東方〜二人の白狼天狗〜   作:ふれんど

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続きをわすれそうで、書きたくて、書きたくて書きました。


前回の続きで、柊が消えた後からです。

おかしいところは無いと思います。
もしよんでいて、ここってどういう意味?だとか、これ文章がおかしくない?というのがあったら、よろしければいってもらえるとありがたいです。

今回は前回ほどではありませんが、ほんのすこし、椛が攻撃を喰らいます。
苦手なかたはブラウザバックを、よろしい方のみ、

ではでは、どうぞ


拾伍巻~椛の想い~

「なっ……! 消えた!?」

 今起こった出来事に、椛は動揺する。気配を探ってみるも、周りには柊の気配を感じない。

「一体どうやって……」

 考えてみるが、いつまでもこうしてては、何も始まらない。

 椛はあたりを探し始める。

 

 

 これは、柊の言葉によって始まった。

 

 

 

   自分は戦闘なんてできない

 

 

 

 椛はそれを聞いた時に、そんなことは無いと思っていた。二週間であそこまで成長したのは、椛でも驚きだった。

 だから楽しみにしていた。もうすぐ柊さんと一緒に戦えるのではないかと。

 

 しかし柊は戦えることを否定した。

だから椛は、柊が十分に戦えることを自分でわかってもらおうと思い、無理やりこの戦闘を仕掛けたのだった。

たとえ椛が言葉で「戦えますよ」と言っても、否定することがわかりきっていたから。

戦闘中に追い込むことでしか力を引き出させる方法が無く、結果としてこうなってしまったのだった。

 

 そして戦闘を始める。

 椛は、柊が十分に戦えることをわからせようとするのに必死だった。しかし、わからせようとして柊を攻撃するのは、同時に椛の心も傷めていた。

 

 

自分が今一番好きだと言える人を攻撃しなければいけなかったから。

 

 

 椛は柊が来てから、毎日が楽しくて仕方がなかった。女性の白狼天狗も少なくないのだが、今までこんなに明るく楽しく話せた白狼天狗はいなかったからだ。

 だからせめてもの恩返しとして、柊にきづかせたかった。

 これを恩返しというのかはわからない。でも、椛は自分が返せることとして何があるかを自分なりに必死に考えた。考えた末、これにたどり着いた。

 もしかしたら柊に嫌われるかもしれないという可能性も考えた。だが、それを恐れて柊の力を使わせないまま終わることのほうが椛としては辛かった。

 だから、椛はこの戦いを無理矢理行った。

 

 そして今に至る。

「もう少し、もう少し……」

 椛はつぶやく。

「もう少しで力にきづくはず……!」

 先ほど、あれだけの気を発せることができたのだ。

「だから探して、最後に一言言えば、絶対に……!」

 

 後ろに気配を感じる。

(あの気だ……)

 椛は後ろを向く。そこには柊が立っていた。

 椛は思っていたことを言う。

「柊さん! あなたはあれほどの能力をもっているんです! さっきのでわかったはず! 柊さんは自分では気づいていないだけで、実際はもっと強いんです! だから、柊さん! あなたは十分戦……え」

 さっきまで数メートル離れていたはずの柊が、一瞬にして目の前にいたのだ。

(ッ……! はやい!)

 椛が後ろに避けようとする。

 柊が、スペルカードを唱える。

「吼符『天の咆吼』」

(あれは音のスペルカード! まずい、耳が……!)

 耳を塞げずに、近距離で聞いてしまう。

 頭に響き、視界が歪む。

 椛がふらつく。

 そこに柊が容赦なく、攻撃をする。腹に一発、脇腹に一発、背中に一発いれ、木刀で薙ぎ払う。

 その剣さばきは、今までよりも数倍速かった。木に直撃し、背中に激痛がはしる。

 

 椛が一瞬でここまで喰らうことは初めてだった。今までにないほどのダメージを負い、椛は立ち上がれずにいた。

(仕方ないよね……こんなになっても……だって、それだけのことをしたんだから……)

 椛は戦闘してる裏で、恐れていることがひとつあった。

 

 それは、柊の力、能力が椛では抑えきれなくなってしまうこと。いわゆる、柊の力の暴走であった。柊が強いことはわかっていた。しかし、その強さがどこまでなのかは予測がついていなかった。だから暴走した時に止められない可能性があったため、これを恐れていた。

 そして今、恐れていたことが起きている。

 

 柊がゆっくりと近づいてくる。

 

 暴走しているため、もう柊を止められない。

 誰が味方なのか敵なのかわからない状態のようだ。

 また、攻撃したら殺してしまうかもしれない、かといって何もしないと殺されてしまうかもしれない。

 だったら、自分の好きな人を殺してしまうくらいなら、自分が死んだほうがましだと思っていた。

 

 

「柊さん……ごめんなさい……」

 

 

 

 ここで奇跡がおきた。

 

 

 目の前で柊の動きが止まった。

 そして止まってから数秒後、柊は倒れた。同時に椛の意識はそこで途絶えた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「……じ……ん!」

 遠くから声がする。

「も……さん!」

 どこか聞き慣れた声。

「椛さん! 椛さん!」

 この声は……と椛は目を開ける。

「椛さん!!」

 視界には柊がうつっていた。

「椛さん! 大丈夫ですか!? しっかりしてください!」

 椛は体を起こそうとする。

「だめです! 寝ていて下さい!」

 柊にせいされてしまう。

 椛は覚えてる限り思い出そうとする。

(確か柊さんを止められなくて……)

 なぜあそこで止まったのか椛には分からない。椛が柊に聞いてみたところ。

「いや、その……私もあんまり覚えていなくて……椛さんになんでこんなことされなくちゃいけないんだって思っていたら、急に意識が遠のいていって……それで、しばらくした後椛さんの声が聞こえたんです」

 椛は相槌を打ちながら聞く。

 

「あの、椛さん」

「はい」

「その傷はどうしたんですか?」

「この傷ですか? これは柊さんがやったんですよ」

「え?私……がですか? 本当にごめんなさい! すみませんでした!」

「謝らないでください。実はですね……」

 椛は、今回の戦闘の趣旨を話す。

「そうだったんですか……でも、こんなに傷つけてしまって……」

「いいんですよ、そうやってひきだそうとしたのは私なので」

「でも……」

「もういいですから、気にしないでください。それよりも、柊さん。あなたにはこれほど力がついたんです。ですから、あなたにも十分戦闘はできます。だから……もう自分が無力だとは言わないで下さい。もっと自信持っていいですから」

「椛さん……ありがとうございます……」

 柊は泣き出してしまった。

「柊さん……」

 柊は涙を拭きながら柊の方を向く。

「本当にありがとうございます……」

「いいですって。それより、一つ頼みたいことが」

「なんですか? 私にできることならなんでも」

「その、私を総会場の医務室まで運んでくれませんか?」

「あ、はい! すぐに連れて行きますね」

 

 柊は椛のおかげで、力に気付くことができ、椛はそれを助けとすることができた。

 二人は、笑いながら総会場へと向かった。

 

 

 

 

 

 




はい、今回はいかがでしたでしょうか?
よろしければ、感想でもいただけたら嬉しいです。

書きたいことがたくさんありました。


次回からどうなっていくのか、気長にまっていただければ嬉しいです。

では、読んでいただき、ありがとうございました!

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