SAOにプレイヤーチャットが搭載された件【連載するよ!】 作:秋ピザ
本来なら1話にまとめるはずが、思ったよりも長くなり過ぎてまだ当分書ききれそうになかったのでキリのいい部分だけを切り離して投稿。
前に投稿してすぐ消したのよりはマシ……だと信じたいものです。
なお前回、次の話で戦闘シーン入ると言ったな。
分割したせいでまた先送りになったよこれが日本の先送り文化だ!(ヤケクソ気味に)
「嘘……だろ……」
ところがどっこい嘘じゃありませーん。君が見ているのは現実だ!
俺は、今のところ閉じたり変化が起こるような様子が全くと言っていいほど見られないゲートによって待機用空間と繋がれた決戦のバトルフィールドの中、手に持った刀を振り回しながら奇妙なダンスに興じていた。
手に持った刀は耐久値もギリギリだし、俺のHPは数値的に1しか残っていないのだから、きっとこの状況はギリギリの中でも最大級の超ギリギリだ。
無論、本来ならここは12体のとんでもない強敵が現れ、侵入してくる全てを容赦なく蹂躙するSAO史上もっとも頭のおかしい場所だ。
こんな超ギリギリの状況なのに危険地帯でのうのうとダンスなんて、いくら俺でもきっと出来ないだろう……いや、意外といける可能性はあるけどさ?
……だが現在、俺はそんな頭のおかしい場所で悠々とダンスを踊っているわけだ。これがどういう事態を指しているかは、誰にだってわかるだろう。
「……もしかして私、悪夢でも見てるの?」
ゲートの向こうから、ふぃーちゃんが言った。
いや、そもそもフルダイブ型VR自体が一種の幻覚みたいなもんだし、SAOなんて言い方を変えればある意味で悪夢に等しいから、この世界じゃそんなもんは見ないぞふぃーちゃん。
まぁ、あの錯乱っぷりだとありえる気もしなくはないがね。
そんなことを考えつつ、俺は奇妙奇天烈なダンスを続行していた。
テンションがハイになりすぎて体を動かしてないとうっかり理性のタガが外れた行動をとりかねないからな。
普段からそうだって?……何をバカなことを。
まぁ、そんなことは良いんだ。俺がハイテンションすぎて体を動かしていないと周りに被害が出そうだとか、そんなことはね。
ほら見たまえよ。無駄に悠々自適空間と化したバトルフィールドを。
ただただ無とよく分からない光だけが設置された、無の空間。
全てのクエストボスが討伐され、ただ1人の勝者たる俺以外の全てがなくなった、この空間を。
そう……俺は、かやひこが悪意と嫌がらせの粋を詰め込んだこのクエストを、クリアしたのだ。
これはもう悦に入ってハイになって調子乗ってしまったって許されるだろう。
「フヒャハハハハハハハ!俺に出来ないことはなァい!」
某社長のごとくのけ反りながら高笑いをし、ついでに流れるような動きでゾンビポーズもキメてみた。
我ながら完璧だ。どこが完璧かはよく分からんけど。
そうやって自分に酔っていると、不意になんとなく意識高い系と呼ばれている奴等の気持ちが分かるような気がしてきた。
今のところその手の痛い奴に会ったことはないが、多分あいつらもこの気分が味わいたくて訳の分からないくらいに横文字を使いたがるのだろう。
あぁ、一度でいいから会ってみたいな、意識高い系。意識他界系だったら結構見たことあるんだけどなぁ……
そんなことを考えつつ、妙なダンスに飽きてバトルフィールドの中をまるでゾンビのようなポーズで(しかし動きは機敏に)歩いてみていると、ゲートの方からあの女に声を掛けられた。
「えと……これは一体何が……」
「ハッ、見れば分かるだろうよ。これが俺の本気ってやつだ」
「い、いやそうじゃなくて、なんでそんな恰好をしているの?」
どうやら俺の格好が気になるらしい。
まぁたしかに、クエスト開始前に身に着けていたのは至って特殊でもなんでもない普通の服と、多少特殊な効果を持つだけの刀だけだったし、そりゃあ気にもなるだろうが……別に大したことでもあるまいに。
と、俺は心のどこかで『何言ってんだコイツ?』と思いつつ、そろそろふぃーちゃんに
いや、お前らまで俺が服と刀だけで挑んだくらいのことを気にするのかよ……
そう思って、怪訝な目を向ける。
「なんだよお前ら、そんなに言いたいことがあるなら言えよ」
「……パス」「パスだね」「パスです」
「「「さぁ言え(ってください)!」」」
「なんで私!?」
「さぁ!早く言うなら言え!」
そして3人は普段しょっちゅうケンカしている2人が含まれているとは思えないほど、絶妙なコンビネーションで説明責任をあの女に転嫁し、その結果俺は何故格好を気にされているのか、その理由を知ることに成功した。
「……じゃあ言うよ言えばいいんでしょう?」
「前置きはいい、ただ本題だけを言ってくれ」
「前から思ってたけど私の扱い雑過ぎない!?」
お前はそういう星の元に生まれてきたんだから仕方ない。どんな星かは自分で探せ。そしてあわよくば撃ち落とすのだ。
しかし女は前置きをして俺を焦らそうとする。
まったく、俺に対して焦らしを行うだなんて野生の土佐犬を安全策を一切取らずに従順な警察犬に調教するのと同じくらい危険なんだぞ?
姪っ子はかつて『アレはもう完全にサイコパスだった。とりあえず精神科行って出家して聖別を受けて宇宙戦艦ヤマト的な宇宙葬をされてきたら?』とまで評したからな。きっと今の俺は確実にイってる目をしているに違いない。
「はぁ……まぁいいや、言うよ?そr「待て!それは危険だ!」いやパスしたのそっちだよね!?」
そんなことを考えていると、不意にろーくんが女の数少ないセリフに割り込んできた。
うん……危険もなにも、今ちょうど危険の真っ最中なんですけどねぇ?
「今気付いたんだよ。これ別に説明する必要なくね?むしろこれだけで十分じゃね?ってことにな」
そう言うと、ろーくんはかつてSAOプレイヤー全員に地獄を見せたあのアイテムを渡してきた。
手鏡だ。どうやらこれで自分の格好を確認しろということらしい。
俺はそれとなくアイコンタクトだけで尋ねてみると、肯定と見てよさそうな反応が返ってきたので、若干右斜め上あたりに掲げて腕を目いっぱいに伸ばし、全身が映るようにする。
そこに映ったのは……
一糸まとわぬ姿の、俺だった。
「……お前ら俺の裸なんて見て楽しいの?」
「「「いや服を着ろよバカ!」」」
……まったく、なんでこうなったんだか。
俺はその原因を解明するため、戦闘中の自分の記憶をたどってみることにした。
あああああああああああ。
何故だか無性にラブコメが書きたい。
頭の悪い感じの、絶望的にラブコメしていないラブコメが。
というかこの超越編も長くし過ぎてダレてきた……あと5話以内に終わらせたいのに、終わる気がしない……
始めるのは得意なのに完結まで書くのが苦手なダメ作者の典型だぜバーロー。
てなわけで次回は回想シーンから始まりますんで、そこんとこよろしくですわ。