SAOにプレイヤーチャットが搭載された件【連載するよ!】   作:秋ピザ

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ちょっと休憩的な感じで前回とほぼ同じ時間軸。
具体的にはキンジくんとかが隊長さんに善戦している辺りでの隊長さんの精神世界模様。
そして例の黒い奴がいきなり退場するよ!
ポッと出てポッと消える、影の薄さはまるでどこぞの青い忍者だ!



【裏・ばーさす!】隊長さんの舞台裏

自分を俯瞰するように自分を見る気分ってどんなもんだか分かる?

俺は分かるね。気持ち悪い。

第一俺は見るよりもやる方が好きだ。だから自分の体が自分の意思じゃない何かで動いてる感覚は非常に気持ち悪いし、それを見るのもわりと不快だったりする。

ゆえに三秒に一回くらいキレて暴れてみようとするんだが、すると余計に何も出来なくなってさらにイライラし、もっと暴れる悪循環に陥る。

自分の体なのに自分で操れんとはなんぞや。

「それはお前が俺に任せたからだな、自爆乙」

 

「……誰だねテメェは。正体によっては殺すし、それ以外ならKillするぞ?」

 

「どっちも死ぬだろうが!」

 

「じゃあレッツダイしようぜ」

 

「結局死ねと!?一時は俺に体を任せてくれたのに死ねと!?ピンチを助けたのに!?」

 

はいそうです死ね。

だってお前アレだよね、どうせさっきの黒いナニカさんだよね。

じゃあ死ねよ。俺の体を勝手に使うとか泥棒じゃないか。

ポケモン風に言うと、『ひとのものを とったらどろぼう!』だぜまったく。

「リアルで嫌いな国の国家機密をバンバン盗んでは情報をネット上にカクサーンして危うく滅ぼしそうになった奴が何を言うか」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「何が!?すげぇ問題しかないけど!?」

 

「俺はまだ盗んだウィルスを包み隠さないスタイルでのお返しもしてないし、国家機密の中身だったオカルト的な力で超ヤバい剣を使って侵略もしてない。どこにも問題がないだろう?」

 

「大アリだわ!むしろ問題しか存在しねぇよ!」

 

「あ、そうだ。今考えたんだけど俺の体が傷付くたびに俺はお前を殴ろうと思ってる」

 

「話題の変え方が雑っ!」

 

お前、俺の中にいるクセしてツッコミ属性持ちなのね。

つまりこれからの隊長さんはセルフでボケとツッコミを担当出来るハイブリッド自家発電が出来るんだな。

どこに発電の要素があるかは知らないけどさ。

 

まぁとにかく、ツッコミ担当の黒俺よ。

俺はツッコミを担当してくれる最強の相方が出来たと認識していいんだな?

「いや俺はお前の相方じゃ……」

 

「甘い!トラップ発動!嫌よ嫌よも好きの内理論!つーわけでお前は俺の相方な!」

 

「話聞けゴルァ!」

 

「■■■■■■■■■■■■?(ヒエラティックテキスト)」

 

「一応多くの言語に対応した俺もヒエラティックテキストには対応してないなぁ!」

 

ククク……お主もまだまだよのう。

今俺はヒエラティックテキストで『大丈夫、理解できないのは最初だけ、すぐに受け入れるしかないて理解できるよ』と言ったのに分からないなんて。

「お前……俺が本気を出したらどうなr『だらっしゃあ!』へぁっ!?」

 

あ、黒いのが何か言おうとして突然ぶっ飛んで黙らされたざまぁ。

「おい待てこれは明らかにお前にも害があ『そぉいっ!』がはっ!」

 

「ざまぁwお前は俺と違って何もしなくてもやられるんだ。え?俺?何もしなくても勝ちますが何か?」

 

「ちがっ……これを見ろヴァカ!」

 

さりげなく煽ってみると、黒いのは何やら虚空(よく考えるとここは恐らく俺の精神世界的なところだから虚空というのが正しいかは分からない)に映る映像……多分実際の体が見ている光景……を指差した。

そこでは何故か見知らぬ四人の男に囲まれて無駄に上手い連携に為す術もなく追い込まれているような光景が映っている。

「……ふむ、つまりこれはお前が俺を負かして殺そうという計画だな?」

 

「違う!違うんだよ!」

 

「さぁ……お前の罪を数えろ!」

 

「この肉体的には罪状が多すぎて数えきれないんですけど!?」

 

「泣けるでぇ」

 

「お前はどこの金太郎もどきだよ!泣きてぇのは俺の方だよ!」

 

俺たちは無意味な言い合いをしつつもお互いに探り合う。

なんとなく映っている光景がSAOで実際に起こっているとなんとなく認識しつつ、ひとまずこの黒いやつが仕組んだ罠とかではないかの確認をするためだ。

 

