東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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後書きにまとめました。
本編読み終わったら、後書きをどうぞ。



では、どうぞ。


弐拾陸巻~恐怖~

「絶対に……許さない……!」

 双葉は怒りのこもった声で言う。

 しかし幻は、受け流すように聞いている。それどころか双葉の気持ちを弄ぶかのような言葉を返す。

「許さないって言ったってさぁ、か弱~いお姉さんが僕をどうやって倒すというの? 冗談やめてよ~!」

 幻は笑いながら言った。

 そんな幻を尻目に双葉は呟いた。

「私を怒らせたことを……後悔させてあげる……」

「え、何いっt……」

 そういった時、幻の右腕が吹き飛んだ。

「ぐあぁぁ……!」

「さっきまでの余裕はどこいったの……?」

 双葉の手には、いつ準備したのか、剣が握られていた。

「うぐっ……ふふ……あはは……お姉さんやっぱり面白いや……」

 この状況にしてなぜか幻は笑っている。

「何がおかしいの……?」

「だって……こんな強気なお姉さんが壊れたらどんなに面白いか……」

 幻が目をこっちに向けた。双葉はその目に、一瞬寒気を感じた。

 幻は双葉の目を見て言った。

「想像するだけでも楽しみだからねぇ!」

 幻は能力を発動させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、少し待っても能力は発動されなかった。

「あれ……なんで!? なんでだ!? なんで能力が発動しない!?」

 幻が発動させたはずの能力が発動しなかった。というより、双葉に効かなかったのだ。

 幻にとって、今までには絶対ありえなかったことが起きた。

「ただ言っただけで何の意味もないみたいね……大体の能力は、能力者が死ねば解除されるからね……柊ちゃんのためにも、ここで……!」

 双葉が剣を振り下ろす。

「クソォォォ!」

 幻は咄嗟に、別の効果を発動させた。

 剣を振り下ろしていた双葉の目の前に、いきなり氷塊が現れた。

 双葉は、反射的に身構える。

 

 しかし、数秒経っても攻撃は来ない。

 手をどかして見た時には、氷塊は無く、幻も姿を消していた。

「逃げられちゃったか……」

 双葉は、すぐにでも幻という奴を探しに行きたかったが、その半面、柊のことが心配で仕方がなかった。

 だから双葉は、

(どうせ弱ってるから、放っておいても暫くは動けないだろう)

と思い、柊の元へと急いだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「クソッ……! なんだあの女は! 僕の能力が効かないなんて……!」

 幻にとっては前代未聞の出来事だった。

 今まで能力が効かなかった者などいないなか、つい先ほど効かない者が現れたのだから、驚くのも無理はなかった。

「あの女は早めに潰しておかないと……何か作戦を……いや、その前に応急処置が先決だ」

 幻は早々と応急処置を終えると、作戦を考え始めた。

「何か利用できるものがないか……」

 ただただ考える。そして、あることに気づいた。

「そういえばあの女、白狼天狗のお姉さんのことを言った時、過度に怒っていたな……だったら、そのお姉さんを利用するか……」

 幻は薄ら笑いを浮かべると、動き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 




幻は、案外戦闘中と、それ以外の時でキャラが変わります。
ちなみに、今回のサブタイトルは、幻と双葉、二人のそれぞれの恐怖を題名としてみました。

で、今回も、皆さんが思っていた日よりも遅くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
遅い時には、気長に待っていただけるとありがたいです。


さてさて、次回はどんな話になるんでしょうかね。
次回はなにかが…?なんて、楽しみにしたかったら、楽しみにしていて下さい。
今回と、さほど日は離れないと思います。


では、今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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