫ったその時。

「待てぃ!!」

 大きい声が総会場に響いた。全員が声のした方を向く。するとそこには、他の天狗とは少し違う雰囲気を纏った天狗がいた。

「「「だ、大天狗様!」」」

 天狗達はそう言うと、全員頭を下げた。

 ここに来て初めて誰か来たことに気づいた私は、目だけをそちらの方に向けた。

(あの人が紫の言ってた、大天狗……)

 どんな姿をしているのか確認したかったが、先ほどの混乱で首が動かず見えなかった。

「いやはや、危ない所じゃったのう。紫殿にはもっと早く言ってもらいたいものじゃ」

 大天狗はそう言って、こちらに歩いてきた。

「お主が紫殿の言っていた白神 柊じゃな?」

「は、はいっ! そ、そうです!」

 私は何とか、固まった体を無理やり動かして、大天狗の方に向く。その時に分かったのだが、とにかく高い。私の身長よりもはるかに大きく、その大きさはまさにそびえ立つ山のようだった。

「先程はすまなかったの。わしらから謝っておこう。すまなかった」

「い、いえ、そんな……謝っていただかなくても大丈夫ですので……むしろお礼を言わなければいけないのは私のほうです。こちらこそ助けて頂き、ありがとうございます」

 言葉をいくつかかわした後、大天狗はここにいる天狗達に、

「皆の者、よく聞け! 先ほど紫殿から言われたのだが、こやつはわしらの仲間じゃ! 敵なんかじゃないからのう、安心せい。だからこれから、仲良くしてやってくれ!」と言った。

「これでわしらの仲間じゃ。歓迎するぞ」

 大天狗が言い終わると、総会場に拍手が起こった。その拍手が起こる中、一人こっちに歩いてくる人がいた。

「先程はすまなかった。初めて見る奴には警戒心が強くてな」

 先ほどのの天狗だった。

「いえ……私も答えられなくて勘違いさせてしまったので……」

「そうか……そんなことも知らずに話を進めてしまって本当にすまなかった。もしよければ、これからも会うことがあるだろうから、その時はよろしく頼む」

 その天狗はそう言うと歩いて行った。

(いい人なんだな……)

 先ほどの天狗の後ろ姿を見て、そんなことを思っていると、周りが拍手しながら、話しているのが聞こえた。

「天狗の新入りって久しぶりだよな~」

「天狗自体あれだけど、女の天狗も結構久しぶりだよな」

「よく見るとかわいくね?」

 完全に私に関しての会話が聞こえてくる。

(うわぁ……凄い目立ってる……)

 人間の時から目立つことは苦手だったため、こういう人が多いところも苦手だったのだ。

 私の顔に嫌さがよっぽどでていたのか、大天狗が「柊、ついて来なさい」と、言ってくれた。

「は、はい」と、また助けられたなぁと思いながら大天狗の後ろをついていく。

 大天狗の後についていくと、ある部屋に連れてこられた。

「ついたぞ。ここがわしの部屋なんじゃが、お主に話すことがあるから連れてきたんじゃ。取り敢えず、話は中でするから入ってくれるか?」

 別に拒む理由もないため、中に入る。

「そこに座りなさい」

 私は控えながら座った。

「さて……今日から君は天狗になったわけだ。だから、天狗としてのルール、仕事など、覚えてもらう。よいな?」

「はい」

 大天狗から、まず私が何の天狗で、どのくらいのものなのかを聞き、そしてその後に、天狗としてのルール、役割など、数多くの説明を聞いた。聞いていると、改めて天狗になった実感を感じた。

 

――説明聞くこと三十分――

 

「よし、これぐらいじゃな。分かったか?」

「はい。わかりました」

「そうか、ならよい。後は……おぬしの家じゃな。こっちに来たばかりじゃし、家を持っていないのは当然か……」

「そうですね……持っていません」

「そうか……ならば、誰かの家に一緒に住んでもらうことになるが、それで大丈夫かの?」

「はい。大丈夫です」

「よし、じゃあ、戻るか」

 そして私はまた、大天狗の後についていき、あの広間へと戻っていった。

 




訂正いたしました。最低でも3分の1ぐらい、文章が変わってるとおもいます。
まだまだこれからも修正を続けさせていただきます。まだもう少し待っていただければ幸いです。
それでは、読んでくださり、ありがとうございました。

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