そして数十回に及ぶやりとりののち。

「ふむ、理解したぞ。何も理解できていないように見える台詞を言いつつ、ちゃっかり完璧に理解したぞ俺は!」

 

「それは確実に理解してねーよな!」

 

「甘い!なんなら説明してやろう。今俺はろーくんの同類四人に同時に攻撃されて追い詰められていて、追い詰められている原因は俺がお前と会話しているせいで肉体を動かすのが反射だけになっているから、そしてロリコンどもが動いているのはあの青ロリのせいだな!」

 

「完璧すぎて恐いっ!」

 

そりゃあまぁ、これでも居酒屋店長ですからね。

仕事柄、1を見て1000を知るくらいはしないと生きていけないのよ。

……あ、これは別の仕事だったか。

「でもって今からこの状況を打開しようと思う。体返せ」

 

「ハハハ、俺が返すとでも?」

 

「返さないようならちょっとオカルティックな方法でテメェを封印して奪い返すまでだ」

 

余談だが、これでもリアルじゃドゴモンとかいう変わった名字の奴等を指導してたった3ヶ月の通信教育だけでプロの陰陽師に育て上げたこともあるくらいにはオカルトにも詳しいんだぜ?

それに西洋魔術的なものも古本屋で買った宮部み○きの『ソロモン○偽証』でよく分からないが偉そうな男を召喚してソイツをセルフでぶっ倒すところまではやったことがある。

それ以外は飽きてやらなかったが、まぁちょっと経験さえあればこの程度の黒いやつを倒すのは造作もない筈さ。

「それじゃお前に選ばせてやろう。右手の拳か左手のグーか、好きな方を選べよ」

 

「チクショウどっちも変わらねぇ!」

 

「いや、右手の拳の場合は威力80%のアッパーだが左手のグーだと威力100%のストレートが飛んでくるぞ」

 

「じゃあ右手だな。嫌だけど」

 

「OK、それじゃいってみよー!」

 

俺は右手に気合いを込めつつ、以前なんか訳の分からぬ男……確か陶器とかを作るときに使う回転するアレみたいな名前の奴に教えてもらった『実体のない存在を殴ってダメージを与える殴り方』 でアッパーカットを喰らわせる。

方法?まぁアレだね、ただ単純に右手を捻って、回転して抉るように拳を打ち込み、ついでに位置をズラして上手いこと五芒星を描くように計5回それを叩き込むだけさ。

良かったらやってみるといい。

「……からのなんの前触れもない二倍キャンペーン!」

 

「ひでぶっ!?」

 

そして、なんか飛んでいく黒いのがあまりに滑稽だったので追い討ちでもう一度叩き込み……俺は黒いのを消える寸前まで追い込む。

それはあまりに残酷で純真で、淀み1つない心を持つ俺が故に出来る所業。

悪意なんて10割しかない、ただただ善意で行われる破壊。

「酷い!右手の拳なら80%だって言ったのに!」

 

「フッ………誰も一度しか殴らないなんて言ってないぜ!」

 

「それになんで実体も何もない俺にダメージを与えられるんだよ!おかしいだろ!」

 

なにやらものすごい抗議の意思を込めて黒い奴が俺を睨んできた。

まったく、これだから平成生まれは(by平成生まれ)。考えない内から物事をおかしいおかしいと………どこにもおかしいところはないからな?

だが、ヒントくらいは与えてやるとしよう。

本来ならこんなものを教えてあげる義理なんてこれっぽっちもないんだが。

「よし、教えてやろうじゃないか。俺がお前にダメージを与えられる理由をな!」

 

無駄に堂々と宣言したのちに、大きく黒いのに向かって踏み込みながら俺は叫ぶ。

 

「それはっ!俺が俺だからだっ!」

 

「それは回答になってn………」

 

そして、踏み込んで距離を詰めると同時にこっそり握り締めた拳を振り抜き………黒いのの意識を奪う。

 

 

 

………やったぜ。

 




【元ネタ及び解説】

【やったぜ】タイトルは忘れたが有名なクソゲーのエンド時の台詞。これが出ると慣性が仕事を放棄し、何かしらの飛行生物に連れ去られて振り出しに戻る(大嘘)。

【黒いの】実は隊長さんがリアルで殴ったり蹴ったりして討伐したり討伐寸前まで追い詰めたオカルト的な奴等の思念体。
しかし長いこと隊長さんが反応してくれなかった内に同化しており、せめてもの抵抗にツッコミを担当する。
特技はツッコミ、及び精神の乗っ取り……の筈がどちらも隊長には通じないか利用されるのでほぼ無意味。

そしてメタ的に言うと、今後三人称視点的なモノを確保してくれる便利な人材だったりするが、当分は頭の中でオネンネしちゃう残念なやつでもあったりする。

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