東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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前回双葉と幻が戦うと言いました。

言いましたけど…今回は椛がメイン?の話です。
変わることもあるんです。許してください。

というか、椛が活躍だったりだとか、そういうの深く書きたいとは思ってるんですけど、けど…
今回のこのまとまりが終わったら書きたいと思ってますので、そこはほんとに許して下さい。


では、どうぞ


弐拾伍巻~踏み入れた時~

――椛のいる哨戒班――

 

「はぁ……はぁ……これで大方片付いたろ……」

 流石と言うべきか、大群で押し寄せてきた妖怪を、数十分で倒していた。

「まったく……何か起こるたびにこんな事になってたら体がもたねぇよ……」

 全員の顔には疲れが見えていた。

 鴉丸がみんなを集める。

「仕方ねぇが、少し休まないと体がもたねぇろ。五分ほど休憩だ。その後また動き始めるぞ」

「はい!」

 全員が声を揃えて返事をした。

 

 

 

 休憩中、本来は気も休めるべきなのだろうが、椛はそわそわしていた。

 柊と双葉のことが心配だったのだ。

 今こんな状態の山で、安全である保証なんてどこにもないからだ。

「どうしたんだ?」

 仲間に声をかけられる。

「いえ……その……少し気になることがあって……」

「そうか……班長に言ってこようか?」

 椛は一瞬迷ったが、

「いえ、大丈夫です。自分で言ってきます」

 それだけ言い残して、班長の所へ行った。

「あの……班長……」

 鴉丸は椛が呼んでいることに気づく。

「ん、どうした?」

「実は……」

 椛は、自分が今心配していることを正直に言った。

「そうか……」

 鴉丸は迷うそぶりを見せたが、

「いいよ、こっちは任せておけ。お前はそれを確認しに行け」

「あ、ありがとうございます!」

 椛はお礼を言った後、すぐに飛んでいった。

 

 

 

 

 

 椛は急いで自分の家へと向かう。

「どうか無事であって……!」

 椛は不安な気持ちを抱えながら、家に行くスピードを上げた。

 

 

 

 しかし、椛が見た光景は、明らかに無事だと言えるものではなかった。

 家の戸は吹き飛ばされたのか、なくなっており、床や壁には穴が空いていた。

 しかも外には、土が抉られているような痕があった。

「何があったの……」

 椛の不安な気持ちが膨らんでいく。

「柊さん……! 双葉さん……!」

 椛は家の中を探し始める。

 

 

 数分して、ようやく柊を見つけた。

「柊さん! よかった……」

 しかし、柊は見つかったが、双葉の姿が見当たらなかった。

「双葉さんはどこに……?」

 そう考えた時、すぐ隣の森の中から、轟音が聞こえてきた。

「なに……!?」

 椛は柊を抱えて森の方へ向かった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 双葉も、柊のことを心配していた。

 心配していたからこそ、幻から遠ざけたつもりだった。

 だが、壊れた家に、誰も入らないなんて保証はない。

 だから双葉は、他の妖怪にやられるかもしれないということが気になっていた。

 しかし、この少しの気がかりが、後々、どれほど邪魔なものか、そして、どれほどの後悔を生み出すものなのかは、この時の双葉は、まだ知らない。

 

 

 

 

 




今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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