では、どうぞどうぞ
椛のいる哨戒班では、作戦を練っていた。
「どうするか……」
「このまま無闇に攻めても無駄だしな……」
「だからと言って、このままじっとしてんのかよ!?」
「動くのは構わないが、どう殲滅していくか……」
「そこが問題なんだよな。効率よくやっていかないと……へたすりゃ死ぬかもしれねぇからな……」
「「う~ん……」」
――悩むこと十分――
ここまで悩み、一人の天狗が異様なことに気づく。
「おい、思ったんだが……椛、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう?」
「ちょっと能力で周り見てくれねぇか?」
「え? いいですけど……もしかして、何かあったんですか?」
「いや、そういうことじゃないんだがな……少し気になってることがあってな……」
「言えないなら言えないで大丈夫です。じゃあ見ますよ」
椛が能力を使う。
「椛、敵がいるか?」
「いえ、周りに敵の影は見えません」
「そうか、ありがとう」
その天狗は椛にお礼をいうと、立ち上がって他の天狗達のところに戻る。
「みんな」
「どうした?」
「薄々おかしいとは思っていたが、みんな思わないか?」
「なにがよ?」
別の天狗が言う。
「敵だよ……敵が全く来なくなったじゃないか。さっきまであんなにいたのに」
そこで全員気づく。確かにここに来るまでの道、そして今ここにいてこれを言われるまで気が付かなかったが、敵を見ていなかったのだ。
「……確かに不自然だな」
「普通にいてもおかしくないよな……でもいないって……」
「俺達がここに来てから、十分以上たっているがここの周りに敵の気配もない……」
「あの数なら山全体を回るのに一時間もかからないだろう」
「だから敵に見つかってないってのがおかしい……ということか……」
「いやでも、敵が応戦に向かっているという可能性もあるんじゃないか? 俺達じゃない他の班のところに」
「あったとしても、その可能性は低いんじゃないか……?」
「なんでだ?」
「何度か生き返る敵がいただろう。あれは他のやつが応戦に行かないようにするためにそうしたんだと思う。逆に言えば、相手はそれほど本気らしいな」
「そうか……」
別の天狗が、また別の考えを出す。
「だったら犬走、能力を使って山ん中みてくれねぇか?」
「すでに見ておいたよ」
先ほど椛にお願いをしていた天狗が言った。
「因みに、このあたりには敵はいなかったそうだ」
「はい、いませんでした」
「そうだったか……じゃあ今度は、山の隅々まで見てくれないか? どこのどれくらいいるのか確認したい」
「はい。わかりました」
椛は能力を再び使い、山の隅々を見る。
しかし
「え……そんな……なんで……?」
一人が椛の異様な反応に気がつく。
「どうしたんだ?」
「て、敵が……どこにもいません!」
「「はぁ!?」」
そう、どこにも敵がいないのである。先ほどまでいた敵全てが跡形もなく消えてしまっていたのである。
「な、なんでいないんだ……?」
天狗達が動揺が隠せないところに、
「お~い! みんな無事か!?」
と、聞き覚えのある声がした。そこには、鴉丸がいた。
「鴉丸!」
鴉丸が降りてくる。
「お前無事だったんだな!」
「あたりまえじゃねぇか!」
仲間たちと再開をした。
しばらくして一人が、
「鴉丸、ここにくる途中に敵は見たか?」
と聞く。
「……そういえばやけに来るのが楽だったな……」
「そうか」
別の天狗が言う。
「どこにもいないとなる、ほんと恐ろしいっすね……」
「そうだな……でも警戒はしておかないとな……」
そういろいろと言っているところに、他の班の天狗が来た。
「なんだ、どうした」
「迅速に伝えろと言われたことがありまして。先ほど博麗の巫女が、異変を解決したとのことです」
「「へ?」」
全員すっとんきょうな声をだす。
「え……まじ? 解決したの……?」
「はい、解決したようです。敵が急にいなくなったでしょう? その時には終わったようです」
「そうか、だからか……」
「では、私は次のところへ向かわないと行けないので」
「おう、ご苦労だった」
そう言うと、飛んで行った。
「終わったのか……」
「終わったんだな……良かったよ、全く……」
「どうせ招集がかかるだろうから、先に総会場に向かってようか」
みな、重い体を動かし、総会場へ向かった。
最後までよんでいただき、ありがとうございました。
異変も終わり、ようやく柊が妖術を身につけることができます。
次回は修行かな?
では、最後までよんでいただきありがとうございました。