SAOにプレイヤーチャットが搭載された件【連載するよ!】 作：秋ピザ
そんでもって今回のタイトルの超最大とは……つまり、まんまの意味です。
戦闘の開始は、まず俺の投げた武器が弾かれて飛んでいく音から開始した。
気付いたら視界の中にいつの間にか『デュエルモード:最終決着ロワイヤルベータ』という謎の表示がされていたりするが、まぁ多分これはカデ辺りが気を効かせてくれたのだろう。
字ヅラからしてかやひことの決戦ようデュエルモードのベータ版っぽいがな。
そんなことを考えつつ、まずは手に持った剣で、ある技術を流用してがきんちょに重めの一撃を叩き込む。
一応コイツには元の技名はあるから叫ぶとしようか。
「変幻夢想流、無の型一の太刀……【絡滴】」
たしか近所のじっちゃんよりかは弱かったけど技術そのものの研究については進んでいたからアレンジ次第でいくらでも化ける剣術を持ってたじいさんからパクった技。
名前以外たいして記憶はないが、まぁ困ることでもないさ。
それに変幻夢想流は技のコンボでこそ本領を発揮する剣術だ。だからここから次の攻撃に繋げたいところだが……
「やぁ隊長!無視するなんて酷いぞ!」
今度はディアベルの方が攻めてきてこちらの動きを制限しつつ、がきんちょが俺の背後からギリギリの所を叩き斬ろうと横薙ぎの一撃を仕掛けてくる。
タイミングは完璧。前後左右どこにも回避のしようはない。普通なら、という条件が付くが。
「甘ぇ、甘すぎるぜっ!」
だかしかし、そんな連携も俺の前では無力である。
バックアタック狙いならば最初に付けたスキルの１つ目の効果が生きるって訳さ。
俺はその場で軽いステップを踏みつつ、スキルを発動する。
「【ダブルステップ】」
エクストラスキル【五十歩百歩】の第一スキルでありながらもっとも有能でマトモなんじゃないかと思うスキル、ダブルステップ。
ただ単純に五十歩を百歩に変えるそれに近い……つまりは一歩の長さを二倍にするスキルだが、その移動方法が独特なのでこういう逃げの一手を打つべき時には滅法強い。
ただしクールタイムが三分なので二歩で抜けられない時は非使用推奨。
ついでに１つ重大な欠点もある。今言うことじゃないがね。
……にしたっていきなりコイツを使わされるたぁね。
正直五十歩百歩は乱戦で囲まれた時に同士討ちを誘発してやろうと搭載したものだから、二対一で使うなんて思いもしなかった。
ちょっと流石にコイツらとまともにやるのは分が悪いか？とようやく思い始めたところで、俺は不意に背後から強烈な悪寒を感じてその場を飛び退く。
無論避けた先にも追撃がやってきたがそちらは難なく剣で相殺して先程までいた場所を睨むと……
「おい待てそれは反則だろうが!」
「お前がっ!言うなや!」
そこには巨大なタワーシールド２つを巧みに操り打撃を加えてくるサボテンダーマンの姿があった。
三対一。形勢はさらに悪化。ディアベル&がきんちょでもそこそこキツい感じなのに流石に三対一はちょっとだけピンチかもしれない。
なりふり構わず人道すら捨てた最悪の一手を使うって手もあるけど、それは流石に最後の手段だしなぁ……
そう思いつつまずはこちらの行動を制限しやすいダブルメイン楯使いなサボテンダーマンをｺﾛｺﾛしてやるため、僅かに本気を出して攻撃することを決定する。
装備変更、【ザ・マッハ】……
「魔法の鉄拳マジカル☆パーンチ！」
おっと。
しかし良いところで更に乱入してきた奴によってそれすら妨害され、その上新たな乱入者は初撃を外した次の瞬間どこか軍隊的な動きを思わせる特殊なフットワークを駆使してこちらに余裕を与えないつもりのようだ。
しかし拳闘ってんなら話は早い、こちとら喧嘩1000段だ、ステゴロなら敗けはねぇ。
だが、さらにそこで俺に襲い来るのがある程度フォーメーションを組んで連携し攻めてくるディアベルたち。
そして新たな乱入者(最初の台詞からマジカルくんとでも呼ぼう)はディアベルたちに合わせるようにして連続攻撃、俺に対応させる暇を与えない。
なるほど完璧なチームワークじゃないか。
こんな状況はリアルでも長らく味わってないね。少なくともここ２年はもちろん過去10年以上に渡って一度も味わってない感覚だ。
２つの巨大な楯がまず俺を襲いつつ動きを制限、その持ち主たるサボテンダーマンを足場にして跳びあがったがきんちょとディアベルが上としたから挟み撃ち、そしてマジカルくんが小刻みな攻撃でこちらの位置をコントロール。
……これ、ちょっと流石にまずいなぁ。
そんな気の抜けたことを考えつつ、俺はなすすべもなく吹っ飛ばされるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
プレイヤーチャット特設スレッドにて
【現在、混雑のためスレッドを複数に分割しています】
【ハサ次郎】さん、【承太郎】さん、【ゴロー】さん、【ブタジマ】さんが入室しました。
1.ハサ次郎
隊長が吹っ飛んだらしいわよ。
2.承太郎
いや隊長が吹っ飛んでるのはいつも通りだろう？
3.ブタジマ
2»それはぶっ飛んでるの間違いだろうが……取り立てるぞ。
4.承太郎
3»何を!？
5.ゴロー
4»野球やってて割った窓の弁償代ウン十万円のことじゃね？
6.承太郎
いや、むしろこの場合は知り合いに借りてた2000円のことだろうさ……くっ、嫌なこと思い出しちまったぜ……
7.ハサ次郎
……もう始めても良いのよね？
8.承太郎
7»大変失礼致しましたっ!
