東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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前回の投稿から、早一ヶ月が経ってしまいました。申し訳ございません。
今回から、また今まで通りにやっていけたらなと思っています。

では、久しぶりに


どうぞ


弐拾肆巻~真相~

――椛の家――

 

「柊ちゃん……」

 双葉は、どうにかして柊を元に戻せないかをずっと考えていた。

 だが、なぜこうなっているのか、この状態はどんなものなのかの情報が何も無いため、方法なんて見つかるわけもなかった。

「やっぱり私のせいだ……」

 双葉が自分を責め始めた時だった。

 家の玄関の辺りで爆発音がした。

「!?」

 双葉は柊をなるべく安全なところに連れて行く。

 幸い、玄関からの位置は遠かったため、破片などが飛んで来るようなことはなかった。

 双葉は玄関へと向かう。

 立ち込める砂埃の中に人影があった。

 ゆっくりとこちらに来ている。

「おっじゃまっしま~す!」

 そう言って砂埃の中から出てきたのは、一人の妖怪だった。

 足を止めずに入ってくるが、入った時には既に、目の前に双葉が立っていた。

 その妖怪は双葉に気づいたようだ。

「あれっ? この家の中に妖怪がいたんだぁ~」

 その妖怪は、双葉を見据えてそう言った。

「あなた何者?」

 双葉は率直に聞く。

「僕? 僕はねぇ、夢宮 幻っていうんだ! でもねぇ、さっきから天狗達に名前を言ってるんだけどね、誰も覚えてくれないんだよ。困っちゃうよね!」

 幻というやつはそう言った。

 双葉は、今の幻の言葉の中で、気になったことを聞いた。

「あなたさっき、天狗達に名前を言ってるって言ってたけど、なんのために?」

 幻は惜しみなく話しだす。

「いやぁ、実はね、今までいろんな妖怪にもやってきたんだけど、今度は天狗が壊れるのを見たくなってね。壊すついでに名前を教えてるんだよ。やっぱり思った通り、天狗は一味違ったね。最初はねぇ、確か白狼天狗のお姉さんでしょ。次はねぇ……」

 双葉の耳が反応した。

 今の、白狼天狗のお姉さんは柊のことで、こいつが柊ちゃんをあんな目に合わせたんだと直感で感じた。

 双葉の中で、殺意が沸き起こる。

 今すぐにでも殺りたい。双葉には、その頭しかなかった。

 こんなに自慢気に話してきて、尚且、天狗も倒してきたということもあるから、腕にはよほど自信があるように見える。

 だが、双葉は感じていた。

 

 この妖怪には、まやかしの強さしかないことが。

 

 双葉には、幻が能力だけに頼っているように見えていた。

 幻は、まだ楽しそうに話している。

 双葉は、殺気を悟られぬように幻を呼ぶ。

「ねぇ……」

 幻は呼ばれたことに気が付き、話をやめた。

「ん? なn……」

 双葉は、幻が話をやめ、こっちを向いた瞬間に思いっきり殴り飛ばした。

 幻が家の外まで吹き飛ばされる。

 その勢いのまま、大木に全身をうった。

「やっぱり……」

 双葉はつぶやく。

「強い妖怪なら、少しは衝撃を和らげてダメージを減らすはずなのに、あいつは何もしようとしなかった。やっぱり能力が少し強いだけね」

 双葉は幻が飛ばされたところに向かう。

 

 

 双葉の今の行動には、ちゃんと理由があった。

 一つは、今言ったように、相手の実力を知るため。

 そして何より、もう一つの理由のほうが大切だった。

 もう一つは、柊からこいつを遠ざけるためだった。

 今、家の中で一人という状態も危ないが、あのままあの場所で戦っていても、その方が危険性が高いと判断したからであった。流れ弾にあたってしまうかもしれないし、見つかれば人質にとられてしまう可能性もあったからだ。

 

 

 双葉が幻のところへついた時、驚くべきことが起こっていた。

 幻が既に立ち上がっていたのだった。

「あ! お姉さんなかなか凄い力持ってるね! でも、いきなりでびっくりしちゃったよ!」

 幻は笑いながら話してきた。

(そんな……嘘でしょ!? 全力とは行かないけど、八割ほどの力だったのに無傷だなんて……!)

 ここで双葉は気づく。いや、気づかされた。

(避けられなかったから喰らったんじゃない……避ける必要がなかったから避けなかったのか……! 試していたのは私じゃなくて、あいつだったんだ……!)

「白狼天狗のお姉さんと戦ったけど、やっぱりまだ君のほうが少しは暇が潰せそうだよ! しっかし、あのお姉さんはほんとマヌケだったなぁ~」

 幻は思い出し笑いをしている。

 その言動が双葉を完全に怒らせた。

「あんたを……絶対に許さない……ッ!」

 幻はそれを見て楽しみ始める。

「え~? 明らかに見た目がか弱そ~な君が、どうするっていうの? ねぇねぇ、どうするのぉ?」

 幻は挑発をしてくる。

 だが双葉は、自分のことよりも、柊を馬鹿にされたことに怒っていたため、幻の言葉など、耳に入っていなかった。

「絶対に……殺す……!」

 

 




今回は間がかなり空いてしまった久しぶりの投稿、いかがでしたでしょうか。


ここからしばらくですね、双葉と幻の戦い話に入る予定です。
でも中盤から終盤にかけて、本家のキャラはちゃんと出しますからね?
もしかしたら長くして一話でおわるかもしれませんね。

というわけで、次回からは双葉と幻が激突します!

それでは、今回も読んでくださり、ありがとうございました!

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