東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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タイトルがもうおかしくなってきた拾捌巻です。
合計だとこれが二十話目ですね。
今回は少々残酷な描写といいますか、ひどいことが入ります。苦手なかたはすみません。ブラウザバックを推奨いたします。


それでもいい方は、どうぞ


拾捌巻~繰り返される夢『回夢』~

 私と双葉ちゃんは、椛さんの家についた。

「ここが椛さんの家だよ」

 私は双葉ちゃんに言って、家の中に入ろうとするが、双葉ちゃんは立ち止まっている。

「双葉ちゃん? どうしたの?」

「ううん。なんでもないよ。すぐ行くね!」

 それを聞いた私は家の中に入っていった。

 

 家の中に入っていく柊を見届けた双葉がほくそ笑んだとも知らずに。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「お腹すいたね。何か食べる?」

「そうだね~、なんか食べたいかも!」

「じゃあ、適当になんか作るね!」

 そう言うと、柊は台所に行った。

 

 双葉は、柊が準備を始めたのを確認すると、音をたてずに、立ち上がった。そして、足音をたてずに柊に近づいていく。

 

 

 柊は食材の準備を始める。切ったものを鍋に入れ、次の食材を切ろうとした。

 

 しかし、

 

「あれ? 包丁がなくなってる」

 つい先程まで使っていた包丁が見当たらない。

 そう思った時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 腹部に鈍い痛みが走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……?」

 腹部に手を当ててみる。ぬるぬるとした感触があった。

 触った手と服が赤く染まっていく。

「なん……で……?」

 徐々に、血が出ているという状態を把握し始める。

 口から血を吐き出す。床にも血が広がっていく。

 しかし、全てを把握する前に、全身から力が抜けていった。意識が遠のいていくなか、一人の人物が目に入った。

(双葉……ちゃん……?)

 双葉だと認識した後、柊が最後に見たものは……

 

 

 

 

 

 血で赤く染まった包丁を持って、幸せそうな笑みを浮かべている双葉だった。

 

 

 

 

 

「はぁ……! はぁ……はぁ……」

 なぜか私は、布団にいた。

 腹部を触ってみるも、血は出ていなく、傷もなかった。

「夢……」

 さきほどのものが、夢だと脳が認識し始める。しかし、夢とは思えないほどリアルだった。

 

 

 最近、よくこんな感じの夢を見てしまうようになっていた。

 誰かが誰かに殺される夢……。

 中でも、ここ最近で見た一番つらかった夢、それは柊が思い出したくない、心の奥に閉まってあったはずの記憶だった。

 それは、柊の両親が死んだ時のことだった。

 あの日のことを体が本能的に記憶の奥底にしまいこんだはずなのだが、夢に出てきてしまっていた。

 しかもそれが夢に出てきた時、柊はその日の夕方まで目覚めなかった。

 寝ながらそのまま気を失っていたのだ。

 柊にとってそれほど、辛い記憶なのだ。

 

 

「どうしたんだろう……疲れてるのかな……」

 夢の最後に見たシーンを思い出す。思い出しただけでもゾッとする……。

 双葉ちゃんのあんな顔を見たことがないし、まして、そんなことするはずがないと私は思っている。

 

 とりあえず呼吸を整える。

 そして、まず双葉ちゃんが何をしているのかを確認しようとしたが、タイミングがいいようで、双葉ちゃんが部屋の中に入ってきた。

「柊ちゃん、大丈夫? 顔真っ青だよ?」

 双葉ちゃんにはなしかけられる。

 私は、警戒していることを双葉ちゃんにさとられないようにしながら話を続ける。

「う、うん。大丈夫だよ。ごめんね、心配かけちゃって」

「ううん。いいの。でもまだ顔色悪いよ? もう少し休んでたほうがいいかも」

「ありがと。でももう、大丈夫だから……あのさ、一つ聞いていい?」

「なに?」

「私ってどうなったの……?」

 恐る恐る聞いてみる。

「あぁ……家の前でいきなり倒れたからびっくりしちゃったよ。入ろうとしてたら、倒れたから」

「そうだったんだ……ほんとごめんね?」

「いいよ! でも、もう寝たほうがいいかもね」

「そっか……じゃあお言葉に甘えて、今日は寝させてもらう。ありがとう。ほんとに」

「いいよ、気にしないで! じゃあ、おやすみ~」

「おやすみ」

 

 

 

 

 




拾捌巻、いかがでしたでしょうか。
言ってしまうと、双葉が一回目に笑ったのは柊と一緒に暮らせることが嬉しかったからです。
二回目は、柊の夢なので実際の双葉じゃないです。


では、今回も読んでいただき、ありがとうございました!

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