9.ゴロー
7»大変失礼致しましたっ!
10.ブタジマ
7»大変失礼致しましたっ!
11.ハサ次郎
8-10»うむ、許す。
と、言うわけで話すけど、どうやら隊長がDKBとかその辺の人たちによってやられたみたいよ。
見た感じサボテンが一個混ざってるけど……グ○ートみたいな奴じゃないわよね？
12.ゴロー
しまったな早いとこ洗濯物取り込まねぇと穴が空くぞ……
13.ブタジマ
しまったこんなことになったら早く借金取り立てねぇと逃げられる……!
14.承太郎
つーか今逃げられてる……
15.ハサ次郎
14»何から？
16.承太郎
ラグーラビットに逃げられてる。ギリギリ追い付けそうではあるけどやっぱ素手じゃやりづらくて仕方ないね。
17.ハサ次郎
16»捕まえたら献上しなさいよ。私に。
18.承太郎
17»鬼がここにいる!？
19.ブタジマ
んじゃ俺にも寄越せよ。
20.ゴロー
腹減ったから俺にもくれ。
21.承太郎
チクショウ……俺の大切なラグーラビットをなんで皆狙うんだ……
22.ゴロー
21»腹減ったから
23.ブタジマ
21»滞納者にチラつかせて金引き出すんだよ。
24.ハサ次郎
21»献上しないなら切るわよ？ナニをとは言わないけど。
25.承太郎
お前らホント遠慮もクソもねーな!
もういい、俺はプレイヤーチャットを切るぞ!
【承太郎】さんが退室しました。
26.ハサ次郎
あ、ところで今思い出したんだけど。
27.ブタジマ
26»なんだよ。
28.ゴロー
26»なにか分かったのか？
29.ハサ次郎
いや、今回の事件で暗躍してるっぽい教団があるって聞いたからちょっと知り合いを問い詰めてみたんだけどね、ちょっと心当たりがあるみたいなのよ……
30.ブタジマ
つまり？
31.ハサ次郎
もしかしたらこの事件の面白いネタを握れるかもしれないの。
32.ゴロー
31»俺は興味ないね!……で、どんな教団なんだい？
33.ブタジマ
32»興味津々じゃねぇか。
ま、聞いてやっても良いんだぜ？31»さんよぉ。
34.ハサ次郎
32-33»普通に教えてあげないけど？
教えてあげるなんて一度も言ってないじゃない。
ざ ま ぁ 見 な さ い 。
【ハサ次郎】さんが退室しました。
35.ブタジマ
あ、あの性悪め……取り立ててやるっ!
【ブタジマ】さんが退室しました。
36.ゴロー
おい待てなんで最後が俺になるんだよぉぉぉぉぉ!
つーか35»が闇金の人感強すぎて怖すぎんだよぉぉぉぉぉ!!!
【ゴロー】さんが退室しました。
プレイヤーチャット答え合わせ……は今回は割とマジでネタに振っていないのでないです。まったくふざけないで適当にやりました。
でもってこっから本編のお話。
今回ようやく実情が若干見えてきた現在の構図がカオスなので整理するとこう。
隊長側:隊長&エフ子
DKB側:DKB精鋭メンバー、キバオウ、りぇる、マジカルくん、ディアベルさん。
人数差は100倍以上、さらに四人の超精鋭+複数のエリートにより隊長さんは追い詰められています。
……そんなわけで、それを踏まえて次回予告的な。
次の【SAOにプレイヤーチャットが搭載された件】は!
「これがっ!凡人のっ!力だぁぁぁぁぁ!」
ディアベルさん、覚醒!？
「おい……嘘だろ……俺が負けるのか……？」
そしてまさかの隊長さん敗北!？
「ハーッハッハッハ!待たせたなお前たち!お馴染みくr……ﾌｫｶﾇﾎﾟｳ」
……いや、誰だコイツ。
「お前を倒して……イチゴタルト、奢らせるっ!」
「お前を倒してツケを代わりに払わせるっ!」
もうやめて!財布の中身はもうゼロよ!
……次回、『【さーど！】もう笑うしかないや【隊長さんの敗北】』をお楽しみに！(面白いなんて言ってない)